「大人でも寄贈できない」「尾鷲の宝」と街の人が絶賛する三重県の“尾鷲のさかなクン”が寄贈した”あるもの”とは
2025.7.13 15:55
7月13日放送の『アナタの街の隠れたヒーロー 縁の下の贈り人』では、三重県尾鷲(おわせ)市にあるものを寄贈した内山雄介くんを取材。寄贈したものに、スタジオからは驚きの声が上がった。
昨年、大谷翔平選手が総額12億円にも上る6万個のグローブを各地に寄贈し話題になったが、実は全国には人知れずあるものを寄贈する“縁の下の贈り人”がいるという。その1人が、三重県尾鷲市に住む内山雄介くん(13)だ。
漁師町として栄えた三重県尾鷲市に住む雄介くんは、去年5月、尾鷲市にあるものを寄贈した。この“あるもの”について、街の人は「大人でも寄贈できない」「尾鷲の宝」と絶賛する。これには、彼が持つ特殊な才能が関係しているという。
雄介くんは四人家族の長男で、彼の部屋には釣道具がずらりと並び、釣りの有名人のサインがたくさん飾られている。父の影響で2歳頃から釣りを始めた雄介くんはこれまで100種類以上の魚を釣り上げており“尾鷲のさかなクン”と呼ばれているのだとか。
その腕前が光るのは釣りだけではない。台所に立てば7.2kgの天然ぶりを15分で三枚おろしにしてしまう技術を持っており、小学6年生のときにふぐ処理者の免許を取得している。他にも地元の新聞で、魚に関するコラムの執筆までしている。
雄介くんの捌(さば)いたぶりは舟盛りと甘夏とぶりのカルパッチョになって内山家の食卓に並んだ。そんな雄介くんの魚の知識は、家族からではなくいろんな師匠に教えてもらったものだという。
ふぐについて教えてくれた師匠は、3代続く干物店の店主である北村豪さん(49)。雄介くんが小学5年生の時に岸壁でタコ釣りを教えてもらったのがきっかけで弟子入りした。一般人は立ち入り禁止の魚市場も、北村さんの計らいで雄介くんは見学OKで、毎週日曜の朝は2人で水揚げされる魚のチェックをしている。
魚を捌くのを教えてくれるのは魚屋の岩﨑千鶴子さん(77)。彼女のおかげで雄介くんは8歳から魚を捌いている。魚に興味を持つ子どもが少ない中で、「こんな子は一から丁寧に教えんとさ」と話す岩﨑さん。

釣りの師匠である岡祐五さん(61)には月に1、2回釣船に乗せてもらい、釣りの技術を学んでいる。岡さんは「尾鷲も漁師自体がなくなる一方やでさ、この子ほど(釣りに)行く子はおらんのちゃうかな」と雄介くんの熱意に太鼓判を押す。
雄介くんが尾鷲に寄贈した“あるもの”とは、『ぼくの魚辞典』という師匠たちから習得した魚の知識と技を一冊の本にまとめたものである。
“尾鷲の魚を全国に広めたい”という思いから、雄介くん直筆の解説とカラー写真入りで155ページにわたって尾鷲の魚82種類の特徴や食べ方が記されている。『ぼくの魚辞典』は、市の図書館で実際に手に取ることができ、「かしこまった言葉じゃなくて、雄さんの言葉で書かれてるのがすごい面白いなって」「普段食べられへんって言われている魚とかも、面白いなって」と市民から人気なのである。
将来は「水産研究所とかに入りたい」と語る雄介くん。「尾鷲に生まれてよかったなって」と、思う存分好きなことをやれる環境への感謝を口にした。