錦織一清 単独インタビュー 舞台より先にファンミ「ファンは、一番最初に報告する人達だと思っているから」

2022.12.14 21:30

演出家・俳優の錦織一清が、初となる著書『錦織一清 演出論』(日経BP)を11月28日に発売。entax取材班は、単独ロングインタビューを実施した。2022年に手がけてきた舞台、ファンミーティング、植草克秀とのディナーショーなど2022年の振り返りから、2023年の活動予定まで詳しく話を聞いた。

>>単独インタビューから続く

■ファンに直接自分から情報を流すのは新鮮だった

――2022年を振り返ってどんな年でしたか? 2020年に事務所から独立してフリーになられてから、初となるファンミーティングも開催されました。

錦織 やっと開催できたという感じだよね。コロナで劇場が使えなかったから。独立するまでは、ファンミーティングのようなことって、やっているようでやっていなかったですからね。やった方がいいなと思いましたよね。例えば舞台をやるにしても、出演者をファンミーティングに呼んで直に触れ合ったり。それはやるべきじゃないですかね。ファンは、一番最初に報告する人達だと思っているから。僕はやっぱり、いの一番でそこに届けたい。どんな情報でもそこから流したいじゃないですか。今まで組織に属している時は、ファンよりもメディアの囲み取材が先だったりしたので。でも今はちゃんと自分で配信やアプリを使ってリアルタイムで色々な情報を流すということができる。そういう経験をしたことがなかったので、2022年初めてやってみて僕の中でもすごく新鮮だったし、直接報告ができるというのはやった方がいいですよね。今までだとメディアに動いてもらわないと僕らは宣伝の場がなかったですからね。

■ショーも配信も“懐かしくない”ものを増やしたい

――10月には植草克秀さんと一緒にディナーショーを開催され、少年隊の懐かしいナンバーもたくさん披露されていました。

錦織 懐かしいナンバーが多かったというけれど、例えば今後二人でまた(ショーなどを)開催するとしても、懐かしいナンバーが減っていくというのをやりたいね。ここがスタート、ここから動いている、というところがあるから。年を追うごとに、だんだん別に“懐かしまない”ショーになってもいいんじゃないかな。そういうのをやりたいなと思ってる。YouTube『ニッキとかっちゃんねる』では、(少年隊の舞台)『PLAYZONE(プレゾン)』でやったこととか(年表的に)振り返っているじゃない? でも、そうじゃない回もある。僕がただチャリンコに乗っている回とかもあって、そういうのが好きで。懐かしくないものが増えていけばいいですよね。

――今年は『サラリーマンナイトフィーバー』の他にも、久本雅美さんと藤原紀香さんが共演された『毒薬と老嬢』など、全部で5つの舞台の演出を手がけられました。印象に残った舞台を教えてください。

錦織 何だろう、やっぱり『飛龍伝2022~愛と青春の国会前~』が残っているかな。(主演を務めた)一色洋平という役者がすごかったね。会った時からすごかった。すごい役者がいる、と思ったね。ここ数年の中でも飛び抜けてすごかったね。きっとすごい役がいっぱい来るんじゃないの。だから、今回『飛龍伝』に出てもらったのは最初で最後で、もう出てもらえなくなるんだろうな(笑)。

■錦織さんから取材班に逆質問も! 書籍の本編より台本の直しが大変だった

錦織 ところで著書『演出論』の方の、巻末に『サラリーマンナイトフィーバー』の台本が付いているというのはどうなの?

――斬新だなと思いました。一冊の本の中で、台本まで全部読めるということは、なかなかないですよね。

錦織 台本といっても、たたき台として脚本を打って、当初本読みをしたら40分しかなかったの。でも、どうせ増えるからそれくらいにしておいた方がいいよ、となって。それで立ち稽古しながら増えていったものは速記して追加して、上演台本というものが完成するんだけどね。こうして原稿になって目にしてみると、『演出論』の本編より台本の誤字脱字や間違いを直すのが大変だった。間違ったまま日経BPに渡しているから、編集の渡辺さんという方が全て直して聞いてくるんだけど、それに目を通すのが大変だった。台本を著書に載せることが、こんなに俺を苦しめるとは思わなかった。

でも、どうなんでしょうね。どこかワンシーンでも、全部でもいいんだけど、学生の方がちょっと演じてみるとかね。12〜13人でできる舞台なので。僕のセリフは無駄に字数が多いので、そういう意味では訓練になると思います。僕の舞台は言わなくていいことや、やらなくていいことのオンパレードなので。でも、若い役者さんにとっては喜んでもらえるんですよ。「だって舞台の上で、別にやらなくていいことやるのって最高じゃない?」って言ったら「最高です!」って(笑)。わざわざやらなくていいことをやるのが俺の舞台。そこを一生懸命やるのがおもしろいよね。

■好きな時に再生・停止ボタンを押してセルフプロデュースしたい

――著書の中で「今一番何を演出したいかと聞かれたら、自分自身の演出をしたい」と書かれていたのが印象的でした。

錦織 そうですね。舞台に出る役者・錦織じゃなくて、人生を、ですよね。人生の演出がこれからできる。組織やグループに属していると、やはりそれなりに足並みってあるじゃないですか。それを気にしなくていいんだよ。基本的に今の僕の幸せは、自分で再生ボタンも停止ボタンも押せるということ。あ、来月(ボタンを)押そう! とか、それでいいんじゃない? ちょっと色々と考えるところがありますからね。(脚本・演出・出演をこなした『サラリーマンナイトフィーバー』のように)三足のわらじを履くと苦労するぞって。『しくじり先生』って番組に出て言いたいところだね。俺しくじったって(笑)。ちょっと欲かいちゃったけど、損しましたって。まだそんなに自分自身をプロデュースするという自覚症状があまりなくて、今日もインタビューがあると思うと、起きたらひげ剃(そ)っちゃうからね。もうひげ生やしてもいいんじゃないの? って。自分次第でいいんだ、って気づいて。

■2023年は、久本雅美さん、ラサール石井さんとの舞台づくりが楽しみで仕方ない

――来年、2023年のこともお聞かせください。4月には大阪松竹座開場100周年記念舞台『垣根の魔女』(久本雅美主演)の演出を手がけられるんですよね。

錦織 大阪松竹座100周年記念なの? その冠はあまり聞かされてなかったもんで(笑)。まぁ100周年っていっても、僕が100歳ではないからね。主演の久本雅美さんは、すでに2本くらい舞台をご一緒させてもらっていてよくわかっているし、ラサール石井さんもコント赤信号時代、僕らが10代の頃には一緒にレギュラー番組をやっていたくらいですから、楽しみでしょうがないですよね。アドバイスをいただきながら、今度は演出だけに集中した方が損しないので(笑)。

■2023年2月には半生をつづった『少年タイムカプセル』も出版予定!

――来年2月にはもう一冊、自叙伝的な書籍を出版されるそうですね。

錦織 そう。半生というかね。(人生を振り返るには)あまりにボリュームが多かったので、ちょっと途中で終わった感じの自叙伝みたいな(笑)。タイトルは『少年タイムカプセル』。子どもの頃どうでした? というようなこと、色々と語ったことはあるよ。『明星』とか『平凡』のような雑誌のインタビューで。でも、もっと深いところまで書けているんじゃないかな。

――半生というのは、どのくらいの時期までなのでしょうか?

錦織 (少年隊として)ちゃんとまだCDを出していた時代までだよね。別に考えて出版したわけじゃないけど、来年出る本の方が今回の『演出論』より前の時代、という感じ。演出家になる前までしか入っていない自叙伝です。よくできているでしょう?

【錦織一清Profile】
1965年生まれ。東京都出身。小学生でジャニーズ事務所に入所。アイドルグループ『少年隊』のリーダーとして人気を博し、テレビドラマや舞台を中心に俳優としても活躍。1999年に出演した、つかこうへい演出『蒲田行進曲』をきっかけに、舞台演出にも積極的に関わるようになる。2020年12月31日に、43年間在籍したジャニーズ事務所から独立。2021年から同時期に独立した植草克秀とYouTubeを配信し、2022年10月には二人でディナーショーも開催。2022年11月28日、初の著書となる『錦織一清 演出論』(日経BP)を上梓した。

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