安田章大主演・唐十郎の初期作品『アリババ』『愛の乞食』全編”関西弁”で上演「エンタメのフルコースです」【8/30の囲み取材コメント、できるだけ全文掲載!】

2025.9.3 12:30
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安田章大の写真

SUPER EIGHT・安田章大が主演を務める舞台、Bunkamura Production 2025『アリババ』『愛の乞食』の公開ゲネプロと囲み取材が8月30日(土)に行われ、主演・安田章大をはじめ、壮一帆、伊東蒼、彦摩呂、福田転球、金守珍、温水洋一、伊原剛志、風間杜夫が囲み取材に登壇した。

本公演は、アングラ演劇の巨匠、劇作家・演出家・俳優の唐十郎が旗揚げした劇団「状況劇場」によって初演された唐十郎初期作品『アリババ』(1966年)と『愛の乞食』(1970年)の連続上演となる。
この2作品は、今年6月にも、本公演の演出・俳優として出演する金守珍率いるアングラ演劇集団「新宿梁山泊」により、新宿・花園神社の境内に作った特設テント劇場で公演された。今回はセリフを初めて全編関西弁に、演出も新たにチャンレンジするという異色で注目の公演となる。

唐十郎によって紡がれた、現実と幻想、現在と過去が溶け合う物語に流れる叙情的な言葉たち。個性豊かな俳優たちの関西弁にのせて放たれたとき、それらはどんなエネルギーと“普遍的なロマン”を呼び起こすのか…!?ぜひ劇場に足を運んで体験して欲しい。

|唐十郎がまるで当て書きしたようなキャスト陣

(上段・左から)福田転球、温水洋一、伊原剛志、彦摩呂
(下段・左から)風間杜夫、伊東蒼、安田章大、壮一帆、金守珍

ーーまずはみなさまから意気込みをお願いします

安田:楽しいメンバーが集まりました。見ていただいたら分かる通り、色んな格好をしております。唐十郎戯曲の中でどんな広がり方をしているのか、僕自身も楽しみで仕方がないです。
壮:初めてとなります唐十郎さんの作品、もうすでに私がどっぷりこの世界に浸かっております。千穐楽まで新鮮な気持ちで頑張りたいと思います。
伊東:すごく緊張しているんですけど、何よりもまずは自分が常に楽しんで、唐さんの書かれた世界の中で、自分がどれだけ自由に楽しく遊べるか?っていうのを常に頑張って、皆さんにも楽しんでいただきたいと思います。

安田は多くの取材陣に囲まれながら答える19歳の伊東を見て、安田は「マイク(本数の多さ)にびっくりするなあ」とすかさず話しかけ、気持ちを和らげようとする気遣いを見せる。

ーー彦摩呂さんお願いします。

彦摩呂:唐十郎さんの舞台が大好きで、テント芝居から金さんのファンで見に行かせていただいたんですけれども、やっぱり参加させていただいて、毎日稽古が楽しくて!その楽しさが客席に届けばいいなと思っております。

ーー(稽古の)どんなところが楽しいですか?

彦摩呂:やっぱりあの、食べ物を見ているだけではお腹が膨らみませんので、実際に食べてやっと“うわ!おいしい”ってなりましたぁ~!(笑)唐さんの戯曲を今回は関西弁に変えるということで、全体の流れやキャラクターが特化しているので、ものすごい世界観の一員に私もなれてうれしいです。

福田:(このメンバーを)見ていただいたらわかると思いますけれども、大変年齢層が高くございます。みんなで労りながら、最後まで公演を終えられればいいなと思っております。

ーー金さんお願いします。

金:最高のキャスト、スタッフです。昨日、場当たりでですね、感動して、ちょっと涙が出ちゃったくらい。唐さんの戯曲を大劇場でやるにはいろいろ無理があるんですが、今回全く無理がないので自身作でございます!

ーー涙が出た理由は…?

金:今回2つの作品があるんですけど、両方が重なり合って…最後、皆で船出するんですね。だから唐さんが船出なさった、(過去に公演のために)ソウルやパレスチナまで行かれた、その船出を思い起こしたりして。状況劇場の素晴らしい先輩たちの痕跡を追う感じで、感動しました。してます!

ーー温水さん…一瞬誰だかわからなかったです(笑)

温水:学生の頃、演劇部の部室にあった唐十郎さんの作品をいっぱい読んでいたんですけれども、まさかこの歳になって、やっと、唐十郎(作品の出演)、初めてなんですよ。やっと、唐さんの作品に参加する機会を与えてくださって感謝しています。

ーー初めて参加してみていかがですか?

温水:いやもう、メンバーの凄さに圧倒されながら稽古をしていました。

ーー伊原さんお願いします。

伊原:私も唐さんの作品は初めてなんですけど、自身も楽しみながらお客様にも楽しんでもらえたらなと思って。(風貌が)“ジョニー・デップみたいだ”って言われるんですけど、今回水に濡れるシーンもあるので、“ジョニー・べっとり”…… 失礼しました!(笑)
安田:それついさっき裏で考えてたでしょ(笑) (一同笑い)
伊原:皆さん個性的で本当に楽しいですね。ある時に金さんが、“唐さんがまるで当て書きしたようなキャストに恵まれた”っておっしゃっていたので、その期待に応えたいなと思います。

ーー風間さん、お願いします。

風間:アリババのほうに出演します、老人役の後期高齢者の風間杜夫でございます。金さんと出会ってから、唐作品は6本目なんですけれども、テント公演も含めて。新しいメンバーで非常にもう、個性豊かでやっていて楽しいです。(今回)2作品を主演で安田くんが突っ走っていますから、そのエネルギーだけでもう見応えがあると思います。楽しくやっています。

|6月のテント公演とは全く違うもの みんなでゼロからイチを創った感覚

ーー6月の花園神社のテント公演に続いての大劇場での公演になりますが?

安田:(テント公演とは)全く違うものと考えていただけたほうがいいのかなという風に思います。やっぱり唐さんが昔から言ってるように「“特権的肉体”(※①)というものを使って役者が板(舞台)の上で演じる」ということは、その人(キャスト)が変わればその物語が変わりますし、役柄というものが、戯曲に書かれているもの自体が、キャラクターが変わるということなので。テントで演じた皆さまはそれがベストだったと思いますし、今回世田谷パブリックシアターから始まる、このキャストが正解だったんだと思っています。(今回も)みんなでゼロからイチを創った、いう感覚です。

ーーテントで演じることと大劇場で演じることの違いはありますか?

安田:テントの中でしか得られないエネルギーの充満というものはもちろんあるし、借景もそうですし、外で鳴っている音(環境音)とかが、全てシチュエーションによってですけど、効果的に使える特効(特殊効果)になってくるんで、それはそれの良さがあります。けれど、こういう場所(劇場施設)に来ていただいて、しっかりと演技に集中していただくというこの環境も、新しいひとつの唐十郎戯曲を展開していく中で、大事な見せ方なのかなと。何よりも、自分たちの足を運んで、唐十郎さんのことを大好きだった方々のところに会いに行けるというのが、とても意味のある行動なのかなと思っております。

安田章大と壮一帆 『アリババ』より

ーー今回の稽古中に生まれたエピソード、楽しいことや発見はありましたか?

伊原:いろいろありましたよね?
安田:ご飯はしましたね
伊原:ああ、ご飯も何度も、一緒に。はい。

ーー ・・・ぐらいですか?

(一同爆笑)

ーー温水さんは?

温水:特殊な馬に乗るシーンがあって、そこの稽古が苦労しましたけども、ようやく形になったかなという。金さんもすごく高さのある馬に乗られているので、見所です。よく稽古場の隅っこの方で練習なさっているのを見て、“もう70歳なのにすごいなぁ”と思っていました。
金:風間杜夫さんがいるだけでもう笑いの渦で。なんだろう?“風間杜夫ワンマンショー”みたいな(笑)
風間:(笑)やめなさい!

風間杜夫 『アリババ』より

|伊東蒼 19歳の俳優としての魅力

さらに金守珍は、朝の連続テレビ小説や大河ドラマに出演し、注目を集める19歳の伊東について続けた。

金:“飛躍”と“誤読”が唐さんの戯曲の魅力なんですけど、特権的肉体、とにかく伊東さんの飛躍力・誤読力がすごくて、こういう少女を唐さんは待っていたんだと思います。すごいです!で、安田くんが引っ張ってくれて、安田くん(の芝居)を見て『あ、ここまでやっていいんだ』というところまでなんか突き抜けているよね。毎回違うんですよ、で、毎回ステップアップしてる。どこまで行っちゃうんだろう?って。すごい力を持っていて、「昔の樹木希林さんはこうじゃなかったか」と勝手に話しちゃうくらい素晴らしい人が訪れてくれて、大変楽しい現場です。

ーー伊東さん、素晴らしい褒め言葉いただきましたけれど、いかがですか?

伊東:はい、ちょっと、汗が止まらないですけど…すごく嬉しいですし、その言葉に甘えずに、楽しく。皆さんの稽古されている姿を見て…とにかく私は皆さんの背中を追っていたので。私は。なので、ここからの本番が始まって、やっと皆さんに見ていただけるので、同じ楽しさだったりとか、自分の感情が「思わず出ちゃった」みたいなことが共有できればいいなと思います。

伊東蒼 『愛の乞食』より

|安田の普段の役作り“関西弁で感情を作り、標準語に戻す”が関西弁上演のきっかけの1つ

ーー関西弁の上演はどんなふうになるのでしょうか?

金:唐さんは、必ず笑いをどうとるか?をご自身の公演をしながら考えていて、唐さんの戯曲って笑いのセンスがないとダメなんですけど、これが標準語だとカタいじゃないですか?ある意味で。1回関西弁に置き換えたらどうかと。また、2年前(金演出安田が主演を務めた舞台『少女都市からの呼び声』)の稽古で、安田くんがわざわざ感情を作るのにセリフを関西弁に置き直して感情を作ってからまた標準語に戻す、っていうのを聞いて“これは思いっきり1度、関西弁の安田くんが見たいな”っていうのと、あと関西弁の持っているユーモアが出る。稽古に途中参加だった伊原さんは漫才もやっているんですけれど、漫才を超えたお芝居を見ていて、伊原さんってすごいな、笑いのセンス半端じゃない、そんな驚きもあった。関西弁にして良かったと思うのはとにかく、こんなに楽しいお芝居はない、ということ。これから唐十郎の初期作品を読み直すことは演劇界にとって大変重要なことだと思っております。1回関西弁にして思いっきり笑える楽しい芝居に置き換えて、エンターテイメントにしたいと思っています。

ーー安田さん、1回関西弁に置き換える作業って必要なことなんですか?

安田:逆に(キャストに)関西弁の人が結構いるじゃないですか。(※温水と風間以外は全員関西出身)みんなが逆にしてないんかな、って疑問に思うくらいですね。
福田:せえへんなぁー。
安田:“せえへんな”ってすぐ!すぐ切り捨てた僕のこと!(笑)
福田:やったことない。
安田:やってないですか?
壮:する!
安田:やる?
壮:するする
伊原:僕は東京長いから(笑) (一同爆笑)
温水:僕も自分の国(宮崎)の言葉に置き換えないですよ。そういう風に考えないですね。
安田:壮さんと僕はやって、彦摩呂さんはやってない?
彦摩呂:いや・・・はい(笑)気持ちがね、関西ですから
金:関西の人はユーモアあって楽しいですね、ボケと突っ込みが日常にあって憧れます(笑)

結局、金・風間・温水以外の関西出身の6人中、安田と壮の2人が置き換えをしていた。

ーー安田さんは実際、前回の花園神社のテント公演は標準語で、今回は関西弁で舞台をやってみて、その違いはありますか?

安田:(前回)標準語で覚えた分、それを関西弁に戻すのはやっぱり…大変でしたね(笑)。1回インプットされたものをゼロにするっていうのは苦労するんやなって思いました。けど関西弁やから生まれる、(『アリババ』での安田の妻役)貧子との夫婦関係のうねり方、リズムの乗っていき方みたいなものが、本当に関東の言葉とは違う。それは多分、壮さんが演じる貧子のキャラクターも壮さんしかできない貧子なんです。だからその関係値がここで出来あがっているから、関西弁プラスアルファで生まれる何かがあって…っていうところですね。(『愛の乞食』で伊東が演じる少女役)マンジュシャゲとのシーンも然りなんですけど。とにかく関西弁が持つ言葉が軽くならないように意識しながら、あとは、リズミカルなところはリズミカルに進んで、止まるところはしっかり溜めて止まってっていうことを意識してやっている感じですかね。

|ブラックホールのように引き寄せられる唐十郎作品

ーー安田さんが感じる唐十郎さんの魅力を教えてください。

安田:戯曲を読んで分からないものを演じた時にみんなが共鳴し合うっていうのが面白さやと思います。結局ブラックホールのように引き寄せられるんで。“あぁやっぱ戯曲おもろいな”って勝手にやっぱり気持ちが乗っかっていくんですよね。で、何回演じてみても、色んな演じ方が見えてくるっていうのがまた、唐さんの戯曲の深さなのかなとも思いますね。

ーー1回も覗いたことがない方は「ちょっとハードルが高い」と思われる方もいるかと思いますが…

安田:ああーそうですね。

ーー安田さんがこの作品をやることによってハードルの高さが変わってくると思うんですが、ご自身ではいかがですか?

安田:変わってくれたらええですね。どんどんどんどん広がっていって、「演劇イコール観に来なきゃいけない」、そして「観ることイコール堅苦しい」がなくなっていくといいなと。ジェットコースターみたいな感じで、体験してみたことによってその中の物語を理解できる、とか、1年、2年、3年、約5年、10年みたいな感じで、年月が経ったときに「あん時こういうことやったんか…?」って思えるような人生を迎えてほしいなっていうことで、体験型とか体感型だなっていう風に思います。

安田章大 『愛の乞食』より

ーーご自身が唐さんの世界にハマっちゃうっていう風に思っていましたか?

安田:11年前までは思ってませんでした(笑)。ただ、唐さんの息子である大鶴佐助と出会ったことが大きな人生の転換期ではあると思いますね。でも、言っても二十歳に今年なられる伊東さんは、僕よりはるか10年前から唐さんの戯曲に出会う訳ですから、たぶん色んなことをこれから学んで、それこそ伊東さんが広げられる年齢層のところにまた唐さん戯曲が広がっていくんでしょうし。それで考えればこの年齢層の広さが、唐さん戯曲をいろんな方に広げるのかな、っていう風に思いますね。

|知らない世界を知るって人生で一番楽しい時間。若い方に見てもらいたい

ーー若い方だったり、今まで唐さんの世界を知らなかった方にも見ていただきたいという思いは?

安田:んあぁ!!見てもらいたいですね!見てもらいたいですよね!それはやっぱ…うん…知らない世界を知るって、とても人生で一番楽しい時間なんじゃないのかなと思うんで。知らないものに触れる時は怖いんでしょうけど、触れてしまえば、そこの楽しさを追求していくことができるので、すごく贅沢な生き方に変わるのかなという風に思いますね。

話は脱線して、この日、24時間テレビのチャリティーランナーを務めた横山の話題に・・・

ーーこのあとゲネプロをやっている間に横山さんがマラソンをスタートされるのですが、エールをいただいても良いですか?

安田:もうエールは個人的に送りました。メンバーみんなでも言葉を交わし合ってたりとかして。個人的には午前中に電話をしました。

ーー横山さんは何ておっしゃっていましたか・・・?

安田:「おぅおぅおぅ・・・ありがとうな」って。(一同笑い)照れるんですかね?(笑)。僕はあまりそういうのに照れない人なので、言葉をはっきりと伝えて想いを届けた形だったんです。はい。照れておりました。一度やると決めたことをやりきるのがお兄ちゃんの性格なんで。みんなに楽しい顔を連れて戻ってくるんじゃないでしょうかね。

|いろんな俳優のエネルギーがごちゃごちゃに混ざった、四角いガタガタした渦の体験を

ーー最後に安田さんのほうから、観にいらっしゃるお客様へのメッセージをお願いします。

安田:そうですねぇ・・・・何がいいでしょうかね?彦摩呂さん、何か言うことありますか?
彦摩呂:え?なんにする?ホンマもう、フルコースです!エンタメのフルコースです!(笑)。おなか空かして見に来て…ちょっとこんなんあかんやん!偏るから!(笑)章ちゃん!
安田:(彦摩呂さんの)おっしゃる通りで、空腹状態で来ていただくとホントにお腹が満たされます(笑)これだけ色んな各所から出てこられている方々がいて、かつ、(6月の公演に元々出演していた)紫テント・新宿梁山泊の方々もいるので、やっぱりエネルギーがすごくごちゃごちゃ混ざってるんですよ。元々唐さんが生前、おっしゃっていた通り、“丸の渦ではなく四角のガタガタした渦を渦巻かせよう”っていうことを仰っていたので、それをぜひ体験しに来ていただけたらなと思っています。(彦摩呂さんの)言葉をお借りします。フルコースです。お腹を空かしてきてください!

※①「特権的肉体」…ひとりひとりの俳優が持つ、身体の特徴やこれまでの経験を合わせた「その人だけの特別な体」という意味を含めたことば。唐十郎が提唱した演劇理論での表現で、俳優それぞれの個性あふれる体の力を大切にした新しい形の舞台作りの方向性を示した。

Bunkamura Production 2025 『アリババ』『愛の乞食』
作:唐十郎
脚色・演出:金守珍
出演:安田章大、壮一帆、伊東蒼、彦摩呂、福田転球
金守珍、温水洋一、伊原剛志、風間杜夫
   花島令、水嶋カンナ、藤田佳昭、二條正士、宮澤寿、柴野航輝、荒澤守
寺田結美、紅日毬子、染谷知里、諸治蘭、本間美彩、河西茉祐
企画・製作:Bunkamura

【東京公演】
2025年8月31日(日)~9月21日(日)
会場:世田谷パブリックシアター

【福岡公演】
2025年9月27日(土)~9月28日(日)
会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール

【大阪公演】
2025年10月5日(日)~10月13(月・祝)
会場:森ノ宮ピロティホール

【愛知公演】
2025年10月18日(土)~10月19日(日)
会場:東海市芸術劇場 大ホール

『アリババ』
雨の中、真夜中の高速道路を駆け抜けて行った黒い馬を探す宿六。そしてその妻の貧子。二人のもとに老人が姿を現し、あの馬は赤いはずだと言う。ブランコが馬の嘶き(いななき)のように音を立てて揺れだしたころ、隅田川に流した遠い記憶がよみがえってくる。「朝は海の中、昼は丘、夜は川の中。それはなあに?」

『愛の乞食』
生命保険会社に勤める田口は、立ち寄った都内の公衆便所で具合の悪そうなミドリのおばさん(実は元海賊の尼蔵)を介抱していた。そこに、セーラー服姿の少女・万寿シャゲが帰ってくる。今夜からこの公衆便所は、キャバレエ「豆満江ズマンコウ」になるのだ。さらに支那人のチェ・チェ・チェ・オケラと、刑事の馬田と大谷が現れる。彼らもまた、元海賊なのだった。男達は万寿シャゲに、かつて海賊として大陸を荒らし回っていた時に出会ったある事件の生き残り、十四番目の朝鮮人の女の面影を見出す。そして突然、彼方より一本杖で床を踏む音――伝説の海賊ジョン・シルバーの足音が響く。

写真:©entax

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