カズレーザー 「脳死以外の全ての死を解決したい」 世界初、日本人が導き出した数式がもたらす“150年生きられる?”未来像とは

2025.9.3 10:15
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メープル超合金・カズレーザーの写真

カズレーザーがMCを務める『カズレーザーと学ぶ。』の最終回が9月2日に放送された。3年にわたって多方面から専門家を招待してきた本番組で、最後に講義を行ったのは、神戸大学、数理・データサイエンスセンター教授の木村建次郎氏。世界で初めて『波動散乱の逆問題』の解析解を導き出した人物であり、導き出した数式と、その応用から開発された最新技術を紹介した。

木村氏は物理学を応用し、乳がん検診の常識を覆す『マイクロ波マンモグラフィ』を開発。従来のX線によるマンモグラフィは胸部を強く圧迫し、強烈な痛みが伴うにもかかわらず、若年層ではがんを見つけにくいという弱点があった。そもそもX線は、重さや密度の違いを写しだすのだが、若い世代の乳房の中は密度が高いため、がんが増えたことで硬くなった部分を識別するのが難しいという。

そこで木村氏は、がん細胞内で増殖する血管によって水分子が多くつくられることに注目。水(がん)と油(脂肪)は性質に差があるため、これを生かし体内の状態を3D化して透視できる装置を開発した。これによって、X線では見つけることが困難だった若い世代の乳がんも発見できる可能性が期待できるという。

木村建次郎氏の写真

この装置の完成を可能にしたのが、長年未解決とされてきた数学界の難題『波動散乱の逆問題』。例えると、水に浮かんでいる物が不明なとき、石を投げ込むことでできた波紋の広がりから、それが何かを予測する問題である。

逆問題を理解するには、反対の順問題を理解する必要がある。まず順問題は、水に浮かんでいる対象物の形や性質が分かっている中で、そこに石を投げたときにどう波が跳ね返ってくるかを予測計算すること。逆問題では跳ね返って来た波の動きから、逆に対象物の形や性質を知ろうとすること。この問題を数式にして導き出せれば、地下資源探査や防犯対策など、さまざまな応用が期待できるが、跳ね返る対象が何かという答えに無限の可能性があるため、この問題を解くことは長年困難とされていた。そんな問題を、木村氏は世界で初めて導出。人体はもちろん、あらゆる物体を透視することが可能になる数式を発見した。

この発見によって、マイクロ波マンモグラフィの技術が実現。また将来的には、街中にこの技術を応用した装置を設置することで、危険物を所持した人物を従来より素早く正確に判別できるなど、安全が守られる社会を目指しているという。木村氏は「脳死以外の全ての死を解決したい」と、研究にかける思いを語った。

◆物理学者が考える「不老不死」

さらに木村氏は、講義の最後に「脳死以外の全ての死を解決したい」と、研究にかける思いを語った。

人間が死ぬのは、病気などで臓器の機能が失われ、最終的に脳活動が停止するため。であれば、脳さえ守れば限界まで生きられるのでは、と木村氏は考えているという。脳の機能は簡単には置き換えられないと考える木村氏は、問題のある臓器を機械化し健全でありさえすれば、脳の細胞の劣化を考慮しても150年程は生きられるのではないか、と話す。

これを聞いて、「意識の消滅が、結局“死”なので、それさえ別の方法で維持できるのであれば、側(がわ)は(体が機械になるのは)こだわらない」というカズレーザーに対し、マヂカルラブリーの村上は「生きるとか、死ぬの概念が変わってきちゃうんじゃないですか?」と疑問を口にした。

マヂカルラブリー・村上の写真

がん検査の研究に携わる木村氏は、「誰一人としてがんを望んでいる人はいない。治療を提示したときにそれを選ぶということは死にたくないという選択肢を選んでいること。死というのは誰かに与えられるものではなくて、自分で選べるようになる、ということが大事なのではないか」と持論を語った。

人生が150年あるとすれば、生き方や時間の尺度が変わってくるかもしれないと、講義最後まで、ゲストたちの議論は尽きなかった。

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写真提供:(C)日テレ

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