カズレーザー “すっぴんだから在宅でも無視”さまざまな理由で、1年間に約5億個にもなる再配達荷物…“再配達有料化”の是非を徹底討論
2025.5.14 11:00国交省と物流改革に取り組む物流学会会長であり、流通経済大学流通情報学部教授の矢野裕児氏は再配達の有料化に基本的には賛成とし、「宅配便において、配送部分というのは人あるいは時間がかかっている。その中で、再配達は非常に効率化を妨げている」「物流って宅配便に限らず、非常にドライバー不足の中で、どうしても今までのようなサービスを提供できるような状態じゃないので、こういう改革をしていかないといけない」と話す。

またネット通販で散見される“送料無料”という文言について、「非常に問題」と指摘する。「本当のところは絶対にコストはかかるわけですよね。ですから、送料自体が無料ってことは本来ないわけで。正確に言えば、ネット通販事業者が負担していますよという表現にすべき」と主張。消費者から見れば魅力的な文言であっても、無料という表記は“何度再配達を依頼してもお金がかからない”という誤解を招きかねないという。実際、政府もそうした表記を問題視しているものの、対策はなかなか難しいという。
無料はあり得ないとはいえ、消費者目線からすると正確には把握しにくい送料。武藤が「送料って場所にもよるとは思うんですけれども、平均するとどれくらいかかっているものなんですか?」とたずねると、矢野氏は「私たちが宅配便を使うときには平均約1300円くらい」とし、一方でネット通販会社が払う送料はもっと安いため、平均して800円弱であると説明。
燃料費が高騰していることから、そのコストは上昇。しかし企業はコスト上昇をすぐに送料に転嫁しようとはしないため、結果的にドライバーの人件費が削られていることが多いのが現状であるという。さらに追い打ちをかけているのが『物流の2024年問題』。働き方改革による、ドライバーの時間外労働規定で長距離輸送が難しくなり、撤退する中小企業が増え、人手不足も深刻化しているという。