『葬送のフリーレン』ED曲歌唱のmiletに単独取材「フリーレンには愛しかない!」

2024.2.16 19:00

TVアニメ『葬送のフリーレン』のエンディングテーマソング『Anytime Anywhere』をリリースしたばかりのシンガーソングライター・miletに、entax取材班が単独取材を実施。原作コミックを熟読し、作品世界に潜り込んで制作したという楽曲のタイトルや歌詞に込めた思い、どんな感情を込めて歌っているかなど制作秘話を聞いた。(前後編の前編

■“めぐり逢い”が大きなテーマ

――1月31日にはアニメ『葬送のフリーレン』エンディングテーマ『Anytime Anywhere』がリリースされました。2クール連続のED曲になりますが歌詞、楽曲含め『葬送のフリーレン』の世界観を特に意識した点はどのような点でしょうか?

milet フリーレンと共に旅をしている気分でもあり、旅をするフリーレンの周りの空気、彼女をなでる風になったような気持ちになって歌っています。なので、フリーレンや彼女が出会う仲間をちょっと俯瞰(ふかん)しながら見ているような楽曲になったと思います。フリーレンは人間の感情がよくわからなくて、どうして涙が出るのか、なぜ悲しいのか、といった人間の気持ちを知るための旅をしている部分もあるので、そんな彼女の背中を押せるような曲にしたいと思いました。また、ドラマチックな曲にすることで、フリーレンの表情と合わせた時にギャップが出るのもいいかな、と考えて制作しました。

放送中のアニメでは、ヒンメルや最初の仲間たちとの旅が終わって、フェルンやシュタルクとの新しい旅がまた始まっていますよね。そこに“めぐり逢い”を感じます。違う仲間との違う旅だけど運命が繰り返されているし、出会いが重なる度にフリーレンの心が変わっていくという部分にすごくグッとくるんですよね。セリフでも、1回目の旅と2回目の旅で同じようなことを言われているのに、フリーレンの受け取り方は全然違っていて、それがフリーレンの成長でもあると思いますし。やはり“めぐり逢い“というものが私の中で一つの大きなテーマになっていますね。

千年以上生きるエルフが人間の仲間と旅をし、みんなが先に旅立っていくのを看取ったりする立場でもある中で、フリーレンは来世のことを考えたりするのかな?と思ったんです。私たちは長く生きても百年で、大切な人とは「また来世で会えますように」と願ったりしますよね。でも、あまりに長く生きるフリーレンは、次の人生のことをどう思うんだろうと。なんとなく、1回目の旅をしている時にはそんなことを考えない気がするんですけど、2回目の旅をしている彼女は、きっと最初の旅で仲間だった彼らにまた会いたいと思うんじゃないかなと想像したんです。そして、生まれ変わってもこの大切な仲間たちに出会いたいと思うような心境に変わっているんじゃないかな、と。

個人的に私は、大切な人とは「どんな形でもどんな場所でもめぐり逢いたい」という思いがあって、その思いと重ねてフリーレンを見ているとすごく心が動かされるので、そういった気持ちを込めて曲をつくりました。

――タイトルの『Anytime Anywhere』には、元々miletさんの中にあった「大切な人とはどんな形でもどんな場所でもめぐり逢いたい」という思いが込められているんですね。

milet そうです。

■失った存在の大きさに対する気づきを歌詞にした

――歌詞の中で特に気に入っているフレーズがあれば教えてください。

milet サビの「約束なんてなくても 孤独に迷う日々でも こんなに胸が痛いのは あなたといた証かな」という歌詞が好きです。「胸が痛い」というのは大切な人を失った痛さじゃなくて、その人がここにいた、という実感が強くなった痛みなんだ、ということを、私も大切な人を失った時に実感したことがあったので。フリーレンが大切な仲間と別れて流した涙の意味は、仲間を失った辛さももちろんあるけれど、その存在の大きさを実感して流した涙なんじゃないかな、と思ったんです。

この曲はデモの段階ではコードもマイナーで寂しさが勝っている曲調だったのですが、Evan Call(エバン・コール)さんが編曲してくださったことでコード感ががらりと変わったんですね。メジャーコードが入ったり、自分の想像以上のコード進行になって、曲のイメージが全然違うものになりました。そのEvan Callさんの編曲を聞いて、自分の思いも「別れに対してもっと前向きになりたい」というポジティブなものに変化したんです。別れは悲しいだけじゃないと思ったのがきっかけで歌詞も少しずつ変わっていきました。なので、大切な人を失うことに対しての私の視点が、サビの歌詞に入っていると思います。

――個人的な感想ですが、最後の「I’m whispering our lullaby for you to come back home」という部分がすごく好きです。美しい高音でのびやかな響きを聞くと、ここまでの歌詞を聞いて感じた色んな思いが浄化されるような感じがします。自分が許された、と感じるような。

milet ありがとうございます。私もそこは好きです。私のなかでフリーレンには女神様のイメージがあって、優しく包み込んでくれて、天に昇るような気持ちにさせてくれるのを歌で表したくて歌っている部分です。だから、高音ではあるけどやわらかくて、風のように感じてほしかったので、何度も録り直して理想に近づけるように歌いました。

■フリーレン役・種﨑敦美さんの声の変化を分析しています

――フリーレン役の声優、種﨑敦美さんが『Anytime Anywhere』を聴き「何度聴いても涙が出る。こんな風にこの作品のことを(自分は言葉にしたくてもできないから)言葉にできるのがうらやましい」とコメントされていました。こういった感想を受けていかがですか?

milet いやー、もう、うれしい!!それを聞くと涙が出そうです。私がこの曲をつくった頃は、もちろん原作コミックスは読んでいたんですけど、ちょうどアニメのホームページができた頃くらい。まだアニメーションとして動いているキャラクターを見ていない状態だったんですけど、実際に予告編でフリーレンの声を聞き、想像していたよりもずっと深い物語なんだ、というのを種﨑さんの声だけで感じました。そこで作品に対する見え方も変わったので、毎回フリーレンの声についてはすごく分析しています。

何十年前に旅していた頃の声と今の声はまったく違う様子ですし、フリーレンが人と関わって色んな感情を知っていくことによって、彼女の声が少し高くなったり声に表情がついていったり、毎回聞こえ方が変わるのがすごく楽しみでもあります。本当に声優さんは私にとっても、キャラクターに命を吹き込む神のような存在なので、そんな風に言っていただけるなんて……。ものすごく『葬送のフリーレン』の世界に潜って、私なりにベストな形でこの曲を書いたので、もうフリーレン愛しかないんです。大好きなフリーレンのために!と思ってつくったので、フリーレン役の種﨑さんにそう言っていただけてうれしいかぎりです。

■ヒンメルがフリーレンにかけた言葉にキュン!

――原作コミックスの中で“好きなシーン”を教えてください。

milet えー、たくさんあって絞れないですが……ヒンメルからフリーレンへの慈愛を込めた言葉にはすごくキュンときました。フリーレンの気持ちが知りたい!という気持ちになりましたね。なかなか彼女自身の心情がはっきり描かれることがないので「何を思っているんだろう?どこまで(ヒンメルの気持ちを)わかってるんだろう?」と考えをグルグルめぐらせてキュンとしたところです。

あとは、アニメ化されたアクションシーンはすごく動きがついてさすがに迫力あるなと感じたのですが、コミックスの時点でも絵が素晴らしくて、キャラクターが動いて見えるんです。それを実感したのが、フリーレンとフェルンが一級魔法使いになる試験について描かれている場面。水を操る魔法が登場するんですが、水の質感や、軽さと同時に重さがある様子、不規則な動き方などを紙の上で表現するってすごく難しいと思うんですよね。でもコミックスを見た時に、水の美しさと同時に恐ろしさも描かれていたのが印象に残っていて、ド迫力でした。漫画の制止画でこんなに鳥肌が立つんだ!という場面は、この『一級魔法使い試験編』で何度もありました。

(後編へと続く)

【milet(ミレイ)Profile】
東京都出身。思春期をカナダで過ごし、グローバルな存在感を放つソングライティングとハスキーかつ重厚感のある独特の歌声を兼ねそろえた女性シンガーソングライター。2018年より本格的に音楽活動を開始し、2019年3月6日にメジャーデビュー。海外での人気も非常に高く、2023年11月末に台北で開催された初の海外単独公演のチケットは2秒で即完売した。2023年末には4年連続となるNHK紅白歌合戦に出場。2024年3月には初のアリーナ公演を4 daysで開催することが決定している。

【Information】
TVアニメ『葬送のフリーレン』エンディングテーマ『Anytime Anywhere』EPが現在発売中

・milet初のアリーナ公演『milet 5th anniversary live “GREEN LIGHTS”』開催

<大阪府・大阪城ホール>
・2024年3月15日(金) 開場18:00 開演19:00
・2024年3月16日(土) 開場15:00 開演16:00
<神奈川県・横浜アリーナ>
・2024年3月19日(火) 開場18:00 開演19:00
・2024年3月20日(祝・水) 開場15:00 開演16:00

詳しくはこちら

■Official Site
■YouTube
■X(旧Twitter)
■Instagram
■TikTok

©entax

クオカードプレゼントキャンペーン2024

  • Twitter
  • Facebook
  • Line

SNS

featured

text_newarticles

categories