声優・ファイルーズあいの“妖怪愛”炸裂「『どうもこうも』という妖怪がいて…」 アニメ『私を喰べたい、ひとでなし』はまさにハマり役だった?
『チェンソーマン』パワー役や『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』空条徐倫 役で知られる人気声優・ファイルーズあいにインタビュー! 10月2日(木)より放送中のTVアニメ『私を喰べたい、ひとでなし』で、物語の鍵を握る一人・社美胡(やしろ みこ)役を務める彼女に、本作の見どころやキャラクターの魅力について聞くとともに、大好きだという妖怪について思う存分語ってもらった(アニメ第4話までのネタバレを含みます)。
※“不調の時期”の救いに…?本作への想いを明かす独自インタビュー記事も公開中
本作『私を喰べたい、ひとでなし』は、『電撃マオウ』(KADOKAWA)にて2020年10月号から連載中の苗川采による同名漫画を原作とした、異色の“ガール・ミーツ・ガール”作品。略称は『わたたべ』。物語の舞台となるのは、伊予市を中心とした愛媛県。海が一番近い無人駅「下灘駅」など日本を代表する絶景の数々が存在し、劇中でも繊細で美しい風景や心理描写が数多く登場する。
10月2日(木)より放送中のアニメは、 “人”と“ひとでないもの”の願いの形が変化していく様、そしてそれでも生きていく少女たちの様子を描いていく。ある過去の悲惨な出来事をきっかけに命を投げ出したいと願うようになった女子高生・八百歳比名子を上田麗奈が、そんな比名子に対して「君を喰べにきました」と近づく人魚の少女・近江汐莉を石川由依がそれぞれ担当。ファイルーズあいが演じる美胡は、親友である比名子と、彼女を翻弄する汐莉の間で感情を揺さぶられていくことに──。

|“感謝の気持ち”を思い出させてくれるキャラクター
──改めてになりますが、まずは本作の印象や面白さを感じた部分などをお聞かせください。
ファイ まず、タイトルがすごく強烈じゃないですか(笑)そこにすっごく惹かれました。どんなおどろおどろしい作品なんだろうと思ってオーディション資料を拝見したところ、とてもかわいらしい女の子たちが描かれていて、そのギャップにすごく興味を持ちました。実際のお話も、進んでいくごとに比名子の心境がどうして“今のような形”になったのか、汐莉がなぜそのような執着を見せるのかといったところが明らかになっていくのがすごく面白いなと。
ファイ “比名子みたいな壮絶な経験”をされた方って、一般的にはなかなかいないとは思うんですけど、彼女のようにもう八方塞がりでどうしようもなくなってしまうことはどなたでもある気がします。特に、何かに挑戦してる人とかはあると思うんですよ。比名子は一見ネガティブだし、「もっと自分から動きなよ」って言いたくなっちゃうけど、自分と通ずる部分があるから「そうだよね、その気持ち分かるよ」って寄り添いたくなる主人公で、そこが非常に新しい、かつ面白い魅力だなと感じました。

──ご自身が演じる美胡の第一印象はいかがでしたか?
ファイ 本当に明るく元気な女の子で、愛情深く、ストーリーを追っていくごとに「誰よりも人間臭い子なんだな」と思いました。妖怪だけど冷徹になりきれない部分があったり──。自分の周りにも美胡みたいな人がいてくれたらなと思うし、自分が気づいていないだけで、美胡みたいな友達がいつも支えてくれてたのかなって、改めて周りの人への感謝の気持ちを思い出させてくれる、すごく素敵なキャラクターだと思います。
──特に比名子との関係性は複雑なものがありますね。
ファイ 美胡のせいで起きた事故ではないのに、どこか責任を感じてしまっている部分があったりするんですよね。決して“贖罪”のために比名子と一緒にいるわけじゃなくて、彼女と一緒にいることで美胡自身が救われている部分があるのかなと。そういうイメージを持ったままオーディションにも臨みました。
ファイ オーディションの台本は、結構明るい雰囲気の場面──夏祭りあたりのシーンまでだったんですが、そこまで“妖怪ようかいしたところ”がなかったので、そのニュアンスは組み入れつつ、私に振ってくださった意図や意味をくみ取れるよう意識しました。美胡を振ってくれたのは、きっと彼女が太陽のような明るさを持っていて、私も自慢じゃないですが、周りの人に「太陽みたいだね」と言ってもらえることが多いので、そういう明るい部分、私の魅力を出して、美胡の良さにつなげられたらなと思っていました。

──巨大な“狐の妖怪”でもある美胡ですが、人間の姿をした普段の様子とどう演じ分けたのでしょうか?
ファイ 大きくて圧のある生き物で、人智を超えた、非日常的な人ならざる生き物というところで、私が幼少期に一番影響を受けたのは『もののけ姫』のモロだったんですが、今回、美胡の狐の姿を見た時にモロがすごく浮かんだんです。もちろんマネをしてるわけではないんですけど、美輪明宏さんの、あの圧を込めた喋り方だったり、一歩退かせるような音量と声の低さというのを、自分でも少し意識してやってみました。
──第4話までで、美胡が比名子に対して正体をひた隠しにしていたことが明かされました。演じる上で、そうしたニュアンスはどのように表現されたのでしょうか?
ファイ それこそ、もうすでに台本の中に“それ”が結構現れているんですね。普通の幼なじみだったらそこまで心配するかとか、一見「過保護なんじゃないの?」と見られるような言動がすでにあったので、私が何か意図してやるというよりは、もう台本の言葉が、そして原作の美胡がそこに連れて行ってくれるという印象でした。
ファイ いただいたディレクションで言うと、「花火見えた?」のシーンが特に印象的でした。私は最初「花火見えた??」と圧をかけすぎて、病んでしまったストーカーみたいになったところ、ディレクションで「少しやりすぎかも」と指摘をいただきました。ディレクターさんや監督さん、皆さんが舵を取ってくださったおかげで、露骨じゃない──節々に不気味なニュアンスの残る明るい女の子に仕上がったと思います。










