反目しあっていた2人のトランペット…本番で息を合わせることはできるのか?北海道・旭川明成高校の『吹奏楽の旅2025』
こうして迎えた8月の旭川地区大会で、明成高校は見事金賞を受賞し、北海道支部大会への出場を決めた。だが石山さんが“ソリ”パートでいくつかミスをしてしまい暗い顔。「全然吹けなくて、本当に…」と涙を流して落ち込んでいた。鈴木さんから「全然吹きやすかったよ」と励まされるが、石山さんのスランプはその後も続いた。さらに北海道支部大会に向けての合宿ではついにトランペットが吹けなくなるほどの事態に。
佐藤先生とのミーティングで石山さんは「最近あんまりうまく吹けなくなって、今日、音出してみたら本当に音が出なくて…もう吹きたくないっていうか、楽器触りたくないっていう気持ちがめっちゃあって」と正直な気持ちを明かすと、佐藤先生は「よくぞ話した!」と石山さんの思いを受け止め、さらに自身の学生時代のスランプ経験についても話し、その上で「吹きたくなるまで吹かない作戦もアリだな!」「最後無理なら無理でもいいよ。死にゃしねぇから!」と提案した。
石山さんはその後の合宿中、練習に参加することはなかった。しかし合宿から1週間後、鈴木さんの隣で演奏する石山さんの姿が。「ここで参加しないでいたら、一生逃げ癖付くなって思って」と、その言葉には力がこもっていた。
そして迎えた北海道支部大会。24校中、全日本に進出できるのはわずかに2校という狭き門だ。大トリの24番目に演奏を終えた明成高校は、わずかなミスはあったものの崩れることなく演奏をやり切り、結果を待つことに。会場近くの広場に部員全員が残り、Webでの結果発表を待つ。
その後、佐藤先生がスマホを手に、神妙な面持ちで結果を確認する。そして次の瞬間、佐藤先生は画面を生徒たちに向け「全日本!」と叫び、部員たちからも歓喜の声が上がった。ついに明成高校の悲願であった全日本大会初出場が決定した瞬間だった。生徒たちはもちろん、佐藤先生も必死に涙をぬぐう。すると、生徒たちの何人かがカメラの方を指さして大笑い。その先を見ると、撮影していたディレクターも一緒になって涙を流していた。

スタジオでVTRを見ていたゲストの俳優・渡辺謙も思わずもらい泣き。自身も学生時代、吹奏楽部だったという渡辺は「コンクールだけが人生じゃないってことを(先生は)伝えたいんだと思うんですよ。音楽ってそんなことのためにやってるわけじゃないじゃないですか…」と語っているうちに「あー、ダメだ…」と再び涙が込み上げていた。同じくゲストで俳優の芳根京子も元吹奏楽部。「ヤバいですね…先生も素晴らしかったですし」と語っているうちに感極まり「はぁぁ~、ダメだ私もう…」と大粒の涙をこぼしていた。










