映画『笑えない世界でも』長野県上田市-7℃の撮影エピソード&サブタイトル「共感する人がいませんように」に込めた思いとは?【彩香&岡本充史監督インタビュー】

――普段ドラマ監督も務められていますが、ドラマと映画の違いを感じた点は?
岡本:今回の作品に至っては、完成してから劇場公開するまでに2年半かかっているので、映画館で映画を流すことはすごく大変だと思います。なのでテレビの枠があるっていうのは、すごくありがたいことなんだなと思います。作ったら放送する枠があって、それがHulu、TVerで流れてというのは、すごく恵まれてることなんだなと感じました。
――逆に自主(制作)映画ならではの楽しかった部分を教えてください。
岡本:見た方の感想を直接もらえる機会があることです。(私の中では)映画は“一つのメッセージを届ける”ものなので、それに対して見た方のリアクションを聞ける機会はテレビより多いなと思います。真剣に向き合った結果、おもしろくなかったのか、おもしろかったのかを言ってくださるので、そこは良い所だと思います。
――これまでいただいた感想で印象的な言葉はありましたか?
岡本:最初、上田市の映画館で完成披露をやらせていただいて、お一人のお客様が私のところにいらっしゃって「明日から頑張って生きます」って言って帰ってくださった方がいました。僕もこの業界を目指したのが「明日から頑張って生きよう」って思ってもらえる作品を作りたいという気持ちがあって、その思いもこの映画に込めているので、それを私のところに来て言ってくださるのはやっぱりうれしいですし、届いたなと思いました。
彩香:泣いて共感してくださる方がいるんだなと思って、この映画を見て「改めて周りの家族とか友達、一緒にいてくれる人を大事にしようと思えた」と言ってくれたのが、私もそう思いながら演じていたので一番うれしかったです。

――最後に、今回の映画を通して伝えたいメッセージを教えてください。
彩香:映画を見る時に、私は自分につなげて見るので、誰かの過去とか、色々つなげてくれたらすごくうれしいなって思います。この映画に共感する人がいるとするなら「一人じゃないよ」って寄り添えるような作品になればうれしいなと思います。
岡本:優花に凛がいて、凛に優花がいたように、一人いるだけで全然世の中の色が変わると思います。一人ぼっちの人、もしくは一人ぼっちの辛さ寂しさを知ってる人には、動いてみることがいかに大事か、背中を押すというよりは、せめて背中をさするぐらい「こうやってみるのもいいんじゃないですか?」ってぐらいは届いたらいいなと思います。それで友達に連絡してみよう、好きな人にLINEを送ってみようと何かするだけで、その方の明日が変わったら、こんなにもうれしいことはないなと思います。
映画『笑えない世界でも』
2025年10月17日(金)池袋HUMAXシネマズにて公開
【出演】
彩香 谷藤海咲
松岡亜依 藤崎朱香 林隼太朗
野村啓介
【スタッフ】
監督・脚本・撮影・編集:岡本充史
音楽:横関公太
製作:加藤幸二郎 製作統括:長濱薫
エグゼクティブプロデューサー:佐藤悌 プロデューサー:渡邉浩仁
2025年/日本映画/86分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch
配給:フリック
【彩香(さやか)Profile】
2002年愛知県生まれ。MBSドラマ特区『少年のアビス』(22)でドラマデビュー。日本テレビ『あいつが上手で下手が僕で シーズン2』(23)、CBC『民宿のかくし味』(23)、テレビ東京『私の町の千葉くんは。』(24)、10月18日スタートのABC(関西ローカル)『修学旅行で仲良くないグループに入りました』などに出演。
10月17日(金)から第10回賢島映画祭で主演女優賞を獲得した、自身初のW主演映画『笑えない世界でも』が公開。
【岡本充史(おかもと・あつし)Profile】
1986年兵庫県生まれ。株式会社日テレアックスオンに入社。ドラマ、ミュージックビデオなどの演出を担当。日本テレビ『あいつが上手で下手が僕で シーズン1/2』(21/23)演出、CBC『⺠宿のかくし味』(23)監督・脚本、日本テレビ『真夜中の社内恋愛 #3』(25)ドラマ部分監督、FANY:D配信の縦型ショートドラマ『make up xxx〜美しきサレ妻メイクの逆襲〜』(25)監督。
10月17日(金)公開の映画『笑えない世界でも』監督・脚本・撮影・編集を務める。今作は、ドイツハンブルク⽇本映画祭 審査員賞、第10回賢島映画祭 準グランプリを受賞。