映画『君は放課後インソムニア』主演の奥平大兼に単独取材「高校生同士のリアルな空気感が出せた」

2023.6.17 18:30

6月23日公開の映画『君は放課後インソムニア』主演の奥平大兼に、entax取材班が単独インタビュー! アニメ化もされた人気コミックを実写映画化した今作は、不眠症に悩む高校生の男女が学校の天文台で出会い、大切な居場所を守るために奮闘する青春物語。森七菜と共に主演として丸太(がんた)役を務めた奥平大兼が感じた、絶妙なキャスティングとは?

■ダブル主演だから気負わずいつも通りにがんばれた

――映画『君は放課後インソムニア』に、主演でオファーを受けた時の気持ちを聞かせてください

奥平 主演だから特別にがんばらなくちゃ、と意気込む感じはなかったです。いつも通りにちゃんとがんばろうという感じでした。原作がある作品の実写化というところについては思うところはありましたが、(ダブル主演の)森七菜さんも一緒だし、そんなに1人でがんばり過ぎなくてもいいかなと思っていました。

©オジロマコト・⼩学館/映画「君ソム」製作委員会

■原作コミックの空気感は大事にしたいと思った

――台本を読んでみてどのように感じましたか?

奥平 台本を読んだだけでは、よくわからないところもあったんですよね。台本に書かれていることだけをちゃんとやればいいだけであれば(今まで通りで)わかるんですけれども、今回は原作がある作品だから、そこが今までと違いました。原作をただ忠実に実写化するという感じにはとらえられたくなかったし、原作を好きだと感じたその魅力を出すべきだと思ったんです。

原作コミックは、空気感がゆったりしているところがすごくいいなと思ったんですね。リアルな高校生の日常を感じられたので、それを無視して実写化するのは違うと思ったし、自分がコミックを読んで良いと思ったところは積極的に芝居にも生かしていきたいと思いました。でも逆に原作を尊重し過ぎて無理をすると芝居の邪魔になっちゃうから、バランスは考えました。特に丸太と伊咲(いさき)、2人の雰囲気は大事にしたいと思っていました。

――では原作コミックを丸太の役づくりの参考にされた部分も大きかったのですね

奥平 そうですね。元々は漫画の中で生きているキャラクターなので。原作があるものを実写化する時って、壁がある時が多いじゃないですか。(原作を知った上で)見ていただく方の持つイメージとのギャップを埋めるというか……。

例えば少年漫画のヒーローのような、現実とはかけ離れた世界を描いているのであれば忠実に再現した方がいいと思います。でも、この作品はリアルな高校生の日常を描いているので、忠実にやろうとしても演者の気持ちが入ってきちゃうし、演じる人によってすごく変わると思うんですよね。そのギャップはどうしても生まれてきちゃうから、実写なりの良さを出そうということを考えて演じました。

共演した森さんや高校生キャストのみんながすごく良いお芝居をしていたので、原作の良さを消さないように、そのリアルな空気感を生かしていきたいと思いました。もしかして原作ファンの中にはそれを良く思わない方もいるかもしれないけれど、原作の空気感を実写化するとこういう雰囲気もあるんだよ、という風には思って欲しいですね。

©entax

■森七菜とは「最初は仲良くなれるか心配でした」

――不眠症に悩む丸太を、どのような高校生ととらえて撮影にのぞみましたか?

奥平 僕自身は不眠症になったことがなくて、家庭環境も丸太とは似ていないので、最初は理解しにくかったんですよね。だけど、理解できないままではもちろん演じられないので、そこは池田監督とすごく話し合いました。あとは演じていくうちに、丸太というのは伊咲がいるからこそ見えてくるものがある子だなと感じて。伊咲が言うことや行動によって自分の気持ちが変わるし、それによって丸太が成長していくと思ったんですね。現場に入って森さんと話したり、芝居をしていくうちに、さらに丸太への理解を深めました。それは初めての体験でした。

――森七菜さんとは2度目の共演ですね。今回、ダブル主演としてご一緒されていかがでしたか?

奥平 最初は、仲良くなれるのかな〜なんてちょっと心配でした(笑)。一度目の共演では、一緒のシーンがほとんどなくて挨拶程度で終わったんです。今回も、お互い人見知りなので最初はほとんど話さなかったし。丸太と伊咲の関係性を考えると、それはちょっとマズいなと思っていたんですが、撮影が進むにつれて話すようになり、最終的には仲良くなれました! 

©オジロマコト・⼩学館/映画「君ソム」製作委員会

■役者と登場人物のキャラがそっくり。キャスティングは超大成功!

――共演者は同世代が多かったと思いますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

奥平 現場では、他の高校生キャストを含め、ふざけ合っていました。その仲の良い雰囲気が映像に出ていたんじゃないかなと思ってます。学校などでみんなで話しているシーンの前などは、直前までふざけ合っているような雰囲気がちょうど良い感じになっていた気がします。高校生キャストはみんな、それぞれの性格と演じたキャラがすごく似ているんですよ。

――例えば安西星来さんはソフトボール部の元気な女子役でしたが、ご本人も活発な方だったり?

奥平 そうなんですよ。だから本番でのお芝居も、プライベートで話してる感覚と変わらないんですよ。撮影以外のところでもコミュニケーションが取れているおかげで、同級生同士の雰囲気は出せたかなと思います。

――キャスティングが良かったということですね

奥平 そうです。キャスティング、超大成功だと思います!

©entax

■告白するよりされてみたい

――丸太はストレートに「好き」と伝えるタイプでしたが、奥平さんご本人はまっすぐ告白するタイプですか?

奥平 うーん、好きな人ができたら言うかもしれないですけど……。僕、(告白)されてみたいんですよね、どちらかというと。世の中の常識的に、何となく男性から告白するイメージありませんか? そのせいもあるのか、僕自身は告白されたことがないので、される経験をしてみたいんです(笑)。

■七尾市の星空はめちゃくちゃきれいだった

――石川県七尾市でのロケで印象に残っていることがあれば教えてください

奥平 七尾市は原作の舞台になった場所でもあるので、現地では「ここ、漫画で見た場所だ!」と思いました。学校もそうですし、天文台なんて、本当に漫画のまんまなんですよ。室内の配置や階段を上るまでの角度とか、全部そのまんまなんですよね。もちろん街並みも何もかもそのままなので、自然と丸太の気分になれました。七尾市で撮影できたというのは、原作と同じ空気をつくる上ですごく大きかったと思います。

――映画では星空を眺めるシーンも多かったのですが、実際の星空はどうでしたか?

奥平 めちゃくちゃきれいでした。丸太がカメラで星空を撮影するシーンでは、実際に自分で撮影するために撮り方を教えていただいたんです。自分でもちゃんと星空が撮れたし楽しかったです。

■萩原聖人とは麻雀の話で大盛り上がり

――丸太がなかなか本音を明かせない父親役の、萩原聖人さんとの共演シーンはいかがでしたか?

奥平 最初の方は、親子の距離がある役柄だったので、距離を取ってくれました。でも後半はすごく話をしてくれました。僕、麻雀が好きなんですよ。萩原さんは、Mリーグでも活躍するプロ雀士じゃないですか。だからその話がしたくて、「僕、麻雀が好きなんですよね」と話しかけたら、色々と教えてくださいました。「麻雀好きな人に悪いやつはいない」って言って笑わせてくれたりとか。

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――奥平さんご自身は、お父様とはどんな距離感ですか?

奥平 うちは仲いいですね。僕は小さい頃からずっと空手をやっていたので、大会前などは毎回父親から厳しい指導を受けていて、幼い頃は怖かった印象もあります。そのおかげで勝てたんですけどね。でも今は、父とも母とも友達のように仲良くしています。でも、最近やっとそうなれたのかもしれないですね。反抗期などを経て。

■池田監督は、役者の意見を尊重してくれる

――池田千尋監督の演出はどういう印象でしたか?

奥平 周りの意見を尊重してくれる方という印象です。監督が意見を言って、僕がそれに対する考えを言ったら、許容できる範囲でその考えをふまえたやり方にしてくれるんです。あとは難しいシーンや、みんなで悩んだようなシーンは僕達(演者)に任せてくれました。大事なシーンを任されたのは、信用されている感じがしてすごくうれしかったですし、それに応えようという気持ちが生まれました。

撮影を進める中で、例えば天候の都合なども色々な事情で撮れないものあって大変だったと思うんですけれども、当たり前ですが「いいものをつくりたい」という共通認識がみんなあったので、意見を交換しながら尊重してもらえたのは良かったです。

©entax

――映画『君は放課後インソムニア』をこれから見る方へ、見どころやメッセージをお願いします

奥平 元々原作コミックがあって、4月からはアニメも放送され、最後にこの実写映画が公開となります。それぞれ、違う作品として見て欲しいわけじゃないんですけど、まったく同じ作品として見て欲しくないような気持ちもあって……。リアルな空気感というのを何度か言いましたが、撮影中は七尾市で、(キャストが)そこに住んでいる人間としてリアルに存在していたんですよね。その中で、丸太と伊咲には悩みがあって、楽しみもあり、成長があったんです。

映画はぜひ、色んな年齢層に見ていただきたいです。漫画やアニメだと、丸太と伊咲の2人にフォーカスが当たることが多いと思うのですが、映画だと2人の家族や先生など周囲の方の登場シーンもけっこうあるので、青春映画ではあるけれども大人も楽しんでもらえると思います。

【奥平 大兼(おくだいら だいけん)Profile】
2003年9月20日生まれ。東京都出身。2016年、スカウトで芸能界入り。2018年、演技未経験で受けたオーディションに合格し、映画『MOTHER マザー』(2020年)で長澤まさみの息子役に抜擢される。2020年の『恋する母たち』(TBS)でTVドラマに初出演し、以降も映画やドラマ、CMなどで活躍。2023年は『あつい胸さわぎ』『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』、『ヴィレッジ』と出演映画の公開が続き、待機作『君は放課後インソムニア』(6月23日公開)では森七菜とダブル主演を務めている。

【作品情報】
『君は放課後インソムニア』
6月23日(金)より全国公開
<ストーリー>
石川県七尾市。高校1年の中見丸太は不眠症に悩んでいた。
ある日、学校の使われていない天文台で、偶然にも同じ悩みを持つクラスメイト曲伊咲と出会う。クラスではろくに話したこともないけれど、誰にも打ち明けていなかった不眠症という秘密でつながり、次第に打ち解けていく。
そんな2人が天文台を勝手に使っていたことがばれてしまい、天文台が立ち入り禁止の危機に迫られる。寂しい表情を浮かべる伊咲を見た丸太は、安らげる場所を守るため、休部となっている天文部の復活を決意する。
出演:森七菜、奥平⼤兼
桜井ユキ、萩原みのり、上村海成、安⻫星来、永瀬莉⼦、川﨑帆々花
⼯藤遥、⻫藤陽⼀郎、⽥畑智⼦、でんでん、MEGUMI、萩原聖⼈
原作:オジロマコト「君は放課後インソムニア」(⼩学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
監督:池⽥千尋
企画・制作プロダクション:UNITED PRODUCTIONS
製作:映画「君ソム」製作委員会
配給:ポニーキャニオン
公式HP
公式Twitter
公式Instagram

写真:©オジロマコト・⼩学館/映画「君ソム」製作委員会
©entax

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