多国籍バンドALI単独インタビュー 精力的なコラボレーション作品づくりの背景

2023.5.2 12:30

自身初となるフルアルバム『MUSIC WORLD』をリリースした多国籍バンドALI。彼らはこれまでコラボレーションを行ってきたが、アルバムの新曲でも新たな仲間と作品作りを行っている。タッグを組んだ背景、相手の魅力といった点について、ALIの視点で語ってもらった。

インタビュー記事①はこちら

■反逆精神はピースの気持ちで表現する

――前回はALIのルーツにフォーカスしましたが、一方でALIは横のつながりも大切にしていて、それが表れているのが、多様なフィーチャーリング作品だと思います。まずこのアルバムのリードになっている『EL MARIACHI feat.MFS』は、ディープなラテンのサウンド曲です。

LEO かっこいいですよね。日本にないサウンドができたと思います。俺らはラテンも好きなんですけれど、実際にやったら、同じようにできる人があまりいなかったんですよね。別に俺らも先生がいるわけじゃないんですけれど。この曲を作った時は“ずっと隣の家からカレーの匂いがするな。カレーの作り方は分からないけれど、作ってみたらうまくできた”みたいな感じでした。“多分、こういうカレーだろうな”みたいなイメージだけはしていたので。

CÉSAR でも多分、今、僕らが聴いている過去の音楽も、同じような作り方をしていると思うんですよ。ラジオから聴こえてきた音楽や、「なんやこれ?」と名前の知らないレコードを街の集まりで聴いてインスパイアされて、「これ、みんなでやろうぜ」といったノリに近い気もしますね。だからこの70年ぐらい、やっていることは変わらないのかな、と思っています。

――自分たち流の味付けをしていったんですね。

LEO 本当そうです。毎回偶然を狙うというより、どうやったらうまい料理として仕上がるか、という秘訣みたいなものをある程度は知っていたので。練習はいっぱいして、本番は2回だけ録りました。ホーン以外の人全員と一緒に録ったんですけれど、独特なとこに飛ばされた感じがしたのは、非常にうれしかったです。本当はそのあとの『IN THE MOOD FOR LOVE feat.SARM』をシングル曲に考えていて、この曲もすごく良かったんですけれど、『EL MARIACHI feat.MFS』があまりにも飛びぬけていて、リードになりました。

――『EL MARIACHI feat.MFS』では、どんなことを伝えたいと考えて歌詞を書かれましたか?

LEO 『EL MARIACHI feat.MFS』は反逆の気持ちをテーマに作っていて。LUTHFI と2人で作っているんですけれど、歌詞も1年くらい、作ってはやめて、作ってはやめてを繰り返しました。<shake laka laka laka boom>という、1番意味のないところに、本当に時間がかかりました。“あそこに何かがあるはずなんだ。なんなんだろう?”とずっと探していて。そこがハマった時、俺の中では“これだ!”と思いました。

LUTHFI すごかったよね。録るまでは、<boom shake laka>だったんですけれど、録る当日に「逆にしよう」となって、はまったんですよ。

LEO ずっと「一体、何をやっているんだ?」って思いましたから(笑)。

――でも、そこがこだわりだったんですね。

LEO そうですね。あきらめないでよかったと思う、1つの瞬間でしたね。

――反逆の気持ちをテーマにしたいと思った背景は、何だったのでしょうか?

LEO 基本的に俺らはずっと怒っているというか。コロナもあったり、悲惨なこともあったりして。ずっとイライラしていることが多いわけですよ。そういったことを素直に、ただし傷つけるのではなく、基本的にはピースの気持ちで表したい。俺が大好きなボブ・マーリーも、フェラ・クティも、ジョン・レノンもみんなそういう表現方法をとっていて。愛で戦う、愛で銃弾を打ち続けるというか。短いリリックですけれど、俺も祈りに近い気持ちで書きましたし、それをMFSにも伝えました。

――だから、根底には本当に愛があるという楽曲になったと。

LEO みんながちゃんと参加できる余白があることは意識しました。“ふざけんな”とか言うだけが1番シンプルかと思いきや、それでは本当の意味は伝わらない。なるべく音楽の中で共存できるものを録るのが、ブラックミュージックのいいところで。すごく怒っていたり歌詞が辛辣な曲ほど、トラックは優しいんですよね。そういったものを聴くと、本当に先人たちはすごいな、と思います。

LUTHFI(左)、LEO(中央)、CÉSAR(右) ©entax

■帰る場所がなくなったからこそ、伝えられることがある

――4曲目の『IN THE MOOD FOR LOVE feat.SARM』はジャズの華やかな楽曲ですね。

LEO これは『LOST IN PARADISE feat.AKLO』を作った時ぐらいにできていた曲で。時間がかかりましたけれど、ようやく聴いてもらうことができました。

――SARMさんとの出会いは?

LEO 俺がALIをやる前くらいからSARMは10代で活躍していて。すごく耳が早い人がSARMとALIをあげていて、Facebookとかの時代だったと思うんですけど、それでお互いつながって。「いつかやりましょう」と言ってから、6年ぐらい経っているのかもしれないです。ようやくこのアルバムが出るタイミングで、「ぜひ歌ってくれないか」と頼んで。素敵な声の人はいっぱいいるんですけれど、ブルースを感じる女性はなかなか少ないので、それがすごく好きです。

CÉSAR レコーディング前に1回会ったんですけど、音楽の妖精みたいな感じで、ピュアに音楽を探求している人なんだな、と思いました。そういう子が、『IN THE MOOD FOR LOVE feat.SARM』を歌えたのは、僕的にはすごくはまって。まさに音楽があって、それに肉体がのっかった、みたいな感じで、今まで見たことのない人でした。

LEO 例えるなら、令和ティンカーベルです(笑)。

――6曲目の『NOHOME NO COUNTRY feat.KAZUO、IMANI』は、胸にじわじわと迫ってくるようなイメージのナンバーでした。

LEO 5曲目の『MY FOOLISH STORY』と『NO HOME NO COUNTRY feat.KAZUO、IMANI』は同時期に作ったんです。いろいろな事件やコロナが起きたり、本当にひどくて。それで俺らもいろいろあって休まなきゃいけなくなって。帰る場所がないという状況だったんです。それでも音楽をやる理由、といったような自分を振り返った曲を作りたいなと思って。

俺らはずっと「アメリカに行くぞ」と言っていて、計画を練っていたんですよね。だからそのアメリカにフォーカス当てるために、カントリーをちょっと勉強していた時もあって。ニューヨークとかLAではヒップホップとか、最新のトレンドがあるんですけれど、真ん中はカントリーが占めているわけですよ。カントリーは白人のものかもしれないけれど、俺らはジャンルを超えて。それでアメリカにルーツがあって、ずっと一緒にいてALIのメンバーみたいなIMANIとKAZUOにメッセージをのせてもらって、自叙伝のようなことを語ってもらいました。

LUTHFI 『NO HOME NO COUNTRY feat.KAZUO、IMANI』はALIとの共通点をめちゃくちゃ感じたというか。僕らが休んだ時に、本当に改めてもう帰る場所がないとなって、この曲ができた時、僕らだからこそ、演技せずに素直に言えるかな、と思いました。小さい声なんだけれど、僕らのような人たちに対して「ここにもいるよ」と力づけたら、と。僕はこの曲に対して、そう感じています。

(インタビュー記事③はこちら

【ALI Profile】
VoリーダーのLEOを中心とした全員ハーフの多国籍バンド。東京/渋谷発。FUNK、SOUL、JAZZ、LATINなどのルーツミュージックをベースにHIP HOP、ROCK、SKAなどをミックスしたクロスオーバーな音楽性で注目を集めている。TVアニメ『呪術廻戦』第一期EDテーマの『LOST IN PARADISE feat.AKLO』が日本のみならず世界的バイラルヒットとなった。

写真:©entax

     

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