宝石箱の三作品が並ぶ──新国立劇場バレエ団「バレエ・コフレ 2026」

2026.2.3 17:00
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新国立劇場バレエ団は2026年2月、「A Million Kisses to my Skin/ファイヴ・タンゴ<新制作>/テーマとヴァリエーション」の三本立てによる「バレエ・コフレ 2026」を上演する。「コフレ」とはフランス語で宝石箱を意味し、20世紀を代表する珠玉の作品を一夜で楽しめるプログラムである。『A Million Kisses to my Skin』は、デヴィッド・ドウソン振付によるネオ・クラシック作品だ。バッハのピアノ協奏曲に基づき、音楽と身体の関係性を緊密に構築する構成が特徴とされる。端正なフォルムと流動的な動きが連なり、身体の推進力そのものが作品の軸となる。カンパニーの基礎技術やアンサンブルの精度が、比較的ストレートに示される一作である。

『ファイヴ・タンゴ』©Satoshi Yasuda

続く『ファイヴ・タンゴ』は、ハンス・ファン・マーネンが1977年に初演した作品で、新国立劇場バレエ団にとっては今回が初演となる。吉田都芸術監督が就任当初からレパートリー入りを構想していたマーネンの『ファイヴ・タンゴ』は、コロナ禍の影響により延期となっていたが、今公演にて新制作として実現する。アルゼンチン・タンゴに革新をもたらした作曲家、アストル・ピアソラの楽曲を用い、男女の関係性や緊張感、距離の変化を、簡潔で鋭い動きによって描き出す構成となっていて、いわゆる「大人のバレエ」として位置づけられてきた本作の性格を際立たせる。昨年末に伝えられたマーネンの逝去を受け、本作はその振付家が遺した美学を、現在の新国立劇場バレエ団によって提示する機会ともなる。

プログラムを締めくくるのは、ジョージ・バランシン振付『テーマとヴァリエーション』である。本作はチャイコフスキーの《管弦楽組曲第3番》最終楽章「主題と変奏曲」に振り付けられた作品で、12の変奏から構成されている。シャンデリアが輝く宮殿を思わせる舞台空間の中、パ・ド・ドゥと女性ダンサーによる群舞が次々と展開され、華やかな舞踊世界が立ち上がる。チャイコフスキーと帝政ロシア・バレエへのオマージュとして知られるこの作品は、「見る音楽」と評されるバランシンの振付が、アンサンブルの精度によって輝きを増す。
全幕バレエとは異なる角度から、レパートリーの幅や身体表現の多様性を味わえる公演となる。

『ファイヴ・タンゴ』 ©Satoshi Yasuda

文:和田弘江
写真:©Satoshi Yasuda

≪公演概要≫
新国立劇場バレエ団「バレエ・コフレ 2026」
A Million Kisses to my Skin/ファイヴ・タンゴ<新制作>/テーマとヴァリエーション Ballet Coffret 2026 A Million Kisses to my Skin / 5 Tango’s / Theme and Variations
芸術監督 吉田 都

『A Million Kisses to my Skin』
振付 デヴィッド・ドウソン
音楽 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
美術 デヴィッド・ドウソン
衣裳 竹島由美子
照明 バート・ダルハイゼン

『ファイヴ・タンゴ』
振付 ハンス・ファン・マーネン
音楽 アストル・ピアソラ
美術・照明 ハンス・ファン・マーネン
衣裳 ジャン=パウル・フローム
*録音音源により上演します

『テーマとヴァリエーション』
振付 ジョージ・バランシン
音楽 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
美術 牧野良三
衣裳 大井昌子
照明 磯野 睦

出演 新国立劇場バレエ団
指揮 冨田実里
管弦楽 東京交響楽団

【公演日程】
2026 年 2 月 5 日(木)19:00
2026 年 2 月 6 日(金)19:00
2026 年 2 月 7 日(土)13:30 / 18:00
2026 年 2 月 8 日(日)14:00

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