史上最速で昇進した横綱・大の里を育てた“第二の両親”に密着!横綱を生み出した寮生活とは?
この高校の相撲部の稽古には、中学生も自主的に参加している。大の里がいた頃は中学生も寮生活を送っていたのだが、今のご時世でそれは厳しいということで現在の寮生は高校生だけ。しかし稽古には誰でも参加できるとあって、強くなりたい小中学生たちが稽古に参加している。
これについて田海監督は「(稽古を)見ているだけでもいい勉強だと思いますね」「何も言わなくても、高校生のマネをして、小中学生もちゃんとしっかりタオル畳んだりとか、目上の人に敬語とか、全然言わなくても(伝わっている)」という。
さらに中学時代の大の里を振り返り「中学1年の時から、同じ負け方をしないんです」「負けて吹っ飛ばされると、2回目は一歩足を出すんです。次にまわしに触るんです。で、次に土俵に回り込むんですよ」と、負けるたびに成長していく大の里のすごさを語っていた。
稽古を終えた部員たちは寮に戻ると、恵津子さんの夕食の準備を手伝いながら他愛もない世間話。監督が厳しい分、他愛もない話を聞いてくれる恵津子さんの存在が部員たちの心の支えになっているようだ。
そして夕食では稽古で落ちた体重を戻すべく、部員たちはひたすら食べまくる。夕食後には自由時間があるものの、スマホ禁止ということもあり、部員たちは疲れをいやすためにぐっすり就寝…と思いきや、2時間ほど経つとみんな起き出して再びキッチンへ。「寮にあるモノなら何を食べてもOK」というルールだそうで、部員たちは思い思いに夜食を作り満足するまで食べなくてはいけない夜の“メシトレ”。
これだけ食べまくる部員が大勢いるこの寮では当然、食費は悩みの種。公立高校のため潤沢な資金があるわけでもなく、安い外国産の肉を買ったり、壊れた弁当箱も直して使ったりと倹約できるところはとことん倹約していた。
そんなところに頼りになるのが、支援してくれる地元の方々。大量のお米や野菜などを差し入れてくれるのだという。
さらに地元の方だけでなくOBたちからも差し入れがあるという。大の里は優勝した後に部員全員を連れて焼肉パーティーを開き、さらに米1トンを寮に差し入れたのだそう。横綱だけでなく、一般企業に就職した元部員たちも機会を見つけては寮を訪れて恩師を訪ね、当時のようにまわしを締めて現役部員たちに胸を貸しているのだという。
そんなOBたちの姿を「一番うれしいこと」と語る田海監督は「(先輩たちの行動を)みんな忘れないように。感謝の気持ちを忘れないようにして、みんなも今度、輝く番だよ」と部員たちに語りかけていた。
この田海監督、長年この相撲部を率いているが、実は1年契約を続けているのだそうで、全国大会で教え子たちが1人もベスト3に入らないことがあれば総監督を辞めることにしているのだという。
結果を出せなかったら終わりという覚悟を見せることで、「少年はこっちの覚悟がわかる」のだという田海監督。「大相撲行って教え子たちが活躍して、優勝して…そうなったらオレはもう死んでもいいよ!みたいな。それぐらい夢物語なんですよ」と語る監督にさらなる夢を見せるべく、大の里の今後の活躍にも期待したいところだ。









