朝ドラでも描かれた原作者・やなせたかしが『アンパンマン』に込めた思い…初回収録時、声を演じる戸田恵子にかけた言葉とは

2025.11.7 19:15
  • Twitter
  • Facebook
  • Line

11月5日、『人生が変わる1分間の深イイ話 有名人の家族は本当に幸せなのか?2時間SP 』が放送。大人気漫画『アンパンマン』の作者であり、先日まで放送されていた朝ドラ『あんぱん』のモデルにもなった原作者・やなせたかしさんの半生を特集。アニメ『それいけ!アンパンマン』のキャストとの秘話も明らかになった。

まず番組が訪れたのは、やなせさんが生前使用していたアトリエ『やなせスタジオ』。20年以上やなせさんの創作活動をサポートし、現在はやなせさんが生み出した全キャラクターの版権はもちろん、やなせさんに関する全ての総責任者となっている『やなせスタジオ』代表の越尾正子さんにスタジオ内を紹介してもらうことに。やなせさんが原稿執筆に使っていた机などもそのままの状態で残されていた。ちなみに、朝ドラ『あんぱん』でやなせさんの役を演じた俳優・北村匠海もこのスタジオを訪れたそうで、やなせさんの仕事中の様子などを取材し、役作りに生かしていたのだという。

続いて、アニメ『それいけ!アンパンマン』でアンパンマンの声を放送開始から37年間演じている戸田恵子にもインタビュー。実はアンパンマンの声優が戸田に決まったのにもやなせさんが関わっていたのだという。

戸田によると、アンパンマン声優の選考はオーディションではなかったという。製作陣が声優を決めるにあたって様々な声優のボイスサンプルを聞いた結果、「(やなせ)先生と監督が“戸田さんで!”と言ってくださった」のだそう。以来、戸田とやなせさんは公私にわたって交流があったそうだが、やなせさんが収録現場を訪れたのは初回収録の1度きりだったという。その時に戸田はやなせさんから意外な言葉をかけられていた。

やなせさんは「戸田さんね、(アンパンマンは)世界一カッコ悪いヒーローだと思ってください」「スーパーマンじゃない。いつでもカッコいいわけじゃない。顔をちぎってみんなに食べてもらうと、自分はスゴく弱くなって、ヘナヘナになってしまう、弱いカッコ悪いヒーローだ」と声をかけたという。そこには、やなせさんの“正義”に対する思いがあった。

戦争で身近な人を何人も亡くしたやなせさんは“変わらない正義とは何か?”を考えた。そしてたどり着いた結論は「スゴくひもじい時に1個のあんパンをくれる人が正義」だということ。困った人に食べ物をあげることこそ、いつどんな時も逆転しない本当の正義であり、それを具現化した姿がアンパンマンだったのだ。

またやなせさんは、『アンパンマン』をアニメ化するにあたって、当時のスタッフに要望書を送っていた。今回の取材で初公開されたその要望書の中には「アンパンマンの創り出す世界が、人種や政治的な差別や陰湿ないじめとは 無縁の世界(原文ママ)」という言葉が記されていた。アニメの監督も「一切アンパンマンの世界では(戦争や差別、いじめなどは)やりたくない(という考えは)、大正解だと思うんですよね。古くなってない」とその思いを受けついでいた。

スタジオにもゲストとして出演していた戸田は、朝ドラ『あんぱん』にも出演しており、「朝ドラがあったおかげでというか、先生と2回お別れしたみたいな気分でね。本当にもう、“ロス”もいいところなんですけど…いろんな思いが出てきてね」とありし日のやなせさんを懐かしんでいた。

【TVer】で見逃し配信中!

写真提供:(C)日テレ

クオカードプレゼントキャンペーン2024

関連記事

おすすめ記事

ジャンル