吉沢亮「これまでの作品とは比べものにならないほど覚悟が必要でした」映画『国宝』、第30回釜山国際映画祭公式上映!吉沢亮・黒川想矢・李相日監督が登壇
◆吉沢亮「まっすぐ向き合う瞬間というのは人を美しくするのかなと思います」
また当日は、10時より李監督、吉沢が参加しての韓国メディアによる記者会見、 オープントークに引き続き、CGV Centum CityにあるIMAX館では約300人を前に公式上映が行われ、上映後には李監督、吉沢、黒川の舞台挨拶が行われた。

「なぜこれほどまでに日本でヒットしたのか?」の質問に、李監督は「歌舞伎は日本の観客にとっても皆さん当然知っているのだけれども、そこまで観ている人は多いわけではないので、新しいものを発見できる映画だったと思います。歌舞伎役者ではない俳優たちがまるで歌舞伎役者のように非常に長い時間をかけてトレーニングをし、歌舞伎役者の感情をキャラクターに溶け込ませたため、役者の方々の真剣さが観客の皆さんにも届いたのではないかと思います」と日本での社会現象を分析した。

また、吉沢には「最初に台本をもらった時の気持ち、また役作りはいかがでしたか?」という質問に、「李監督の『悪人』『怒り』は大好きな作品で、いつか李監督と是非ご一緒したいなと思っており、目標でもありました。今回オファーをいただき非常に嬉しく思いました。その時にはまだ台本もできていない中で原作を読み、歌舞伎役者の役ということでハードルの高い役だと思いました。その時点ではまだ深く歌舞伎というものに関わったことがなかったので、どれだけ大変なものか想像がつかなかったです。李監督への“愛”だけで、よくわからないけど飛び込もうと思いました。1年半くらい歌舞伎のお稽古をしましたが、稽古を重ねれば重ねるほど歌舞伎役者さんの深み、小さい頃から何十年も舞台に立って積み重ねている歌舞伎役者さんたちと並ぶということは到底無理な話だと、稽古を重ねれば重ねるほど実感していく日々でした。その中でどうにかやるしかないという覚悟と意地でどうにか必死になり撮影をしました」と語った。
黒川へは少年・喜久雄の役について、また歌舞伎の稽古についての質問があり、黒川は「この役はオーディションだったので、オーディションの少し前に台本をいただきました。歌舞伎役者さんの幼少期を演じるのには自信がなく、でもこの役は絶対に僕がやりたいと思いました。歌舞伎の稽古は半年くらいでしたが、今までダンスなどもやったことがなかったので、日本舞踊は難しかったのですが、途中からお稽古が楽しくなり、演技に近い感覚ですごく楽しかったなと今思い出しました」と振り返った。

観客から「歌舞伎を通して沢山の美しさを教えてくれた映画だと思うが、人間のどのような部分が美しいと思うか?」と質問されると、吉沢は「今回、女形を演じていて、自分の感情をコントロールできない瞬間や何か必死に求めて、恋焦がれている時の表情は、外から見ると美しく見えたりするのではと、この喜久雄を演じていて感じました。喜久雄が演じた(「曾根崎心中」の)お初もその恋のためだけに命を燃やしていく。こういった演目が多いということは、そういったものが見たいのだろうと思っています。まっすぐ向き合う瞬間というのは人を美しくするのかなと思います」と答えた。
黒川は「今作で長崎弁と関西弁の2つの方言を使いましたが、長崎弁の音の響きがとても美しいなと思いました。例えば外国語でも何を言っているのかわからなくても、気持ちが伝わるような、そういう時はとても嬉しいし、美しいなと思います。今作は日本語ですが、韓国の方々に絶対届くだろうし、届いてほしいなと思っています」と期待を込めた。

最後に会場の観客へ李監督は、「11月から韓国で公開されます。どうぞお力を貸してください」と挨拶し、黒川は「今日ここでお話できたことはとても嬉しいです。また 11 月に公開された際には沢山の方々に観ていただければすごく嬉しいです」と述べた。吉沢は「昨日と今日と上映会、Q&Aをさせていただき、皆様がこの作品を前のめりに観てくださったことが伝わり、とても嬉しく思います」と釜山での手ごたえを感じ、感謝を伝えた。
◆英語字幕版上映が決定
また日本では、5 都府県(東京・神奈川・愛知・大阪・沖縄)にて10月3日(金)から英語字幕版上映が決定。TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ新宿、109シネマズプレミアム新宿、TOHOシネマズ池袋、横須賀HUMAXシネマズ、ミッドランドスクエアシネマ、TOHOシネマズなんば、シネマライカム、ユナイテッドシネマPARCO CITY 浦添の計10館で上映される。
◆釜山国際映画祭について
韓国南東部の都市釜山で開催される国際映画祭。国際映画製作者連盟公認の国際映画祭であり、アジアを代表する画の祭典として常に注目を集めている。釜山シネマセンターをメイン会場とし、国内外の約300作品(ワールドプレミア約100作品)が上映され、来場者数は約20万人を記録している。
◆ストーリー
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。 正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる ――。
映画『国宝』
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