『放送局占拠後』配信!占拠シリーズに欠かせない“あの「獣」”も参戦!? オリジナルストーリーならではの占拠シリーズを100倍楽しむ仕掛けとは?【大病院・新空港占拠 過去作一挙振り返り】

9月20日(土)に最終話を迎えた日本テレビ系の土曜ドラマ『放送局占拠』。第1話がTVerで200万回再生を突破し、放送開始後にはXのトレンドで1位になるなど話題を集めている今作だが、本編の後日譚(だん)を描いたHuluオリジナルストーリー『放送局占拠後 SEQUEL』が、前・後編で2週連続配信される。
前編は、9月20日(土)の本編最終話放送後からHuluにて独占配信開始。後編は、その翌週の9月27日(土)から配信予定となっている。
今回のオリジナルストーリーでは、本編の最重要人物ともいえる武装集団“妖(あやかし)”のリーダー“般若”であり、警視庁刑事部BCCT捜査員であった伊吹裕志(加藤清史郎)が主人公。放送局占拠後に新たな監禁事件に巻き込まれた伊吹が、密室に閉じ込められた人質たちとともに、生き残りをかけて“悪魔のゲーム”に立ち向かう。
櫻井翔が本編主人公の刑事・武蔵三郎を演じる占拠シリーズは、2023年に放送された『大病院占拠』に始まり、その翌年放送の『新空港占拠』がシリーズ2作目、そして今作『放送局占拠』がシリーズ3作目となっている。占拠シリーズは、武装集団に占拠されたさまざまな巨大施設を舞台に、制限時間内に武蔵が次々と事件の真相を暴き、人質を救うとともに、武装集団の目的を明らかにしていくタイムリミット・バトル・サスペンスドラマだ。
武装集団からの要求にはタイムリミットが設けられ、時間内までに事件の真相究明に成功しなければ、人質の命が失われてしまうという状況下で、手に汗握るストーリーが繰り広げられる。
武装集団のメンバーたちは毎回“面”をかぶっており、ストーリーが進むにつれて一人一人その素顔が明らかになっていくのだが、面の下の正体を明かされるシーンはいつも衝撃的。劇中のどういった登場人物なのかという要素に注目が集まるのはもちろんだが、メタ的にどんな俳優が演じていたのかにも視聴者は毎度毎度驚かされるのだ。
さらに、シリーズには毎回“裏切り者”が潜んでおり、人質・警視庁・武装集団など、さまざまな登場人物たちによる“どんでん返し”も見どころ。裏切り者の正体に、武蔵の名台詞「嘘(うそ)だろ……」が飛び出すかどうかも、ファンが期待するポイントとなっている。
ネットやSNSでは多くの視聴者が武装集団の正体や裏切り者について予想し、Xでは放送直後にトレンド入りすることも。このように、視聴者参加型の考察ドラマという点も大きな魅力と言えるだろう。
そして過去のシリーズ2作も、Huluオリジナルストーリーを配信している。
1作目『大病院占拠』のオリジナルストーリー『大病院占拠前 the night before』(前編16分/後編25分)では、鬼の面をかぶった武装集団“百鬼夜行”のリーダーである“青鬼”こと大和耕一(timelesz・菊池風磨)が主人公。病院占拠事件を起こす前に巻き込まれた密室監禁事件について描かれている。
2作目『新空港占拠』のオリジナルストーリー『新空港占拠前 Run,Mouse,Run!』(前編26分/後編28分)では、武装集団“獣(けもの)”の中で孤軍奮闘するミステリアスなメンバー、“鼠(ねずみ)”こと新見大河(SixTONES・ジェシー)が主人公。本編の獣による“かながわ新空港”占拠事件の1か月前に起こった、とある監禁事件に巻き込まれる様子を描く。
いずれも本編の重要なカギとなる占拠シリーズのHuluオリジナルストーリー、その魅力を一気に深掘りする!
■『大病院占拠前 the night before』すべてはここから始まった……

1作目の『大病院占拠』は、神奈川県警捜査一課の刑事・武蔵三郎の妻であり優秀な医師でもある裕子(比嘉愛未)が勤める“界星堂病院”が舞台。
ある日、突然院内に爆発音が鳴り響き、鬼の面をかぶった謎の武装集団“百鬼夜行”が、医師や患者など10名を人質に取って界星堂病院を占拠する。武蔵は人質を救うため、“鬼”たちが犯行に至った理由、そして病院にまつわる人質たちが犯した“罪”を一つずつ暴いていく――。
ストーリー終盤には、神奈川県警のSIS捜査員であった相模俊介(白洲迅)が百鬼夜行の一員であったことが判明。人質の1人である神奈川県知事の長門道江(筒井真理子)が秘密裏に進めていたワクチン開発計画に、相模の婚約者が巻き込まれ亡くなってしまったことを理由に、“鬼”の一員として暗躍するようになったのだった。
Huluオリジナルストーリー『大病院占拠前 the night before』では、百鬼夜行のリーダー“青鬼”こと大和耕一と相模俊介の2人が、界星堂病院を占拠する半年前に遭遇した出来事が描かれる。
2人は界星堂病院の設計図を入手するため、病院を設計した“但馬設計事務所”に潜入。その後、設計事務所の職員3人と警備員に居合わせ、階下に降りるために全員でビルのエレベーターに乗り込んだ。すると突然、謎の気体がエレベーターに充満し、全員意識を失ってしまう。
全員が目覚めると、職員たちと警備員の首には、毒入りの首輪が巻き付けられていた!エレベーター内のモニターからは、「生きてエレベーターを出たければ、この中にいる殺人犯を見つけ出してください。制限時間は10分です」と謎の声から指示が……。大和と相模は殺人犯を見つけるべく、職員らの周囲で不審な死を遂げた人物について探っていく。
しかし最初の10分で殺人犯の目星がつかなかったため職員の1人が毒殺され、さらなる恐怖に追い込まれる人質たち。謎の声は「それではまた10分後にお会いしましょう」と告げる。10分以内という制限時間は、本編で設定される大半のタイムリミットよりも短いため、ある意味、本編以上のスピード感とスリル感が満載で、否応なしにその世界観に引き込まれいくのだ。
最大の見どころは周囲の人質たちが焦り混乱する中で、クールかつ的確に推理を進めていく大和の姿だろう。誰もが疑わしい状況で、大和は一人一人の行動に注視するとともに、エレベーター内に隠された仕掛けまでも見破る。こうした大和の冷静沈着さと見事な観察眼が、緻密に計算された本編の大病院占拠計画に活かされているのだと納得もさせられる。
さらに最後には“殺人犯”の正体はもちろん、“謎の声”の正体も判明し、幕を下ろすその瞬間まで目が離せない、まさかの“どんでん返し”が待っているのだ。
そして『大病院占拠前 the night before』ならではの魅力を語るうえで欠かせないのが、大和が“鬼”になったきっかけが明かされること。大和はこの事件をきっかけに大病院を占拠するという壮大な計画を構想するに至ったのだが、彼に影響を与えた意外な人物の正体、彼が“復讐(ふくしゅう)の鬼”になった瞬間など、このオリジナルストーリーでしか描かれていない、本編へとつながる重要なカギとなる要素が多く盛り込まれているのである。
特に注目していただきたいのが、大和が事件解決後に“とある人物”との会話を通して、その表情を一変させるシーン。大和はその人物の言葉に、まるで何かに気づかされたように衝撃を受けた表情を浮かべるのだ。大和に影響を及ぼしたこの人物とはいったい誰なのか。大和はなぜ本編で“仮面”をかぶることにこだわったのか。
大和が“百鬼夜行”という集団を作ったワケがここで明かされる。占拠シリーズが始まった原点を刮(かつ)目せよ!
●大病院占拠Huluオリジナルストーリー『大病院占拠前 the night before』
■『新空港占拠前 Run,Mouse,Run!』獣の中で「鼠」が覚醒したワケ

2作目『新空港占拠』では、神奈川県初の国際空港“かながわ新空港”が舞台となる。かながわ新空港の開港式が執り行われている最中、突如謎の武装集団“獣(けもの)”によって空港が占拠!
前作では、神奈川県警の情報分析官として活躍していたはずの駿河紗季(宮本茉由)が、獣のメンバー“蛇”であったことが早々に判明し、武蔵に人質との交渉人となるよう脅す。武蔵は、獣たちの意図を明らかにすべく、空港にまつわる数々の不審な事件を調査することに……。
そんな中、裕子を脅迫して連れ回す謎の人物が。この人物は、空港を占拠する“獣”たちからは離れて単独行動をとっていた“鼠(ねずみ)”こと新見大河だった。新見は武蔵家に対する“恨み”を晴らすため、裕子を人質に、武蔵を追い詰めていく。
そして新見は最後に、武蔵の姉・二葉が隠す重大な“嘘”を暴くよう武蔵に要求し、武蔵との死闘を繰り広げるのだ――。
Huluオリジナルストーリー『新空港占拠前 Run,Mouse,Run!』では、本編で重要なカギを握る新見が“鼠”として覚醒するきっかけが明かされる。
空港占拠事件の1か月前、新見は自身の姉である百花(楠木杏)の命が権力者たちによって奪われた真相を確かめるため、事件以来廃墟(はいきょ)と化していた“界星堂病院”へ潜入。しかし、院内で突然何者かに襲撃され、意識を失ってしまう。
新見が目を覚ますと、占拠事件前に界生堂病院に勤めていた医師や看護師含む4名とともに、鎖で片足をつながれ監禁されていたのだ。恐怖で冷静さを失う人質たちに向かって、突然館内放送のスピーカーから機械音声が流れ、“なぞなぞ”が出題される。
制限時間内に“なぞなぞ”に正解できなければ起動した爆弾によって人質たちの命はない。しかも1問につき制限時間はなんとたったの1分間!
言わずもがな、本編の制限時間よりも『大病院占拠前 the night before』の制限時間よりも圧倒的に超短時間。息をつく暇もない極限の緊迫感はシリーズ随一だ。
パニックになる人質たちに、その後も次々と“なぞなぞ”が出題され、死のタイムリミットが迫っていく。これらの“なぞなぞ”は、半年前に起こった通り魔事件に関連しており、犠牲者となった元同僚をめぐって人質たちの“犯人さがし”が始まるのだった。
毎回爆弾が作動する“死のなぞなぞ”に立ち向かうスリルや、人質たちの間で繰り広げられるドロドロの人間ドラマが見どころ。犠牲となった元同僚との関係性が明らかになるにつれ、冷静さを失っていく人質たち、そしてお互いを貶(おとし)めようと疑い合う様は、人間の醜い本性が感じられる。
また、前作で人質となっていた医師の若狭(稲葉友)が今回も登場。若狭は鋭い洞察力で“なぞなぞ”の答えを当てていき、人質たちの証言を聞きながら推理をリードしていく。そんな中、新見は人質たちの言動や行動をひとり静かに観察しながら、真犯人を探ってゆくのだが、こうした新見の態度は本編にも通ずる部分がある。
“獣”たちとの行動を避け、1人で頭の中で計画をめぐらせ、単独で実行に移す。新見の根っからの“孤高”気質がオリジナルストーリーでも表れているというわけだ。このように彼のパーソナリティについても細かく描かれているため、新見というキャラクターの“解像度”がより一層高まるに違いない。
新見はこの事件で、監禁犯の目的が最後まで果たされなかった事実を目の当たりにし、監禁犯と自身の立場を重ねるようになる。新見はなぜ本編で、ほかの獣のメンバーから孤立し、人質たちの“死”を強く望むようになったのか、その深いワケがこのオリジナルストーリーで明らかになるのだ。さらに、本編冒頭から新見はケガを負っている状態だが、なぜ負傷していたのか、そのヒントとなる重要なシーンも。
本編では語られないミステリアスな新見の心情に触れることで、より一連のストーリーに没入することができるだろう。
●新空港占拠Huluオリジナルストーリー『新空港占拠前 Run,Mouse,Run!』
■『放送局占拠後 SEQUEL』あの人物が復活! 新シリーズへの布石も?

【以下記事内 本編のネタバレ含みます】
そして最終回を迎えた3作目『放送局占拠』。前作の空港占拠事件から1年後、またしても新たな占拠事件が発生。今度の舞台は、来る都知事選挙に向け選挙特番を放送中だった“テレビ日本”だった。放送中に突然爆発音が鳴り響き、選挙特番に出演していた“般若”が立ち上がって、謎のアナウンスをする。テレビ局は突如、“妖(あやかし)”という武装集団に占拠されてしまったのだ。
再び武蔵が武装集団の目的を解明すべく奔走するその裏では、界星堂病院占拠事件で服役中だった大和が拘置所を脱走し、警視庁刑事部BCCT捜査員で裕子の弟である伊吹裕志を拉致していた。
しかし第5話の最後に、武装集団「妖」のリーダーの正体が、大和に拉致されていたはずの伊吹だと判明!実はシーンの時系列が入れ替えられており、放送局占拠事件が起こる3ヵ月前に、伊吹は大和に拉致されていたのだ。伊吹は5年前に起きた“鎌鼬(かまいたち)事件”で最愛の恋人を失ったが、大和からその真相を聞いたことで、大和の計画に乗ることを決め、“妖”に寝返ったのだった。
迎えた最終話。伊吹は真の狙いである“見えない民衆”への復讐を謀ったが、最終的な目的を果たせないまま、命からがら病院に搬送される。
――『放送局占拠後 SEQUEL』は、放送局占拠事件後に伊吹が新たに巻き込まれた監禁事件を描く最新オリジナルストーリー。
搬送されていたはずの伊吹が目を覚ますと、そこには保育園のような異様な場所が広がっていた。伊吹のほかに4名の人物がこの密室に監禁されており、みな状況がつかめずパニックになる。そして突然、大きな物音が聞こえ、ロッカーの中から手足を縛られたある人物が飛び出す。その正体はなんと、1作目では武蔵の同僚で、2作目では武装集団の一員であった駿河紗季だった……。
占拠事件の犯人が2人もいる状況に動揺する一同。その時、部屋の中央にあったオブジェから拳銃を持った人形が現れ、その人形はこの中にいる“悪い鳥”を見つけろと要求する。もしも要求に応えられなければ全員射殺されてしまうという緊迫した状況で、タイムリミットが迫る中、生き残りをかけた心理戦が始まる!
この『放送局占拠後 SEQUEL』の最大のポイントは、これまでのオリジナルストーリーは本編の前日譚(だん)だったのに対し、今作は後日譚であるということ。現時点の占拠シリーズにおいて、時系列的に“もっとも後”の物語が描かれるのである。
ほかにも伊吹の亡くなった恋人との幸せな思い出や、駿河が再び舞い戻ってきた理由など、語られてこなかったさまざまな真実が明らかになる点も見どころ。それだけでなく、後編では新シリーズに向けての布石もちりばめられており、占拠シリーズファンにはたまらないシーンが目白押しなのだ。
■Huluオリジナルストーリーで占拠シリーズの“解像度”が上がる!
ここまで占拠シリーズ3作品それぞれのHuluオリジナルストーリーの魅力を紹介したが、1作目・2作目に共通するのは、本編重要人物たちの犯行に至るまでの心情の変化が描かれていることだろう。本編で突如として君臨する武装集団のメンバーには、ストーリーが進むにつれて、それぞれが抱える悲しい過去や、犯行に手を染めざるを得なかった事情が明かされていく。
しかし1作目の“青鬼”こと大和耕一、2作目の“鼠”こと新見大河には、彼らの計画はどのように構想されたのか、また、彼らが犯行の中で意識しているマインドはどのように形成されていったのかまでは、本編では描かれていなかった。
本編でもそれぞれの大切な人を失ったという悲しい過去は明かされていたが、それでも細やかな心情の変化までは描写されておらず、彼らの深淵まで掘り下げられていなかったので、オリジナルストーリーによって大和と新見への“解像度”が高まるはず。前日譚となるこの2作品には、本編をさらに楽しめる重要な要素がちりばめられているのだ。
そして、3作目のオリジナルストーリーには1作目や2作目との大きな違いがある。そう、占拠事件が解決した後の後日譚であるということだ。
これまでのオリジナルストーリー同様、伊吹の過去など、放送局占拠事件につながる重要人物の心情を掘り下げていることはもちろんだが、“新たに始まる物語”へのヒントが隠されているという点は最大の見どころではないだろうか。
――大反響を呼んでいる占拠シリーズをもう一度楽しむ、もしくは今から楽しむなら、Huluオリジナルストーリーを含めて視聴することで、緻密に仕組まれたストーリーを体感し、よりマニアックに占拠シリーズの世界観を味わえるはずだ。
●放送局占拠Huluオリジナルストーリー『放送局占拠後 SEQUEL』