名作ミュージカルの歴代キャストが織りなす感動の競演!モーリー・イェストン80周年コンサート東京公演レポート                                     

2025.7.22 18:30
コンサート『Life's A Joy! Life Goes On!!』の舞台集合写真

トニー賞を2度受賞した巨匠が生み出した珠玉の楽曲たちが、歴代キャストの歌声でよみがえる夢の舞台。梅田芸術劇場20周年とモーリー・イェストン生誕80周年を記念したコンサート『Life’s A Joy! Life Goes On!!』が、7月19日東京国際フォーラム ホールAで開幕した。約40曲を2幕にわたって披露する充実した構成。しかし、単なる楽曲集ではない。各キャストが過去に演じた役への深い愛情と、モーリーが紡いできた音楽に対する敬意が込められた、まさに“スペシャルな”舞台だった。本記事では19日18時公演の様子をレポートする。(※写真は7月20日12:00公演より)

(以下、公演のネタバレを含みます)

「The Grand Parade」でコンサートは幕を開けた。『グランドホテル』を象徴する回転扉から登場してきた全出演者によるオープニングナンバーが会場を包み込み、フルオーケストラによる演奏が場内の期待感を高めていく。まずはその『グランドホテル』の楽曲から。成河による「At the Grand Hotel」で豪華絢爛なホテルと渦巻く人間模様の記憶が鮮やかに蘇る。珠城りょうが歌う「Roses At The Station」では宝塚版での記憶と現在の彼女の成長が重なり合い、楽曲の持つドラマティックな魅力を万感の思いを込めて表現する姿が印象的だった。2016年公演でグルシンスカヤを演じた安寿ミラは、伊礼彼方と共に「Love Can’t Happen」を、そして「Bonjour Amour」を披露。伊礼とのデュエットは、『グランドホテル』の世界観の中で育まれる恋の甘美さと切なさを見事に表現。『グランドホテル』チーム全員での「We’ll Take A Glass Together」では客席からも自然と手拍子が湧き上がった。

死神が初めて取った二日間の休暇。『DEATH TAKES A HOLIDAY』で描かれる生と死の物語を紡ぐ繊細でダイナミックな旋律を、山下リオ、伊礼彼方、皆本麻帆、東啓介、海乃美月が披露する。親友の戦死を歌う東の「ROBERTO’S EYES」は心を揺さぶる熱演だった。コンサートのタイトルにも掲げられた「LIFE’S A JOY」。“素晴らしき人生”と歌い上げる鮮やかなこの楽曲は、コメディタッチでありつつも人生の本質を問う本作のメッセージを客席と共に味わう時間となった。

空気を一変させる『TITANIC』のOverture。誰もが知るタイタニック号の物語を“実際にそこに生きた人々”を軸に描いたこのミュージカルからは、佐藤隆紀の「バレットの歌」、屋比久知奈による「なりたいメイドに」など、物語を彩る名曲の数々が続いた。上口耕平と加藤和樹による「プロポーズ〜夜空を飛ぶ」、岡田浩暉・加藤・佐藤隆紀による「諍い」など、まるで再演に立ち会ったかのような熱のこもった歌声に客席からは大きな拍手が贈られた。「いつの世も~征け! タイタニック」に象徴される、壮大かつ抒情的な音の重なりはモーリー作品の真骨頂。登場人物の奥に横たわる物語を感じさせる響きが会場を満たした。

2幕は『NINE』『ファントム』の世界へ。彩吹真央、昆夏美、屋比久知奈らによる「My Husband Makes Movies」を皮切りに、「Be Italian」「Nine」と続く流れは、モーリーの楽曲が持つ多面性と豊かさを改めて示した。このコンサートで『NINE』の楽曲に挑戦することとなった彩吹は「Nine」を母親の慈愛を感じさせる歌声で、「Folies Bergeres」ではショースターの貫禄も鮮やかに劇場を魅了。圧倒的な存在感を放つ和央ようかの「僕の悲劇を聴いてくれ」で始まった『ファントム』。コンサートのハイライトの一つでもある楽曲群は、山下リオによる「Melody de Paris(パリのメロディ)」、どこかチャーミングで憎めないカルロッタを演じた皆本の「This Place Is Mine(私のもの)」と続いていく。とりわけ印象深かったのは真彩希帆と加藤によるデュエット「Home(ホーム)」。透明感に満ちたクリスティーヌを演じる真彩の歌声と、オペラ座のファントムとして生きる加藤演じるエリックによる音楽讃歌は公演時の感動をより美しいものに昇華させたひとときとなった。岡田演じるキャリエールと加藤のエリックによる「You Are My Own」では涙あふれる熱演に胸を打たれ、モーリーの楽曲がいざなう『ファントム』の世界に惜しみない拍手が贈られた。

モーリー・イェストン本人からのビデオメッセージも寄せられた。音楽、そしてミュージカルとの出会い、観客への感謝。さらに『In the Beginning』より父から息子への愛に満ちた楽曲「New Words」の制作秘話も明かされた。このコンサートのためにモーリーによって書き下ろされた新曲「Our Friendship」を伊礼・加藤・真彩が歌唱。MCを務めた加藤は「Life’s A Joy! Life Goes On!! 人生は喜びであり、そして人生は続いていく。いついかなる時も、作品の中で、音楽の中でモーリーが描いてきたメッセージです。このメッセージを胸にそれぞれのライフを生きていく先で、またお会いできることを楽しみにしております。」と語った。

コンサートだからこそ可能となった特別なコラボレーションや演出は見逃せない。毎公演、出演者や歌唱者も異なるため「その瞬間にしか味わえない」音楽の祝祭を体感してほしい。

■公演情報
大阪公演:7月26日(土)・27日(日) 梅田芸術劇場メインホール ※7月27日12:00/17:00公演にて配信実施

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