最終回直前のドラマ『僕たちの校内放送』 最年少プロデューサーがこだわった作品の軸 「青春・友情・ラジオ、すべてを描きたい」

2023.8.22 19:30

フジテレビドラマ枠「火曜ACTION!」(関東ローカル)で放送中の『僕たちの校内放送』が22日(火)深夜、いよいよ最終回を迎える。SNS上では「もう終わり?せっかく毎週の楽しみが増えたのに…」「うちの学校でもラジオやって欲しい」「もっと見ていたい」といった終了を惜しむ声が多く上がっている。

「友情×校内放送(ラジオ)×青春」という3つの要素が詰まった全4話構成の完全オリジナルストーリーである本作は、実は若い世代の総力を挙げて生み出された作品だ。Netflixオリジナルシリーズ『FirstLove 初恋』で注目された木戸大聖(きど たいせい)が本作で連ドラ初主演を務めているほか、前田旺志郎(まえだ おうしろう)、中田青渚(なかた せいな)、米倉れいあ(よねくら れいあ)など今注目の若手俳優たちが集結しており、さらにプロデューサーを務めた足立遼太朗(あだち りょうたろう)氏はフジテレビのドラマ・映画制作部プロデューサーの中で最年少27歳。木戸大聖と同い年だ。

『僕たちの校内放送』足立遼太朗プロデューサー
©︎entax

entaxはそんな気鋭のドラマプロデューサー・足立氏に単独インタビューを実施。わずか4話という短い物語ながらも観た人の心を掴んでいる作品『僕たちの校内放送』はどのようにして作られたのか、その舞台裏を聞いた。

ドラマ『僕たちの校内放送』
高校2年生で放送部員の主人公の今野浩哉(こんの ひろや、木戸大聖)が同級生たちとラジオを意識した番組で校内放送を盛り上げていく物語。引っ込み思案で学校でも目立たない放送部員の浩哉がある日、放送部の顧問から廃部を言い渡され困惑していたところ、同級生の大城健太(おおしろ けんた、前田旺志郎)とひょんなことをきっかけに校内放送で“ラジオ”をやることになる。内気でさえないラジオ好きな浩哉と、コミュ力抜群ながらラジオに興味がない健太。さらにそこへ「ハガキ職人」の藤原瑞輝(ふじわら みずき、中田青渚)が“放送作家“として仲間入り。短くも熱い青春と友情の日々が、ラジオを通じて紡がれていく――。

『僕たちの校内放送』足立遼太朗プロデューサー
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■ドラマを作りたい一心で企画書を作り続けた2年間

――初めに、足立さんがドラマプロデューサーとなった経緯を教えてください

足立 フジテレビに入社してすぐ情報制作局に配属となり、『直撃LIVE グッディ!』や『バイキングMORE』のADをしていました。ドラマ・映画制作部への配属を希望していたのですが、最初は叶わなかったんです。なので、いっぱい企画書を出していたんですね。休みの日とか仕事じゃない時間に企画書を書いては、ドラマ・映画制作部の人に見せにいっていました。面白い原作があったらそれを企画書にしてイメージキャストを書いたりとか、素人レベルですけどオリジナルでストーリーも簡単に書いたりとか。そんなことを2年間くらい続けた時に、希望していたドラマ・映画制作部へ異動になりました。そして今回、若手の育成にも力を入れている「火曜ACTION!」という枠で『僕たちの校内放送』の企画が通ったという形です。「高校の校内放送を使ってラジオをやる青春モノ」というところが、王道の要素がありつつ、あまりなかった切り口だと評価していただきました。

――企画が通った時、また実際に制作をスタートさせてからの気持ちはどうでしたか?

足立 任された時はめちゃくちゃうれしかったのですが、どんどん不安も募りました。いろんな先輩方にお話を聞きに行きましたね。「自分が本当にやりたいこと、初心というか企画当初の気持ち、“軸”は、最後までブレさせない方がいい、曲げたくない部分は持っておいた方がいい」というのを何人もの方から言われました。企画プロデューサーという、いわゆるチームのキャプテンのようなポジションの人が右へ行ったり左へ行ったりしてしまうと、チームも指針を見失ってバラバラになってしまうので、「プロデューサーがしっかりやりたいことを、信念を持って進んでいくことが大事だよ」と。ですので、今回のドラマ(『僕たちの校内放送』)を作っている間も企画当初の初心に立ち戻ったり、「軸」をしっかり持つことはすごく意識していました。

©︎フジテレビ

■ニッポン放送に全面協力を依頼 リアルさにこだわって描いた3つのテーマ

――本作を作る上でブレさせなかった「軸」は?

足立 今回は「友情」と「ラジオ」と「青春」という3つの大きなテーマがあり、その3つともをちゃんと描いていきたいという思いがありました。それは脚本の伊吹一さんや前田知礼さん、熊谷理恵プロデューサー(大映テレビ ※制作協力)、清矢明子監督も同じ思いでした。どれか一つに偏ってもダメで、ここが難しかったですし、最後まで頑張って追い求めようと思っていたところですね。ラジオファンにしか届かない専門的なドラマにはしたくなかったですし、ちゃんとそこに青春真っ最中の高校生ならではの友情もあるような、3つの要素が共存し、それぞれがきちんと際立っている作品を目指しました。例えば学生時代の「あの頃はあいつとずっと一緒にいたな、いて楽しかったな」みたいな思い出って、すごく鮮明に残ると思うんです。期間としてはそれほど長くないのに、なぜかすごく“濃い”んですよね。『僕たちの校内放送』でも劇中の期間をあえて4か月と短く設定することで「一瞬の友情だけど一生の友情」というか、「あの4か月はすごく濃かったな」と思える、学生ならではの友情を描いています。

――「校内放送(ラジオ)」はどんなところにこだわりましたか?

足立 本作はラジオファンにも刺さる「ラジオを大切にしたドラマ」にしたいと考えました。そのためにはまずラジオのプロの人たちの意見を取り入れるっていうことは絶対やらなきゃいけないなという思いがあったので、企画段階からいち早く「ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93(以下、ニッポン放送)」さんにご協力をお願いしました。ニッポン放送さんのスタジオも見学させていただきましたし、ご相談させていただく中で実際のラジオの音源もお借りしました。劇中で出てくるグッズ(携帯に貼るステッカーなど実際にある番組のノベルティ)もお借りしたものがたくさんあるんです。ただその中でも専門的になりすぎないように、台本を読んでいただき物語に自然に馴染むようなアドバイスをいただきました。またこれは最終話のお楽しみの一つでもあるんですが、実在するラジオ番組『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』に劇中で登場していただき、パーソナリティの佐久間宣行さんに本人役で出演していただいています。他にも作家さん、ディレクターさん、ミキサーさん、“チーム皆さん”で出ていただいていますので、ラジオリスナーの方々はすごく楽しみにしていただけるんじゃないかなと思います。

――「青春」を描く上で意識したことは?

足立 これについては、校内放送とラジオをかけ合わせること自体に青臭い青春が詰まっているなと思ったんです。脚本家さんとも何度も話し合いましたが、そもそも校内放送とラジオは似ている部分こそあれど、全然違うものですよね。校内放送では喋った内容をみんなが同じように聞く、全員が共有する。でもラジオは基本的に家で一人の時とか、イヤホンとかで一人で聴くもの。この2つは全然違うのに、主人公の浩哉はラジオが好きだからというだけで、それを校内放送でやっちゃう。それがすごい学生ならではの発想で、青臭い青春そのもので素敵だなと思ったんです。自分が憧れたものを見よう見まねでやってみるとか、学生時代にきっと誰もが経験しているんじゃないでしょうか。

木戸大聖 演じる主人公・今野浩哉
©︎フジテレビ
前田旺志郎 演じる大城健太
©︎フジテレビ
中田青渚 演じる藤原瑞輝
©︎フジテレビ

■若い世代の力が結集「観てくれた人に熱が伝わる作品に」

――若手俳優が多く出演する本作。撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

足立 撮影現場に毎日行って感じたことは、木戸さんも前田さんも、中田さんや他の方々も、すごくお芝居に熱いというか、貪欲に向かい合う方々だということです。休憩中なんかでも、次のシーンはどうしようとお話しされているところをよく見ましたね。台本にもすごく向き合ってくださって、「この熱い思いが観てくれた人たちに伝わるように頑張ります、すごくいい作品にしたいです」とか「ここってこういう風に言った方がいいですかね」と清矢監督や僕に聞いてきてくださることも多かったです。あと単純に今回の作品にすごく「青春」を感じていただいていたようで「演じてて楽しいです。この楽しい思いも伝わって欲しいです」と、皆さんおっしゃってくれていました。うれしかったですし、びっくりしましたね。プロ意識の高さと、熱さに。僕も常に頑張らないといけないなと思わせていただきました。特に主演の木戸さんはたまたま年齢も同じで、こんなすごいお芝居をする同世代の人がいるんだなと感銘を受けました。『FirstLove 初恋』の中でもお芝居がとても魅力的で、いつかご一緒させていただきたいと思っていましたし、今回の企画を思いついた時も、木戸さんなら主人公の浩哉を自分たちが想像している以上の役として演じていただけるんじゃないかと思ってお願いさせていただきました。

浩哉と健太のワンシーン(第4話より)
©︎フジテレビ

――改めて本作『僕たちの校内放送』に思うこと

足立 僕自身もラジオリスナーでした。特に高校3年生の受験期とかはとにかく孤独な戦いだったので、家で一人で勉強している時や休憩している時、寝る前とかにオードリーさんのラジオを聴いていました。孤独が紛れるというか、そっちに夢中になれる。ラジオというエンターテインメントのパワーは凄まじいなと脚本家さんとも話していて、そんなラジオで何かできたら面白いんだろうなっていうのがずっとあったんです。すごくおこがましいかもしれませんが、観てくださった方々にほんの少しでもいい影響を与えられるような、前向きになれるというか、そういうドラマを作れていたらうれしいです。

――最終話の見どころを教えてください

足立 1話で告白を邪魔された健太が最終回で再び告白するのかどうか、佐久間宣行ANN0チームの皆さんがどのシーンにどういう形で登場するか、そして何と言っても最終話では浩哉たちの「最後の校内放送」が描かれます。彼らの最後の青春の行方がどのような形になっているのか、ぜひ見届けていただけたらと思います。

【作品情報】
≪タイトル≫
火曜ACTION!『僕たちの校内放送』(全4回)

≪放送日時≫
8月1日(火) 24時25分~24時55分
8月8日(火) 24時25分~24時55分
8月15日(火) 24時25分~24時55分
8月22日(火) 24時25分~24時55分
※関東ローカル
※時間変更の可能性あり
※各話放送終了後、TVer、FODなどで見逃し配信を配信

≪出演者≫
木戸大聖、前田旺志郎、中田青渚、米倉れいあ、鈴之助、加藤歩 他

≪スタッフ≫
プロデュース:足立遼太朗
協力プロデュース:熊谷理恵(大映テレビ)
演出:清矢明子
脚本:伊吹一、前田知礼
音楽:Akiyoshi Yasuda (Wee’s Inc.)

≪主題歌≫
『流声』めいちゃん

≪制作協力≫
大映テレビ

≪制作著作≫
フジテレビジョン

【公式HP】
【公式X(旧ツイッター)】
【公式Instagram】

写真提供:©︎フジテレビ
©entax

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