SNSがざわついた「Hulu」と「ディズニープラス」の相互ツイート 「Are you ready?」の謎

2023.8.1 17:30

【シリーズ:キーマンに直撃!2023年のSVOD各社はこう動く】
7月10日午後7時、動画配信サービスの「Hulu」と「ディズニープラス」の日本版Twitterアカウントに同時に投稿がアップされた。「Are you ready?」の一言と、互いがフォローし合ったことを証明するスクリーンショットだけという怪しい投稿にSNS上で臆測が飛んだ。実はその1週間前から順次、東京の地下鉄車内や構内に「Hulu」と「ディズニープラス」による謎めいた広告が出現していたからだ。この謎は、7月12日の「セットプラン発表」という形で解けるのだが、そのいきさつについて「Hulu」を運営するHJホールディングスの髙谷和男社長に聞いた。

■「Hulu」と「ディズニープラス」が渋谷駅で異色のコラボレーション

まずは時系列順に、東京の地下鉄で何が起こっていたかを紹介しよう。それは7月3日のことである。渋谷駅の地下2階、東急田園都市線のハチ公改札口にほど近い壁面に、高さ2メートル、幅10メートルもあろうかという巨大広告が掲示された。(掲出期間は7/3~7/11)

広告の中心には「Hulu」と「ディズニープラス」のロゴ。向かって左側には、「Hulu」の人気作品である「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」「世界の果てまでイッテQ!」『キングダム2 遥かなる大地へ』(読み:遥かなる(はるかなる))のビジュアルと、「ディズニープラス」の代表作ともいえる『アラジン』『アナと雪の女王』『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のビジュアルが対立するように並ぶ。

刺激的なのはそのキャッチコピーだ。「ディズニープラスよ、これが日本のエンタメだ。」とHuluが唱えれば、「Huluよ、これが世界のエンタメだ。」とディズニープラスがあおってくる。

向かって右側も「Huluよ、これがディズニープラスの独占配信作品だ。」とディズニープラスが話題の「マンダロリアン」「シークレット・インベージョン」『私ときどきレッサーパンダ』のビジュアルで迫ると、対するHuluが「ディズニープラスよ、これがHuluの独占配信作品だ。」と「美しい彼」シーズン2や「君と世界が終わる日に」Season4、「神の雫/Drops of God」(読み:雫(しずく))のビジュアルをして対抗する。

東京・渋谷駅の地下2階コンコースに現れた広告(Hulu提供)※現在は掲出終了、駅及び、駅係員へのお問合せはご遠慮ください

同様の広告は、銀座線、丸ノ内線、日比谷線など東京メトロの9路線の中づりでも展開された。(掲出期間は7/7~7/11)誰もが知るとおり「Hulu」と「ディズニープラス」は、定額制動画配信(SVOD)業界では競合だ。互いのアピール合戦はうなずけるものの、この広告は両社が手を携えて掲出したコラボレーションに見える。しかし両者からその理由について発信された情報はなく、広告を目にしたユーザーが「2社のコラボで驚いた」「意味深……」とSNS上でざわつき出したのだ。

■「Are you ready?」の答えは「皆さんの期待値に応えた」セットプラン

そして、1週間をかけてざわめきが大きくなる中、冒頭で紹介した7月10日午後7時が訪れる。「Are you ready?」のツイートが放たれるや否や「マジ?」「どういうこと?」と困惑する声と、「Huluとディズニープラスが統合するの?」という臆測が飛び交い、何度もトレンド入りするほど大バズりした。

7月10日に「Hulu」と「ディズニープラス」が同時にツイート

「(統合して)一つのサービスになるのかなと想像された方が多かったと思います」と髙谷氏は振り返る。「うれしい」「大歓迎」とコメントする人がいる一方で、心配の声を上げるユーザーが目についたようだ。「両方を見られるのはうれしいが値段が上がると困るとか、(これまでHuluで見ることができた)海外作品が見られなくなっちゃうんだったら嫌だといった声もありましたね」

2社が統合してこうなったらいいなという想像のストーリーを提案する人なども現れる中、7月12日の早朝、「Huluとディズニープラス、初のセットプランを7月12日(水)から提供開始」というリリースが投じられた。そう、謎の広告や怪しげなツイートの答えは、「Hulu | Disney+ セットプラン」だったのだ。

「SNS上で発信された皆さんの期待値に、恐らくしっかり応えたセットプランだと思います」と髙谷氏は語る。リリースによって種明かしされた後のSNSには「セットプラン契約したよ」という書き込みが続々と現れ、ユーザーの期待に応えたプランだったことが分かる。

「Hulu | Disney+ セットプラン」の内容を見てみよう。価格は月額1,490円(税込)だ。それぞれのサービスを単体で利用すると合計2,016円(税込)なので、単純計算でも500円以上安くなる。支払いはクレジットカードのみという制限はあるものの、「高くなったら困る」といった心配事は吹き飛んだ。

では、格安プランによくある制限、例えば各サービス単体なら見られる作品がセットプランでは見られないといったことはあるのだろうか。「ないです」と髙谷氏は強く答える。お得な価格で「Hulu」と「ディズニープラス」のコンテンツを何一つ欠くことなく楽しむことができるのだから、ユーザーの満足度も高いだろう。

SNS上ではサービスが一つになるのではないかという臆測もあったが、そうではない。「それぞれの今のサービスに満足されている方は、そのままそれぞれに入り続けていただくこともできるし、両方に入りたい、入っているという方であればセットプランがお得ですよというご提案ができるようになり、ユーザーの皆さまの選択肢を増やすことができました」と髙谷氏。SVODサービスへの選択肢を広げるというのが、今回のセットプランの存在意義でもあるようだ。

■世界のエンタメも、日本のエンタメも見放題なのに1,490円 

「Hulu | Disney+ セットプラン」は「まさに“なんでも楽しめる”セットプラン」と髙谷氏が言うように、「Hulu」と「ディズニープラス」は得意とする作品群のタイプが違うが故に二つが合わさることで、とてつもなく豊富な作品にお得に出会う機会になる。改めてそれぞれの特徴を見てみよう。

「THE HEAD」Season2 Huluで独占配信中 ©Hulu Japan(Hulu提供)

「Hulu」は、映画・ドラマ・アニメ・バラエティーなど国内外の人気作品10万本以上が見放題だ。そこには「世界の果てまでイッテQ!」などのテレビ番組や海外ドラマも含まれる。例えば「CSI:科学捜査班」をはじめとするCSIシリーズといった大ヒットシリーズから最新作、日本初上陸の作品と幅広いのだ。

さらに今年は、木村拓哉の出演で話題になった超大型深海SFサスペンス「THE SWARM/ザ・スウォーム」や、福士蒼汰が海外ドラマ初出演を果たした心理サバイバル・スリラー「THE HEAD」Season2など、海外のクリエイターとタッグを組んだオリジナルの海外ドラマ作品がめじろ押しだ。

加えて、月額視聴のほかに都度課金制ができることで、舞台や音楽イベントなどのライブ配信や、1作品ごとのレンタルや購入ができるのもHuluの魅力の一つだ。

「ディズニープラス」は、『美女と野獣』や『トイ・ストーリー』、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』『マンダロリアン』など、ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル ジオグラフィックといった世界的なブランドの映画やドラマ、アニメーションが見放題だ。さら新たなコンテンツブランド「スター」では、韓国ドラマや日本のアニメ、ディズニープラスオリジナル作品などディズニープラスでしか見られない作品を次々と発表している。ディズニー作品だけだと思ったら大間違いなのだ。

具体的なタイトルを見ても、視聴者のどんな気分に合う幅広いラインアップがそろっているのが特徴だ。

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