新曲『ジグソーパズル』リリースのwacciに単独インタビュー 「日テレ系 こどもday」キャンペーンソングでこどもたちに伝えたい

2023.4.30 19:30

5月5日のこどもの日に、日テレ開局70年企画「日テレ系 こどもday JOIN! ~いっしょにつくる、ミライ~」が行われる。キャンペーンソングは、wacciがこどもたちのために特別に書き下した『ジグソーパズル』だ。新緑の季節にぴったりなメロディーと歌詞には、こどもだけでなく大人にも向けたメッセージが込められている。wacciのメンバー5人に、こどもの頃の夢とともに『ジグソーパズル』への思いを聞いた。

■歌詞にもサウンドにもとびきりこだわった 「僕らがずっと挑んできたことがちゃんと出ている」

インタビューには、ボーカル・橋口洋平、ギター・村中慧慈、キーボード・因幡始、ベース・小野裕基、ドラムス・横山祐介のwacciメンバー5人全員が参加してくれた。雑談しながら着席する中で、「一人っ子か末っ子が集まったバンド」なのだと教えてくれるなど、インタビューは和やかにスタートした。(以下、発言者は名字だけで敬称も略しています)

――『ジグソーパズル』は「日テレ系 こどもday」のキャンペーンソングとして書き下ろしの依頼を受けて生まれたとのことですが、話が来た時どのように思われましたか。

橋口 リモートでの打ち合わせだったんですが、(説明してくれた)日本テレビの方から「日テレ系 こどもday」に対するものすごく熱い思いを受け取りました。
「日テレ系 こどもday」は「JOIN! ~いっしょにつくる、ミライ~」がテーマです。こどもも一緒に参加してより良い世界、国をつくっていこう、というのを聞いて、僕らにオファーしていただいたわけがよく分かりました。うちのバンドは結構、老若男女問わずいろんな世代の方がライブに来てくれますし、楽曲も聴いていただいていますから。
だから、僕らにできることは精一杯やりたいなと受けさせていただいたんです。こどもたちにも分かりやすい言葉で、あったかいサウンドで、みんなで笑顔になれるような、前を向けるような、ミライを描けるような、そんなあったかい歌になればいいなとみんなで話しました。

――『パズル』がモチーフですね。今回の企画にピッタリだと感じましたが、どのように着想されたのですか?

橋口 リモートの打ち合わせでは、4月から施行されたこども基本法についても伺いました。例えば法律だったりルールだったりを決める時に、こどもの意見も採用して決めようという内容もありました。何か1つのことを決める時にこどもが参加する。みんなの国だし、みんなの街だから誰一人欠けても同じ街にはならないし、同じ国にもならない。“みんなが参加する”っていうキーワードでいろいろ考えて、思い浮かんだのがジグソーパズルです。
ジグソーパズルって1つ欠けたら、めっちゃ目立つじゃないですか。1ピースも欠けることができない。それにパズルって、1歳とか2歳とか結構小さな頃から遊ぶものだと思うんですよ。こどもから大人まで楽しめ、さらに1ピースの存在がすごく大きなもの。似ているものはあるけれど、それぞれ形が違っている。今回のテーマにリンクすることがすごくたくさんあるから、これはいいなと。

――橋口さん1人で考えたのですか?

橋口 作詞作曲は最初、僕がつくることが多いので、今回もテーマ決めも含めて僕がつくりました。レコーダーに録音した弾き語りをみんなに聴いてもらって、アレンジ的にいろんな可能性があったのでメンバーに3パターンくらいつくってもらって、その中から因幡がつくったアレンジになりました。
そういう意味では、サウンドもかなり選び抜いてこだわった曲です。王道のJ-popっていうか、僕らがずっと挑んできたことがちゃんと出ている、いい曲になっていると思います。

――みなさん、初めて『ジグソーパズル』を聴いた時どんな印象を持たれましたか?

因幡 そうですね。昔から橋口が持っている“らしさ”みたいなのが出ているなという印象でしたね。分かりやすい言葉でちゃんと物事を伝えるって結構難しくて、そういうところを、老若男女に伝わるような言葉で、でも歌詞としてちゃんと組み立てていくというのは、昔から橋口の強味だなって思っています。僕的には昔のwacci、デビュー当時とか、もっと前かもしれない、そんな感覚になりましたね。

小野 僕は、バンドを組んでしばらく経ってから、橋口が『大丈夫』とかの曲をつくるようになって、みんなのリアクションから、こんな歌詞だったら伝えやすいんだなといった経験を橋口がしたから生まれてきたのかなという印象でしたね。

横山 こういう優しい曲調の曲ができるバンドってwacciくらいかなって、僕は自負しています。橋口が出してくれるメロディや歌詞もですけど、バンドだけれども優しい音をつくれるところがwacciの強味だと思っているので、そういう意味ですごくwacciらしい曲になるだろうなと感じましたね。

村中 みんなの意見とほぼ一緒です(笑)。

――『ジグソーパズル』でどんなことをこどもたちに伝えたいですか?

橋口 歌詞に全部を込めたので、伝えたいことは“全部”なんですが(笑)、まずは最初の『似ている形はあっても、同じ形は1つもない」っていうところですね。この先、自分は大勢の中の1人であることを感じる瞬間ってたくさんあると思うんです。けれど、その“1人”はすごく尊い1人で、世界にたった1人の自分なんだってことが伝わる詩なのかなと思っています。
で、自分のピースの中には収まらないくらいの大きな夢を描けば、いつか同じ夢を持っている人と出会って、ぴったりはまって、手を取り合って一緒に夢を追いかけたりすることもできる。そういう意味では、僕らのバンドも同じ夢を5人で追いかけているので、自分たちのメッセージとしても届けられたらいいなと思います。

■こどもの頃「人生こんなになるとは思っていなかったから、不思議」

――ところで、みなさんのこどもの頃の夢は何でしたか?

横山 こどもの頃すっごく太っていたんですよ。その日その日を楽しんでいたら太っちゃったんですけど(笑)、音楽は好きで、ピアノを弾いたりしていました。けれど、それを職業にするイメージはいっさいなかったですね。
当時の自分からすると、今バンドをやっていることは想像もしていなかったこと。歌の中に『そのピースに何を描く』ってフレーズがあるんですけど、ミライはどうなっているか分からないから、あまり今にとらわれないで生きていったらいいんじゃないかなって思いますね。

村中 今もそんなに変わっていないんですけど、僕こどもの頃からいろんなものに影響されやすいところがあって、例えば『ブラックジャック』を読んですぐ「医者になりたい」と思ったし、何かのきっかけで「総理大臣になりたい」って思った時期もありました(笑)。
でもそれって、いろんなものに触れたから憧れみたいなものを持つようになったんですよね。今はいろんなものをたくさん見られる時代。この間もWBCで大谷翔平選手がすごく大きな夢を見せてくれたし、だから、こどもたちにはいろんなことに興味を持ってほしい……。
でもこういうのって、こどもに言うと説教臭くなっちゃうから心配なんですよね(笑)。

小野 分かる。だから音楽で伝えるんだな。

村中 そう。ライブに来て、憧れてくれたらうれしいなって思います。

橋口 こどもの頃思っていたのと今の職業ってずれている人、多いですよね。
でも僕、こどもの頃、感想文とか作文が得意で先生にほめられたり、小学生の時に当時住んでいた高知県で賞をもらったりして、何となく「文章書くのは得意」って思っていて、それが今、歌詞を書くってことで仕事になっている。だから、結果論ですけど、得意だとか、人よりちょっと知っているとか、これ好きかもって思うことは忘れないでいるといいと思うんです。
普通に過ごしている中で「これっ!」って思う瞬間が、こども時代にもいくつかあると思うんです。覚えていれば、自分は何になりたいんだろう、何に向いているんだろうって思った時に、ヒントになったり、鍵になる部分があるのかなって、思いますよね。

横山 賞をもらったっていうのは、先生とかにコンクール出しなよって言われたの?

橋口 確か、そう。それからは、作文の通信教育を受けたりしてね。

横山 気づいてくれる大人がいたわけだね。

因幡 僕はこどもの頃、「将来の夢は医者」って書いたんです。小学校の頃めちゃめちゃ勉強ができて、親が「医者になれる」って言うんで「俺もなれる」って(笑)。で、だんだん現実が見えてくるんですけど、ミュージシャンでご飯を食べていこうとは1ミリも思っていなかった。人生こんなになるとは思っていなかったから、不思議だなって思うんです。
こどもの頃に描いた夢の通りになる子もいれば、考えてもいなかった人生を歩む、僕みたいな人間もいる。どっちに転んでも自分が幸せならいいなって思うんで、僕は後悔していないですし、こどもたちにも、どこに転んでも全部正解だって伝えられたらいいなって思いますね。

小野 将来の夢ってその都度何となく答えていて確固たるものはなかったです。ただ、父がモノづくりが好きでパソコンをゼロからつくったり、家中の壊れたものを直すような人だったので、その部分は影響を受けていて、自分にとって都合が良いものは自分でつくるのが最適なんだろうなって漠然と思っていましたし、今では、生き方や職業もそうなんだと思っています。
こういう時代なので今のこどもたちは、我々世代と同じような生き方をするわけじゃないと思うんです。だから、自分にとって都合の良い生き方をつくっていけるようになっていってほしいです。
ああ、こんな面倒くさい言い方だとこどもには伝わらないですよね。なんかこう、好きなふうに生きてほしいです。

橋口 リーダーが一番いい着地をしましたね。僕もそう思います。

因幡 ですね。wacciの総意です。

■5月からツアー開始 「聴いてくれている人たちに会いに行く。互いが知っている曲で楽しもうよ」

――5月から『wacci Live Tour 2023 ~growing~』が始まります。大阪を皮切りに、新潟、仙台、福岡、広島、名古屋、香川、東京と各地を巡られますね。これまでも半年に1度のペースでツアーを行っていますが、wacciにとってのライブとは何ですか?

橋口 wacciは、直接みなさんの顔を見て、歌を届けることの大切さを感じながらやっているバンドなんですけど、改めて「何でそんなにライブやるの?」って言われると……何でだろう。

横山 今はインターネットやサブスクなんかで、みんなのリアクションが数字で分かるけど、例えば『大丈夫』で100万回再生されたって事実があっても、「誰が?」という思いがあって。それを自分たちが直接触れて、この人たちが僕たちの音楽を聴いてくれて、好きって言ってくれているんだって実感する、ある意味、答え合わせをさせてもらえる場所なのかなって思います。

因幡 その感覚はすごく分かる。

村中 僕は知らない土地で、知らない場所で、聴いてくれている人たちに会いに行くっていう感覚。そこでお互いが知っている曲で楽しもうよっていう、楽しい催しだと思っています。僕自身、演奏することが大好きで、ライブ自体、すごく好きで楽しんでやっているんで、そういうのを見てもらって、同じ楽しい気持ちになったり、悲しい曲を聴いたら何かを感じてくれたりしたらいいなって思います。

――最後に、wacciのミライを教えてください。

因幡 中長期的なゴールはあると思うんですけど、wacciがずっと続くことがうちらにとってのミライだと思っています。その先にある未来は、もしかしたらみんな違うかもしれないけれど、そこだけはみんな一緒だと思うんです。総意でいいよね。

全員 はい。総意!

【wacci Profile】
聞く人全ての「暮らし」の中にそっと入り込んでいけるようなPopsを届ける5人組バンド。2022年4月にリリースした『恋だろ』は時代を反映した歌詞が10代を中心に支持されロングヒット。8カ月でST再生回数は1億再生、SNSでの関連動画の再生回数は3億回以上。同年LINE NEWS AWARDS 2022『アーティスト部門』、第64回日本レコード大賞『優秀作品賞』を受賞。2023年は5月から全国ツアーを開催。ボーカル橋口洋平がほぼ全ての作詞・作曲を担当し、鈴木雅之・Uru・ジャニーズWEST・Hey! Say! JUMPなど、数多くのアーティストへの楽曲提供も積極的に行っている。

メンバー:小野裕基(Ba)/因幡始(Key)/橋口洋平(Vo.Gt)/村中慧慈(Gt)/横山祐介(Dr)
所属レコード会社:Sony Music Labels Inc.
所属事務所:キューブ

『ジグソーパズル』
作詞・作曲:橋口洋平
編曲:因幡始 

写真提供:ソニー・ミュージックレーベルズ

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