NFT IDOLE HOUSEから誕生したアイドルグループ「Fuhua」の総合プロデューサーすぅ(SILENT SIREN)単独インタビュー バンド一筋の彼女が新時代のアイドルを育てる真意

2023.4.16 11:00

SILENT SIRENのボーカル&ギターすぅが、“NFT IDOL HOUSE”というプロジェクトでアイドルのプロデュースを行う。“NFT IDOL HOUSE”は、見るだけ、会えるだけではなく、「運営できるアイドル」を作るプロジェクト。今回、新たに結成されるアイドルグループのファンコミュニティの会員権をNFTとして販売し、ファンは運営とともに、原石のアイドルを育てていく新たな試みである。バンドで数々の経験を積んできたすぅだが、実は数年前からアイドルグループをプロデュースしたいという思いを抱いていた。彼女がこのプロジェクトでどんなアイドルを育てていきたいと考えているのか。メンバーが発表される現段階での思いを語ってもらった。

『NFT IDOLE HOUSE』のプロデュースを手掛ける『SILENT SIREN』のボーカル&ギター・すぅ

■楽曲提供を通して、アイドルの知られざる魅力を知った

――すぅさんはなぜNFT IDOLE HOUSEのプロデュースを手掛けることになったのでしょうか?

私自身、バンド活動(SILENT SIREN)をしている中で、アイドルさんから作詞提供をお願いされる機会がたびたびありました。その時に、ただ提供するのではなくて、そのアイドルさんのことを勉強してから書けたらいいなと思って。楽曲を聴いたりライブに足を運んだりを繰り返していくうちに、自分の中のアイドルという概念が変わっていったんです。みんな「アイドルだからかわいくいなきゃ」とか「体重管理をしっかりしよう」とか、そういうプレッシャーの中でギリギリ平静を保っているのに、ステージ上ではずっと笑顔でいて。そういう姿を見ていて、すごくかっこいいし、たくましいなと思って、どんどんアイドルが好きになっていったんですね。そのうちに、“自分がもしアイドルグループを作ったら、こういう曲を書いてみたいな”などと思うようになって、アイドルをプロデュースしたいという夢ができました。

自分の活動もあったので、すぐに取り組むのは難しかったんですけれど、バンドが活動休止になり、そのタイミングでまたいろいろなことにチャレンジしたいなと考えて。そんな時にたまたま日本テレビさんから「NFTを用いたアイドルグループを作る」という企画があるというお話を伺いました。私はNFTにも興味があったので、詳しくお話を聞いたうえで「このプロジェクトを一緒にできたら、すごく楽しそう」と感じ、プラチナムピクセル×日テレのNFTのアイドルグループプロジェクトに参加することになりました。

――NFTはどんなところに関心がありましたか?

コロナ禍になって、アーティストたちが対面でライブができなくなったり、自分の表現ができなくなる中で、どうやっていろいろな人に伝えていこうかと考えている時に、NFTのことを聞きました。坂本龍一さんがご自身で弾いた主旋律をNFT化して販売されるというニュースなども見て、表現方法が多様化していることに、可能性を感じていたんです。

『NFT IDOLE HOUSE』について語るプロデューサー・すぅ

■自分の殻を破る「孵化(ふか)」がプロジェクトのテーマ

――今回のプロジェクトですぅさんはプロデューサーという立場ですが、具体的にどういった範囲まで関わられるのでしょうか?

今のところは9割関わっています。NFTの深いところは専門のチームに任せているんですけれど、私もNFTのコミュニティである『Discord』というアプリに参加して、ファンの方と意見交換も行っています。

メンバーの人選は面接が3回、合宿も2回行っていて、そこにも参加しました。楽曲制作については、メンバーが決まる前から作っていて、テーマソングを課題曲にして、それを練習して審査の時に披露してもらいました。それから衣装やメイク、コンセプト、ロゴといったものも全部携わっているので、日々大忙しです。

――特に大変なのは、どんな点でしょうか?

いろいろなことに関わっているので、上げたらキリがないんですけれど、これまでの頑張りをずっと見てきたので、メンバー選抜で合否を決めるのはきつかったですね。みんなアイドルになりたくて集まっていて、涙を流したことも、寝ていないのも見ていますし。そういった中で頑張りだけでなく結果も評価しないといけないので、「あんなに頑張ったのに受かっていない」と悔しい思いをした子たちもいて、本当につらかったです。

それから候補生たちとの距離感は、とても悩みました。プロデューサーというのも初めてですし、人に何かを教えたり育てたりすることがまずなかったので。優しく愛を持って、でも厳しく指導することについては、今も毎日悩んでいます。「あの言葉のチョイスは違ったかな」とか、考え込んでしまうんですよね。でも、ちゃんとした方がいいところは、しっかり伝えないといけないですし。

今回、「孵化(ふか)」というのがテーマになっているんですけれど、書類選考の段階でも「歌が好きなんだけれど、人前で歌えない」「何度もオーディションに落ちてきて、最後のチャンス」といったように、何かが理由になって1歩を踏み出せなかったり、踏み出したけれども、否定された気持ちになっていたり。そういう子に手を差し伸べられるプロジェクトになったらいいな、と思って。合否も大事なんですけれど、合宿の最後に殻を破ることができて、“自分ってこういう一面もあるんだ”とか、“自分を好きになれた”といったように感じてもらえたら、私の1つの仕事は完了したのかな、という思いがあります。

――NFT IDOLE HOUSEは「運営できるアイドルを作る」ということで、アイドルの活動方針に参加者の人たちの意見が反映できることが、大きなポイントだと思います。それに対してプロデューサーとして、どう受け止めていらっしゃいますか?

すごく新しくて、今っぽいですよね。そして親身になって意見を言ってくれる人は、あまりいないから、とてもありがたいです。参考にしたらファンの皆さんも喜ぶし。とてもWIN-WINな場だなとは思います。すでにDiscord上で、皆さんがオーディションの進捗や「NFT IDOL HOUSEとは?」といったことを発信してくれたり。あとはメンバーが決まったら、こういう風に布教していこうとか常に話し合ってくれているんです。私もそのDiscord内のファンの方が開いている会議に参加して、皆さんと一緒に話したりしています。

――ちなみに楽曲制作はすぅさんがバンド活動でずっとやっていらしたことですが、ダンスについてはどのように作り上げているのでしょうか?

ダンスはダンスの先生がいらっしゃって、「こういう感じのダンスにしてほしいです」とお願いして作っていただきました。私はダンスレッスンも見学していて、技術的なことはもちろん言えないんですけれど、目線の置き方だったりリズムの取り方、拍の取り方ができてない子とかには、指導したりしています。

先生がおっしゃったことや、その子がなぜできなかったのかを分析して、「あなたはここがこう固まっているから、その動きができないんじゃない?」と個人面談の時に伝えたりしています。

――クラスの担任の先生、いや、それ以上に濃い関わり方ですね。

「今日、大丈夫?」とか、「2日目だけれど、どう?」とか聞くと、大体何もしゃべらずにみんな泣くんですよ。疲れているし、おそらく自分に焦りがありすぎて、プレッシャーになっているんですよね。

メンバー選抜の候補生について語るプロデューサー・すぅ

■バンドとアイドルの楽曲スタイルは違うから、制作の幅が広がると思う

――ご自身の経験を踏まえて、特にメンバーに大事にしてほしいと思っていることは何でしょうか?

常々、仲間を大事にしてほしいと言っています。私はバンド経験を経たことも大きいんですけれど、やはり自分の手の届く範囲をまずは大事にしてほしいな、と思って。悪口を言わない、辛そうな子がいたら声かけてあげる、といったことですね。自分のしていることはすべてグループのためだと思って、生活してほしいです。

あとは感謝を忘れないこと。挨拶はもちろん、自分がなぜ踊れているのか、ステージに立てているのか、といったことはずっと忘れないで、いろいろな人に感謝を伝えていこうね、と言っています。みんな覚えてるかな? ノートに書いてもらったから、大丈夫だと思いますが(笑)。

――あと、今回はNFT IDOL HOUSEという名前がついている通り、NFTが関わることも特徴です。これについては、どのような展開を考えられていますか?

「NFT×アイドル」というスタイルの先駆けとなるプロジェクトだと思うので、NFTやDiscord上で頑張ってくれているからこそアイドルに貢献できる形を、どんどん伝えていけたらいいなと思います。もちろん、音楽だけ、グループだけで楽しんでもらってもいいんですけど、NFTとからんでいるアイドルだからこそ、できる仕組みについても、これから私たちも考えて、どんどん取り入れていこうと思っています。

――現在、SILENT SIRENは休止中ですが、このご経験を今後、バンドやご自身の活動にどんな風に生かせそうですか?

私はバンドの時は作曲もするんですけれど、大体作詞メインだったんです。でもこのプロジェクトでたくさん曲を作ることになると思うので、作曲ももうちょっとできそうだな、と思います。あとはSILENT SIRENとアイドルは楽曲の作り方がまったく違っていて。だからアイドルで用いた作り方を、自分の音楽活動できるかな、と考えたりもしています。

――ちなみに、どんなところが大きく違うのでしょうか?

アイドルは基本的に打ち込みが多いです。あとは歌割の構成も違いますし、譜割感という、どれだけ詰め込めるかというのもまったく違ったりします。バンドはわりとテンポが速かったりするんですけれど、アイドルはミドルテンポが多いとか。まったく違うので作るのも大変なんですけれど、徐々に慣れていけたら、と思います。

『NFT IDOLE HOUSE』のプロデュースを手掛ける『SILENT SIREN』のボーカル&ギター・すぅ

――すぅさんにとって、新しいチャレンジですが、ファンの方、そしてプロジェクトに期待する人たちにメッセージをいただけますか?

ファンの皆さんには心配をかけてばかりで、バンドもいつ始動するかもわからずに、不安な思いをさせていると思います。ただ私も30という年になって、今まではみんなの期待に応えたいという思いでやってきましたけれど、今、自分のやりたいことにも挑戦したいと思って、それが今回始めたこのプロジェクトでもあるんです。だからどうか見守ってもらえたら、うれしいです。みんなのことはちゃんといつも思っているし、本当に感謝しています。

プロジェクトはまだ始まったばかりですが、新しいことをどんどん取り入れつつも、皆さんに愛される、時代の象徴となる日本のアイドルグループに育っていけるように、私も頑張ります。

【すぅ(SILENT SIREN) Profile】
本名 吉田菫。1992年12月28日生まれ。2010年にガールズバンドSILENT SIREN(2021年末をもって活動休止中)を結成し、ギターとボーカルを担当。2012年11月シングル『Sweet Pop!』でメジャーデビュー。バンドではほとんどの楽曲で作詞を担当。

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