新たな金平糖が誕生する冬──牧阿佐美バレヱ団『くるみ割り人形』が贈る格調のクリスマス

2025.12.9 15:00
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牧阿佐美バレヱ団の写真

牧阿佐美バレヱ団が約60年間にわたり12月の恒例として上演してきた『くるみ割り人形』が、今年も文京シビックホール(12月13・14日)と高崎芸術劇場(12月18日)に登場する。英国の色彩をまとったデヴィッド・ウォーカーの美術と、三谷恭三によるプティパ=イワノフ版を基にした演出・改訂振付が、冬の劇場に格調高い輝きをもたらす。

今年の舞台で特に注目されるのは、金平糖の精に初役として抜擢(ばってき)された3名のダンサー・鈴木佑菜、秦悠里愛、西山珠里である。王子役も清瀧千晴をはじめ、近藤悠歩、小池京介が揃(そろ)い、多彩なフレッシュさと実力が並び立つ布陣となった。

牧阿佐美バレヱ団の写真
撮影:鹿摩隆司

『くるみ割り人形』は、チャイコフスキーの名曲に乗せて、少女クララがくるみ割り人形とともに“お菓子の国”へと旅する物語である。深夜のねずみたちとの戦いを経て、くるみ割り人形は王子へと姿を変え、クララを雪の森へ導く。雪の女王や妖精たちが紡ぎ出す幻想的な情景を彩るのは、澄んだ響きの児童合唱である。東京公演ではフレーベル少年合唱団、群馬公演では群馬大学共同教育学部附属中学校音楽部がこの魅力を担う。

続くお菓子の国では、金平糖の精がクララを迎え、各国の踊りや華やかな『花のワルツ』が次々と展開されていく。物語そのものが、子どもには夢を、大人にはあたたかな郷愁を呼び覚ます。世代を超えて愛され続けてきた所以が、この舞台の随所に息づいている。

牧阿佐美バレヱ団の写真
撮影:鹿摩隆司

今年の『くるみ割り人形』は、バレエ団が積み重ねてきた伝統と、次世代へと受け継ぐ新しい才能が同居する舞台である。初役のダンサーたちがどのように金平糖の精を立ち上げるのか、また経験豊かな王子たちがどんな舞台を魅せるのか・・・期待は尽きない。

冬を迎える劇場で、夢の国へ続く扉が静かに開く。『くるみ割り人形』を、ぜひ劇場で体感してほしい。

写真撮影:鹿摩隆司
(文・和田弘江)

牧阿佐美バレヱ団の写真
撮影:鹿摩隆司

≪公演概要≫
文京シビックホール 大ホール
12月13日(土)15:30開演
12月14日(日)11:00開演、15:30開演

高崎芸術劇場 大劇場
12月18日(木)18:30開演

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