上野水香、東京バレエ団で“最後のキトリ” ローザンヌ1位の二山治雄は全幕主役デビューへ 東京バレエ団「ドン・キホーテ」
陽光降り注ぐスペインの港町を舞台に、若い恋人たちのコミカルなラブストーリーを描く「ドン・キホーテ」。軽やかなユーモアと超絶技巧が共存するこの作品は、観る者を自然と笑顔へと導く、バレエの醍醐味が詰まった人気作である。東京バレエ団では3年ぶりの上演となり、今回は6組の主役ペアが登場する。
まず注目したいのは、上野水香が東京バレエ団で踊る“最後のキトリ”である。長年この作品を支えてきた上野の魅力に惹かれた観客は多い。今回の舞台は、単なる再演ではなく、ひとつの役の“到達点”に立ち会う機会となるだろう。

ほかにも、秋山瑛、涌田美紀、伝田陽美に加え、中島映理子が本役デビューとして新しい風をもたらす。それぞれが描く“キトリ像”は異なり、キャストによって作品が違う色を帯びることこそ、バレエならではの豊かさである。

一方、バジル役で話題となっているのは、今年春に入団した二山治雄だ。2014年、ローザンヌ国際バレエコンクールで1位に輝いたのち、国内外の舞台でゲストとして踊り続けてきたダンサーである。高い跳躍と精度の高い回転を強みにしながら、今年の春に東京バレエ団へソリストとして加わった。

「3月に入団したばかりの僕はまだまだ新人。そこで主役を踊らせていただくには、やっぱり気を張らなきゃいけないなとも思っている。」とウェブマガジンのインタビューで二山は語った。
今回挑むバジルは、技巧だけではなく、人間の息づかいをどう身体で語るかが鍵となる役どころだ。
「スタートラインが全然違うわけだから、それに負けないというか、追いついていけるように気を張って踊りたいと思う。」 こうして意気込みを語った二山だが、バジルは自分の実際の性格とは対照的だということも明かした。

難しいテクニックが求められる作品ではあるが、踊りだけではなく“演技”の部分も多く占める「ドン・キホーテ」は、キャスト違いで、何度でも楽しめる舞台である。 劇場で、踊りが生まれるその瞬間に触れてほしい。

≪公演概要≫
「ドン・キホーテ」全2幕
振付:ウラジーミル・ワシーリエフ(マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴールスキーによる)
音楽:レオン・ミンクス
美術:ヴィクトル・ヴォリスキー
衣裳:ラファイル・ヴォリスキー
2025年
11/18(火)13:00 *
11/19(水)19:00
11/20(木)19:00
11/21(金)19:00
11/22(土)14:00
11/23(日祝)14:00
11/24(月振)14:00
上演時間:約2時間20分(休憩1回含む)
会場:東京文化会館(上野)
指揮:アントン・グリシャニン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団











