蒼井翔太×七海ひろき、ライブ&演劇で魅せた“歌”の調和 16か月越しの念願コラボ『DRAMATIC LIVE “METEORA”』開催
蒼井の公式マスコット「たむたむ」とアザラシ風のマスコット「773くん」による幕間ムービーを挿み、後半のライブパートが開幕。全身黒で統一したスタイリッシュな衣装にお色直しした2人は、ステージの高台に颯爽と登場すると、なんと水樹奈々×T.M.Revolutionの楽曲「革命デュアリズム」のカバーでライブをスタートさせる。イントロが流れ出した瞬間、会場には驚きと喜びの声が。水樹奈々のパートを担当する蒼井の天上を舞うような高音ファルセット、西川貴教のパートを歌う七海の地に足の付いた中低音域。その革命的なデュエットが会場を揺るがす。

改めて挨拶をした2人はコラボライブの実現を喜び合い、ステージ上で熱い握手を交わすと、続いては七海のソロコーナーへ。まずは今年4月にリリースした自身の3rdアルバム『Crystal』より、都会的なグルーヴとクールな歌い口が魅力的な「Not Over」を届け、ファンサ多めの包容力と惹きの強さを感じさせるパフォーマンスで観る者を魅了する。
さらに『METEORA』にも収録された蒼井の楽曲のカバー「give me ♡ me」を披露。歌に入る前のMCで説明していた通り、原曲よりもキーを下げ、七海の豊かなふくらみのあるボーカルの良さを引き出しつつ、パラパラ風のアレンジを加えたことでアゲアゲ感もアップ。客席は「しょーたん」ならぬ「カイちゃん」コールで盛り上がる。
そして、七海らしいジャジーでアダルトな世界観の「Knock down night」に繋げ、ミュージカルのように舞い踊りながらオーディエンスのハートをノック。華麗にターンしたかと思えば、片手をポケットに突っ込みながらクールに歌唱するなど、ビジュアルでも魅せるパフォーマンスで、アーティスト・七海ひろきの魅力を観客にアピールした。

その後、蒼井を再びステージに呼び込むと、ミニアルバムにも収録されていない本公演だけの特別なコラボデュエットを披露。楽曲は「It’s My Soul」。七海の1stシングルで、持ち曲の中でもとりわけ情熱的なロックナンバーだ。サーチライトが回転してステージを赤々と染め上げるなか、2人は冒頭からアクセル全開で歌声をぶつけ合い、互いのソウルをどこまでも高めていく。時にアイコンタクトを交えながら歌う姿からは、最高のバディ感が伝わってくる。選曲を含め絶好のコラボレーションとなった。

続いては蒼井のソロパートのターン。ステージ中央にスッと立ち、胸元に手を当てると「参りましょう」と呼びかけて、ファン人気も高い和テイストのラウドロックチューン「零」へ。空気を切り裂くようなハイトーン、艶やかなメロディをなぞる雰囲気たっぷりの歌い口、サビ終わりのコブシのようなビブラートといった多彩な歌唱表現のみならず、優雅な所作によって客席を熱狂させる。
さらに「皆さんに少しでも寄り添えるように」と語ると、『METEORA』より七海の楽曲のカバー「ポラリス」を披露。スクリーンには星空の映像が投影されてポラリス(北極星)のイメージが浮かぶなか、蒼井の温かくも切々とした歌声が淡い感傷を描き出す。“初恋みたいな憧れだった”というフレーズからラスサビにかけて一層エモーショナルに色づいたボーカルを含め、絶品のバラードだった。
「皆さんの好きな色の花を咲かせてください」と呼びかけると、シングル曲「flower」を歌唱。ペンライトが色とりどりの景色を生むなか、蒼井は色彩豊かなサウンドと推進力のあるビートに乗せて、花びらのように華麗に舞う歌声をファンに届ける。演劇パートでの“花”をテーマにしたストーリーとの相乗効果も相まって、いつも以上に心に響いたのではないだろうか。

そして蒼井が七海をステージに呼び込むと、コラボライブはついにラストナンバーに。2人が本公演のフィナーレに選んだ楽曲は、あえての「BAD END」。蒼井の近年のライブには欠かせない、確実に盛り上がるナンバー。2人で共に「心が尽きるまで 燃やせー!」と熱力高く歌い始めると、会場は一気にこの日最高潮の盛り上がりを見せる。
特にサビでの2人の歌声の重なり、蒼井のハイトーンとその1オクターブ下をいく七海の威力はすさまじく、歌の力が真っ直ぐ心に突き刺さる。Dメロの“君の存在が そばにあるからさ”というフレーズでお互いうれしそうに顔を見合わせながら歌声を交わす。演劇パートでのアオとウミのストーリーを踏まえたうえで聴くと、より熱くなれる瞬間だ。2人の出会いの奇跡がバッドエンドならぬ最高のハッピーエンドを描き出して、蒼井と七海の特別なコラボライブは幕を閉じた。
