シンガーソングライター秦基博 単独インタビュー アルバム『Paint Like a Child』は「妥協なく、今の自分がやりたいことを追求した」

2023.4.6 22:00

4月7日放送(24:59~)の『バズリズム02』に出演する秦基博さんに、entax取材班が独自取材を敢行。3月22日にリリースされた7枚目のオリジナルアルバム『Paint Like a Child』と、同タイトルのアルバム1曲目に込めた思いについて話を聞いた。

曲を生み出す苦しみや困難なことも、すべて音楽にある喜びだと思う

――楽曲『Paint Like a Child』は、目の前に新しい世界が広がるような、さわやかなナンバーですね。アルバムのタイトルにもなっていますが、この曲に秦さんが込めた思いをお伺いできますか?

今、自分がどういう気持ちで音楽や表現と向き合っているのかを、この曲に込められたらいいな、と思って歌詞を書きました。『Paint Like a Child』という言葉自体は、晩年のピカソの言葉です。ずっと好きな言葉だったんですけど、子どもが描く絵のように、自分もこれから先、固定観念にとらわれず、思いのまま音楽を表現できたらいいな、と考えました。それでアルバムのタイトルとしてつけて、その時に歌詞を書いていたのがこの曲だったんです。アルバムのサウンド的にもかなり象徴するような楽曲だったから、そのままタイトルトラックという形で歌詞を書きました。

――なぜ子どもの描く絵のように音楽を表現したい、という心境になられたのでしょうか?

もともと歌うこと、曲を書くことが好きで始めた音楽ですが、プロデビューして音楽を仕事にしてから15年以上経って。表現を追求していった先とか、音楽と向き合う時にどういうものが待っているのか、ということを考え始めました。そこで音楽が持つ楽しさや喜びをもっと感じたい、と思うようになったんですね。

楽しさといってもハッピーなことだけでなく、曲を書く段階での生みの苦しみや、到達するための難しさとか、そんなことも含めて、すべてが音楽にある喜びだと思っています。キャリアを積んでいく中で、そういったものを全身で受け取れる、表現できるような自分でいたいと、より強い思いになっていったと感じています。

――それは音楽を始めた原点に戻る、といったことでしょうか?

原点に戻るというよりは、たぶんその表現の先にあるものなんじゃないかな、と思います。いろいろなものを経験して知っていくことで、自分の中でさまざまなものが積み重なっていきますが、そういうものにもとらわれずに、より音楽の楽しさとか、そこに表現することの喜びを、自由に表せるようになりたいな、と考えています。それは非常にハードルが高いことでもあると思うので、そんなふうになっていけたらいいな、というような思いですね。

――積み重ねてきたからこそ、その心境にいたった、ということですね。

そうですね。いろいろな経験の先にあるような気がします。非常に単純なことですけど、もう子どもには戻れないので。そういう意味では、“子どものように自由に描く”という言葉自体は、とても大人びた言葉でもあると思うんですよ。実際の子どもは、そういうふうには思わないですから。大人だからこそ、表現としての無垢(むく)さとか、ピュアさというところに、どんどん向かっていけたらいいな、という思いですね。

――表現としての無垢(むく)さというのは、どういったことを指すのでしょうか?

それは純粋に、自分が本当にやりたい音楽的欲求を表現しきることができるかどうか、ということだと思います。“こういう音楽を作りたい”と最初に自分の中でイメージしたものに従って形にするのは、強い意志を持っていないと、ブレてしまったり、昇華しきることが難しかったりする時もあります。

今回のアルバムは、そういう意味で1曲ずつ、“今、自分が本当にやりたいことかどうか?”、“最初に思い描いたものになっているかどうか?”といったところを追求し、取り組むことができたと思います。

【秦基博 Profile】
宮崎県生まれ、横浜育ち。2006年11月シングル『シンクロ』でデビュー。2014年、映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌『ひまわりの約束』が大ヒット、その後も数々の映画、CM、TV番組のテーマ曲を担当。“鋼と硝子で出来た声”と称される歌声と、叙情性豊かなソングライティングで注目を集める一方、多彩なライブ活動を展開。

写真:©entax

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