競馬界のレジェンドジョッキー武豊が神と崇める装蹄師…ディープインパクトの未来を変えた神技とは
レース前の馬の状態を見極めるため、実際に足を触って確認するのは装蹄師にとって欠かせない重要な作業。武でさえ装蹄の現場をじっくり見る機会はほとんどないというが、今回“神の装蹄”を間近で見せてもらえることに。この日、装蹄を行うのは武も騎乗経験のあるテイエムリステット。作業には、装蹄師歴3年で現在2級の西内さんの弟子・佐久間さんも加わる。見学するのは“打ち替え”と呼ばれる工程で、今ついている蹄鉄を外し、爪を削って新しい蹄鉄を装着する一連の作業だ。

まず弟子の佐久間さんが、これまで付けていた蹄鉄を外す。続いて西内さんが行うのが、蹄の爪を整える“削蹄(さくてい)”だ。馬の蹄は1か月で約5mm伸びる。削り過ぎれば人間と同じく深爪になって出血してしまうため、ミリ単位の繊細な調整が求められる。「蹄鉄をつけない馬の全力疾走って、全く違うもんですか」と孝太郎が尋ねると、武は「全然スピードが違います」と即答。

軽々と馬の足を持ち上げる西内さん。しかし、競走馬の平均体重は約500kg。動こうとする馬を押さえ込みながら作業するには、相当な技術と体力が求められる。佐久間さんはパワーリフティング日本一の実績を持つほどの力自慢だが、それでも馬が暴れた際に乗りかかられ、腰を痛めているという。一方、細身の西内さんは「まぁ僕は装蹄師としてはストロー級です」と笑うが、握力は約70kg、背筋力は約200kgあるという。見た目からは想像できないパワーと技術が、装蹄の現場を支えている。

続いて、切り終えた蹄に事前に準備した蹄鉄を合わせ、佐久間さんがサイズを確認する。人間の足と同じく馬の蹄も個体差が大きい。今回はわずかにサイズが大きかったため、西内さんが最終調整へ。ほんの数回叩(たた)くだけの微調整だが、この精度が馬の走り、そして未来を左右する。

最後に、ミリ単位で調整した蹄鉄を釘(くぎ)で固定する“釘打ち”の工程へ。見ている側は思わず痛そうに感じてしまうが、釘を打たれている馬の表情は驚くほど穏やかだ。競走馬の爪は約1cmの厚さがあり、神経から離れた部分に釘を打ち込むため、馬が痛みや刺激を感じることはないのだという。

しかし、日本競馬史上最強ともいわれるディープインパクトは例外だった。他の馬に比べて蹄の厚さが半分ほどしかなく、釘を通せる幅がほとんどなかったのだという。そこで西内さんが選んだのが“接着装蹄”。自らアメリカに渡り、日本ではなじみのなかったこの手法を学び、レースに導入したのは西内さんが日本初だったそう。その接着装蹄が見事に成功し、ディープインパクトは2005年の日本ダービーを制覇することになる。

「今後の目標はありますか?」と孝太郎が尋ねると、「豊と一緒に凱旋門賞へ」「そうなったら最高です」と、西内さんは笑顔で語った。
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