【会見後 深堀り取材!】SUPER EIGHT安田章大 5年ぶり写真集『DOWN TO EARTH』「これが僕ですって言える」前作『LIFE IS』との繋がりと、今作に込めた想いとは…?

SUPER EIGHT安田章大の約5年ぶりとなる最新写真集『DOWN TO EARTH』が自身の41歳の誕生日9月11日に発売。その発売日にマスコミ各社を集めての会見が行われた。
entaxでは会見終了後、さらに本人に深掘り取材。約5年前に発売された前回の写真集『LIFE IS』との繋がりから、ありのままの姿を収めたという今作のタイトル・撮影地・衣装のこと、そしてこの本に込めた想いに至るまで、追加インタビューを行った。
安田が次なる拠点として夢見るアメリカ西海岸・ロサンゼルスを舞台に撮り下ろされた本作。自然に身を委ね、ギターをかき鳴らし、絵を描き、仲間と飲み明かす安田が「暮らすように旅する」、全184ページにわたる物語のような写真集だ。
|ありのままのレタッチがない一冊
――タイトル・撮影地・コンセプトは自分で決められたんですか?
安田:自分が将来海外でオーディションを受けるってなったら、映画かなって。映画なんやったらハリウッドデビューはしなあかんなって話している中で「LAがいいんじゃないかな?」っていう話になりました。タイトル(DOWN TO EARTH)はとにかく自分の素を撮ってもらうことが必須だと思っていたから、写真を見終わったら「これやな」っていうところにたどり着いた。コンセプトは、「向こうでもし僕が生活したらこのままの感じだろうっていうのを、ただ記録写真に残してもらうぐらいの勢いで撮って欲しい」っていう感じでした。
――自分からリクエストして?
安田:そう。リクエストして、そうしたら受けいれてくださって。「いずれ向こうに行って仕事したり生活したいなとか思ったりするんですよね」って話をしたら講談社さんがのっかってくれました(笑)その出版社を探してくれたマネージャーさんがいてくれて繋いでいってくれた流れから、想いをこう、みんなで抱きしめ合いながら作りました。
――最終的に写真を見てタイトルの言葉が出てきた?
安田:そうでした。なんか「飾らない」とか「ありのまま」やったり「レットイットゴー」とか、なんかちょっと違って、しっくりこなかったんですよね。それで色々と言葉を調べている中で、なんか自分っぽいなっていうのが(『DOWN TO EARTH』で)しっくりきて、たどり着いた感じでした。
――この写真を表紙にした理由は?
安田:何個か候補があったんですけど、(この写真は)「いい顔してんな」っていう。「そのまんまやな」っていう。海大好きやし、『DOWN TO EARTH』…この地球というものに自分が足をつけながら生き物として存在して、なおかつ肩ヒジ張ってなくて飾ってないのがこの写真やったんですよね。個人的に「人として年輪が深いものがいいな」って思って選びました。あとはスタッフさんにも聞いて。
この写真集はありのままなのでレタッチがない一冊です。

|「暮らすように旅をする」姿を切り取った写真たち
――楽しそうにボウリングをしてる写真もありますけど、ボウリングは好きなんですか?
安田:僕のお父さんが、ボウリングとスケートが大好きな人で、子どもの頃からボウリング連れてってもらっていたんですよ。しかもメンバー同士でもよくボウリング行っていたんです。2チームに分かれて、負けた方がゲーム代払うみたいなことをやっていて、すっごい好きで今も好きなんですけど。ロサンゼルスのボウリング場可愛いんで、ほんまに現地でやりながら撮影したら楽しいやろうなと思って撮影しました。
――ギターを持っているのはどんな状況の写真ですか?
安田:自然のあるところに足を運んで、その場所でその空気を吸って、土地のエネルギーが伝わってきたもので曲が生まれた、体という借り物を通して生まれた…僕が普段やっていることの延長線上のひとつです。
――曲が降りてきたと書かれていますが、どんな曲を弾かれましたか?
安田:乾いた曲でしたね。土地が乾いていたし、草木が、乾いた中にも生命が生きているっていう力強さを感じたので、乾いた風、乾いた土地、なのに水分が最小限でも生きている生き物がそこにあって…潤っている、みたいな曲でした。
――いつかその曲を発表していただける…?
安田:今回の写真集が「点」になって(曲を)発表する機会が来たら面白いなと思います。

――衣装は、安田さんがスタイリストの方ともお話されたんですか?
安田:「現地に合うもの」っていうのは絶対マストで言っていましたね。「その土地に合っている空気感にする必要がある」って言って。「かつ、僕が普段着てそうなモノ。だけど、意外と着てなさそうなモノともとれる。私服っぽいけど、コーディネートされている可能性っぽくも見える。」なんかこう・・・でもすごくナチュラルは大事にしていましたね。特に(表紙の)このスーツなんてディテールにすごくこだわって選んでいましたよ。
――特にお気に入りの衣装はありましたか?
安田:衣装は正直全部本当に気に入ったから、結構買い取ったのが多くて。キノコばっかりのオーバーオールはお気に入りですね(笑)。
写真集の何枚かの写真について、「タイトルをつけるとしたら?」と聞いてみた。
安田:うーん・・・いらんのちゃう?その人がたぶん決めたほうがいいなぁ。作った側が(1枚1枚の)写真にタイトルをつけると、見た側の人が作った人の気持ちに寄り添わなきゃいけなくなるから。その人が自分で感じた道を進むっていう方に導かれた方がよほど親切かなぁ、と思います。
|前回の写真集『LIFE IS』との違いと繋がり
――5年前の写真集『LIFE IS』は闘病体験を反映されたものになっていますが、今回の写真集は安田さんの中では前回との繋がりはありますか?
安田:勝手に繋がっていましたね。『LIFE IS』では「人生とは何なんだろうな」っていうところから、自分の体験が「起死回生」だったり…「死と隣合わせ」というものなんだな、ってことにちゃんと気付けて、「覚悟を持って自分が生きていく必要がある、そして再生していく必要がある」っていうテーマで、そこからどんどん進んできて、いつの間にか、『LIFE IS/DOWN TO EARTH』みたいなイメージに繋がっちゃったんです。「あ、そのままになってんなー自分。勝手にそうなってたんやー」みたいな(笑)。
――前回の『LIFE IS』は色味が少ない写真集でしたが、今回はカラフルで前回とは印象も空気感も違うと思いますけど、ここに至るまでに自分の中で変化はありましたか?
安田:今回カラフルになっているのは、この期間の中に僕の感情が変わっていったのはもちろんなんですけど、そもそも僕がこんな人ってことなんでしょう(笑)。「カラフルな性格」。病気のおかげで、どんどんネアカ(根明)なっていったのは事実やし、やっぱり東京に出てきて「東京しんどい、生きにくい、逃げ出したい」って常々思っていましたし。22、23歳で東京出てきているんだけれど、10年ぐらいはもう洞窟生活みたいな辛さを感じてたんやと思います。そこを経たから、より自分がネアカになれたんやと思うし、心の成長もそうやし、人間として“ふくよか”になったんやと思いますけどね。それは全部病気のおかげですけど。
――そのネアカの自分がここに詰まってる?
安田:そのまんまじゃないですかね。どのページを開いても僕ですね。言葉にすると単調に聞こえるし単色な感じがするのですけど、ここまでどストレートに「これが僕です」って言える本ってすごいなとは思っていて。“取扱説明書”って言葉にすると難しいじゃないですか?せやけど、写真を見てもらって「嘘つけ」っていうものが一切ないと言えるなと思います。

「嘘をついているところがない」という安田は、普段も「オン」「オフ」を作らなくなったという。
安田:昔は勝手に頑張って作っていたんでしょうね。オンにし続ける必要があった。オンというボタンはあったと思います。だけど、今はオンとオフもなくなりましたね。オンにしたらオフにする時にエネルギー使うし、オフからオンにする時またエネルギー使うし。電気代かかるのと一緒ですね。なんか電気つける時に1番エネルギーが使うじゃないですか。また切る時にもエネルギー使うって言われているじゃないですか。だからエコな人間になったんでしょうかね(笑)生きる上で。(オンオフは)なくなったな。
――じゃあ、この写真集の中でもオンオフもなく。安田さんのまま?
安田:そうですね。100%そのままですね。濃縮還元でもないと思います。そのまんまフレッシュな状態ですね、これ(笑)
|「こうであらねばならない」と、閉じた心の扉が開く“きっかけ”に。
力まずに生きるための参考書に。
本の帯に書いてあった「大人はいつでも子どもから始められる」という言葉について尋ねてみた。
安田:大人になったらみんな「子どもになったら怒られる」って言いません?子どもっぽくなったら「大人やねんから」って言われたりとか。無邪気にはしゃいだら「いやいや大人でしょ」っていわれたりとか。「大人っていう定義がとても複雑化されすぎていて、「大人って子どもやん」と思うんです。逆に子どもは大人になれる、「子どもは大人になっていいのに、大人は子どもになったらダメなのですか?」ってことを日々生きていて感じるから、もっと寛容であっていいんじゃないのかなって。大人でいなければいけなくなってしまったのは自分自身のせいやと思うし、それを周りのせいにしている気がするから「でも実際そうしたのは自分なんじゃない?」っていう風に思う。その(心の)扉を開けてくれる、南京錠を解いてくれる「カギ」になるような言葉かもしれないですね。
そして改めて、記者会見で“生きる参考書”と表現したこの写真集に込めた想い、伝えたいメッセージを聞いた。
安田:この写真の中に映っている僕とか、僕じゃない誰かも力んではないじゃないですか。生き物がそれぞれみんな自分らしく自分なりに生きている。力まずそのまま生きるのが難しいって悩んでいる人が、悩んでいるからこそ、これを手に取った時に参考書代わりになるんだろうなって。
「こんな顔になって自分はいいんだ」って力が抜ける瞬間になってくれたらいい、って思いますね。「こうであっていいんや」って、「こんな顔になって自分はいいんだ」って。
世の中を見ていると「こんな顔になっちゃダメ」とか「こんな行動起こしちゃダメなんだ」とか、全部「しちゃいけない」っていう風なレッテルを自分で貼っていっているような感じがするから、(自分の)可能性を見出すきっかけにはなってほしいなと思う。だから“参考書”みたいなって言葉になったのかな。

『DOWN TO EARTH』現在発売中
著書:安田章大 出版社:講談社
価格:5,500円(税込)ページ:184ページ