【声優インタビュー】令和の今こそ“おもしろ可愛い”テレビアニメ『天は赤い河のほとり』主演・橘 美來、加藤 渉が明かす“難解固有名詞”たち

少女漫画の金字塔、ついにテレビアニメ化――7月7日(火)より放送中のテレビアニメ「天は赤い河のほとり」(日本テレビAnichU枠)にて、メインキャラクターを演じる声優・橘 美來(みらい)と加藤 渉(わたる)にインタビュー! 役者泣かせの難解な固有名詞で溢れるアフレコ裏話に加え、令和の今、逆に新鮮みを感じさせてくれるという“おもしろ可愛い”注目ポイントなどを教えてくれた。
※アフレコ現場を“巨匠”が来訪! キャスト陣の大緊張エピソードはこちらから

『天は赤い河のほとり』(通称:天河/てんかわ)は、現代の日本に生きる普通の女の子・鈴木夕梨(ユーリ)が紀元前14世紀の古代オリエントのヒッタイト帝国へ召喚され、第3皇子カイルと共に陰謀渦巻く過酷な運命と愛を切り拓いていく“本格大河ロマン”。

タツノコプロがアニメーション制作を手掛ける本作では、主人公の夕梨(ユーリ)役を、ガールズユニット「DayRe:」のメンバーとしても知られる橘 美來(たちばなみらい)が、才色兼備で人望にも厚い皇子カイル役を、『アオアシ』朝利マーチス淳や『怪獣8号』市川レノなどの声で知られる加藤 渉が務める。

橘 美來(ユーリ役)と加藤 渉(カイル役)

原作は、今年画業45周年を迎える漫画家・篠原千絵の代表作で、1995~2002年「少女コミック(現Sho-Comi)」(小学館)で連載。累計発行部数2,000万超(2026年1月時点、電子版含む)を誇る人気作。第46回小学館漫画賞少女部門を受賞したほか、2018年には宝塚歌劇団での舞台化もされ、今もなお世界で愛される少女漫画の金字塔だ。

初めての主役&“相方”「ふたりで一緒に頑張っていけたら」

――本作はオーディションによる配役だそうですね。振り返って、いかがですか?

:私が受けたオーディションは、なかなかぴったりの方が見つからない中で、うちの事務所にもお声がかかって受けさせていただいた形と聞いています。まだあまり(声優の)経験のない私だからこそ出る初々しさ、フレッシュさみたいなところも期待されていると思ったので、私にできるユーリを懸命に入れ込みながら演じていこうと、改めて決心しました。

加藤:僕も、オーディションをしていただいた時期は今ほどメインキャストとして名前が載っていなかったので、なぜ僕がカイル役なんだろうという気持ちはありつつも、音源を聞いてくださった制作の方、脚本家の方は、割と満場一致で一番に選んでくださったと伺いました。僕が読み上げたセリフの一つに『全軍出陣』というのがあって、“(カイルは)皇子という立場にあるから結構な数の軍勢を前に指導者として声をかけるんだな”と思ってやったのですが、脚本家さんからはそれが一番良かったと言っていただきました。

――30年以上愛されている“天河”で主要キャストを務めたわけですが、プレッシャーと喜びではどちらが大きかったですか?

加藤:僕は、喜びのほうが勝りましたね。虫が苦手なんですが、隣で自分よりも怖がっている人がいたら全然平気だと思えるタイプなんです。隣にいる橘さんがガチガチだったので、それを見ていると平気になってきて、橘さんのおかげで気楽にやらせてもらいました!

:よかったです(笑) 私は最初に報告を聞いたとき、とにかくほっとしました。『私(橘 美來)がいい』と思って選んでいただけたという事実がうれしくて! 事務所のマネージャーさんも「本当によかったね! やっと決まったね、おめでとう!」と言ってくれて、ずっと応援してくださっていた方にお返しできることもうれしかったです。いざ現場に出ると不安もありましたが、加藤さん含め、共演者の皆さんがたくさん支えてくださったので、私はユーリとしてできることを堂々とやらなければという思いが芽生えてからは、緊張はしなくなった気がします!

――先ほど加藤さんは「気楽にやった」と話されていましたが、しっかりフォローしていたんですね!

加藤:僕も、主役の経験はありましたが、主役の方を支える立場として取るべき振る舞いというものは初めての経験だったんです。なので、ふたりで一緒に頑張っていけたらなと! ユーリに対する“カイル役としてのあり方”みたいなものを、自分の器じゃないなと感じながらも、人として演じてみたいと考えて振る舞っていました。

勇猛果敢に戦うカイル(中央)

――そんな本作の収録、役柄的には何か苦労されたところはありましたか?

:歴史が得意ではないので、『皇太后』『皇帝陛下』『皇子』『側室』などの意味も改めて勉強しなければならず戸惑いましたね。物語が進むにつれてユーリちゃんも(紀元前14世紀の時代に)馴染んでいくので、難しい地名や人名が出てきたときは「言えるかな…」と震えながら、共演者の皆さまと士気を高めながら収録していました(笑) ただ、例えば「タワナアンナって何?」など、彼女は誰かが言ったことを復唱することが多いので、視聴者の代弁として知らないままでも大丈夫な部分があったので、他の皆さんよりは気楽だったと思います!

加藤:固有名詞がすごいですよね。ドッキリかと思うくらい地名のセリフが連続したりしますし、まずその地名が難しい! 人物も、父上がシュッピルリウマさん、お兄さんがサリ・アルヌワンダさん、ロイス・テリピヌさん、ザナンザ・ハットゥシリさん、ジュダ・ハスパスルピさん――と、これを流暢に喋らなければならなくて。アクセントもみんなで検討しながら進めていましたね。

――聞いてるだけだと魔法みたいです(笑)加藤さんはそんな固有名詞もすらすら出てきていますね。

加藤:僕はわりと、記憶力が異常な人間で。現場で発した言葉なら、収録が終わったあとも思い出せるんですよね。カイルは “その世界”で生まれ育った人間(の役)なので、言い淀んじゃダメだろうと思って、努力もしました。

多くのキャラクターが登場する本作は、名前を覚えていく楽しさもある

令和の今、“天河”は逆に新鮮?

――少女漫画の金字塔と言われている本作ですが、おふたりは時代的になかなか触れることがなかったかと思います。原作やアニメを通して、“天河”という作品をどう受け取りましたか?

:原作を読んだ時は、ユーリちゃんに引っ張ってもらいながらヒッタイトやいろんな世界を知ることができたなと感じました。世界を動かしながら人も動いていくところを楽しみながら読んでいましたね。独特なギャグの感じも今の時代にはないので逆に新鮮で、アニメでおもしろ可愛く演じられたらいいなと思いました。

加藤:僕が1997年生まれなので、原作の連載開始は僕の生まれる前になるんですよね。篠原先生が1981年にデビューされて、作家性が確立された中での連載だったと思うのですが、様式美的な要素が強くて新鮮で面白かったです! 

:私は人の名前で心が躍る発音があって――「ミッタンナムワ」が好きです! 短い名前の人もいる中で急に長いし、坊主だし、“イケオジ”だし(笑) でも、あの長さと語感の良さが大好きで、収録時もずっと笑っていましたね。

加藤:カイルも「何っ!」「何だと!?」と過剰な反応をする場面が続くシーンとかがあって、アニメで言う際に驚きすぎだろうと思って一部を変えようとしたんですが、音響監督さんから「抵抗しようとしないでください~」と。あれは原作の良さをアニメでも生かしているポイントだなと思いましたね。

――“歴史”がお好きな加藤さんは、そういう目線でも本作を楽しんでそうです。

加藤:一つあるのは、当時は粘土板を書簡としていたんですよね。粘土板の作り方も勉強したのですが、一度書簡を作ったあとさらに薄い粘土板で覆って、叩き割ることで中の書簡が出せるという当時の風俗文化を物語構成に採用し、現代からやってきた夕梨(ユーリ)が持ち込んだカルチャーと組み合わされているところが素敵だなと思いますね!

――ありがとうございます。では最後に、アニメーション自体の感想も含め、本作の見どころを改めてお願いします!

:キャストの皆さんの声が入ることによって世界が広がったのが第一印象でしたが、アニメを見てオープニング、音、効果、色、動きという要素が加わってさらに世界が広がったように感じます。アニメだからできる効果を反映しているからこそ、ナキア*の恐ろしさが際立ったり、より物語に没入できると感じたので、ぜひ色んな方に届いたらいいなと思っております。

*物語の鍵を握るヒッタイト帝国の皇妃・ナキア(CV.内田彩)

加藤:手前味噌ですが、自分で見させていただいた限りいい芝居しているなと思いました! 周りの方々が自分よりもキャリアのある方々だったので、見劣りしないだろうかという思いもありましたが、完成した映像を見たときに、カイルとしてそこにいられているように仕立てていただけたので、放送も楽しみです!

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【橘 美來 Profile】
3月5日生まれ。千葉県出身。ミュージックレイン所属。アイドルをテーマにした大型メディアミックス作品『IDOLY PRIDE』の長瀬琴乃 役で初主演。主な出演作に、『魔王様、リトライ!R』(オルガン)、『ドラゴン娘になりたくないっ!』(春咲栄久)、『LUCA』(ネネ)など。ガールズユニット「DayRe:」のメンバーとして音楽活動にも注力。今年7月から3か月連続でデジタルシングルをリリース。8月・9月には新ライブシリーズ「DayRe: Seasons Live」も開催予定。
<公式サイト>
<DayRe:公式サイト>

【加藤 渉 Profile】
1997年7月17日生まれ。東京都出身。フリーランス。高校2年生で「日本ナレーション演技研究所」に入所。大学在学中から声優としての活動を開始。アニメ『勇者が死んだ!』(2023年)のトウカ・スコット役で初主演を果たす。主な出演作に、アニメ『アオアシ』(朝利マーチス淳)、『怪獣8号』(市川レノ)、『ダンジョン飯』(カブルー)、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』(愛城恋太郎)、など。
<公式X>
<note>

TVアニメ『天は赤い河のほとり』
7月7日より毎週(火)25:29〜日本テレビAnichU枠にて放送
7月8日より毎週(水)24:00〜BS日テレにて放送
※放送時間は変更になる可能性がございます
<公式サイト>
<公式X(@tenkawa_anime)>

画像:©篠原千絵/小学館/アニメ「天は赤い河のほとり」製作委員会
取材・文・写真:entax