朝夏まなと・七海ひろき・夢咲ねね、宝塚で出会った3人が『39歳』で初集結「私得でしかない」
2022年に配信され「今一番泣ける」と話題を呼んだ韓国ドラマ『39歳』が、世界で初めて音楽劇として舞台化される。40歳を目前にそれぞれの人生と向き合う3人の女性を描く本作で共演するのは、宝塚歌劇団出身の朝夏まなと、七海ひろき、夢咲ねね。10代の頃から時間を共にしてきた3人が、等身大の物語にどう向き合うのか。取材会の模様をたっぷりお届け。
――今回は韓国ドラマの世界初舞台化という珍しい企画ですが、オファーを受けた時はどう感じましたか。
朝夏まなと:私は最初にこのドラマが配信された時から見ていて、すごくはまってしまったんです。寝ずに夜中まで一気見する、よくやっちゃうやつ(笑)何年かして舞台のお話をいただいたんですが、最初は全然結びつかなくて。「え、あれですか!?」と。ソン・イェジンさんが大好きで、あの役をいただけるということもとてもうれしかったです。
七海ひろき:私も配信時に「面白いよ」と聞いてドラマを見ていて、人の心の深いところに入っていく作品だと思っていました。お話をいただいた時は「え、私がですか!?」と(笑)まさかこういうお話をいただけるとは思っていなかったので、びっくりしたと同時に今までやったことのない役柄だなと感じました。しかも最初にこのお2人の名前を聞いていたので、もううれしすぎました。
夢咲ねね:私もドラマを見ていたので、まさかこの作品が舞台化されてしかも日本初演とはということにもすごく驚きましたし、まぁちゃん(朝夏)とカイちゃん(七海)が出ると聞いて「それはもう受けるしかないだろう!」と。すごく楽しみです。
――演じる役の人物像と、3人の関係性については。
朝夏:チャ・ミジョは皮膚科医で、3人の中ではリーダー気質がある女性です。ドラマを見た時、自分と共通点が多いなと思ったんですよ。ドラマで使われているラフマニノフの楽曲が私の一番好きなクラシックの曲だったんです。芍薬(しゃくやく)も好きだし、親近感を抱きました。ドラマを見ると、彼女は完璧に見えて何でも手に入っていると思いきや、出生のことやお母さんのことなど心に傷を抱えながらそれをあまり表に出さずに生きている。実は弱い部分もあってすごく魅力的な多面性のある役だなと。自分がどういう選択をして人のために尽くしていくのか、私でもそうするだろうなと思うことがたくさんあったので、すごくリアルに感じています。2人との関係についても、私たちも実際に10代の頃から知っているので、こんなに等身大でできる役と関係性に出会えることはなかなかない。それはすごくうれしいです。

七海:私が演じるチョン・チャニョンは、演技指導者でもあり自身も演技をする女性です。自分の意見や行動をスパスパッと決めていくところがあって、私は割と優柔不断なので──
朝夏:意外にね(笑)
七海:そうそう(笑)対比にいるくらい。こういうかっこいい生き方をしたいなと思う、ちょっと憧れるくらい素敵な役どころなんです。でも物語が進んでいくにつれて、3人の関係もお相手との関係も、両親とのことも──自分が生きる時間をどう過ごすかということを考えていく。今この役をやれることが自分の人生においてもとても幸せだなと思います。
夢咲:チャン・ジュヒは化粧品売り場で働いている女性で、穏やかな家庭で育ってお母さんからも愛されてきた人。高校生の時にこの2人と出会ってすごく刺激を受けて、新しい世界が見えて。大人びた2人にちょっと憧れているマイペースな妹キャラっぽいところがあるのかなと。2人がすごい大人の会話を進めちゃって、私1人ご飯屋さんでご飯を食べてるシーンがすごく多くて(笑)ピュアで、奥手で、お姉さんたちについていく感じの女性なのかなと思っています。10代で出会って、七海とは同期で、まぁちゃんとは1学年違い。でもほぼ同じ時間を過ごしてきたので、その過程でこの作品ができるっていうのは得でしかない。「私得」でしかないです(笑)
――女性の友情と生き方を描くこの作品を、音楽劇として表現することについてはいかがですか。
朝夏:ドラマだと画面を通じて感情が伝わりますが、舞台の良さはその雰囲気や温度を感じられるところ。お芝居で作り上げた感情のうねりや波を、より深く届ける手段が音楽なんです。重いところもある作品で美しく浄化させるということもあります。30代後半は自分自身も通ってきた岐路で、それまでとは別れや出会いの重みが変わってくる経験をしたので、よりリアルに出せる。経験してきた方にはノスタルジックに届くものがあるだろうし、これから経験する女性にとっても考えるきっかけになるのではないかと思います。これだけリアルに打ち出している作品は今の時代にすごく合っていると思いました。
七海:ストレートプレイではなく音楽が入ることで、気持ちがあふれて仕方なくなって音に乗せる──というのはすごく素敵なこと。原作のドラマとはまた違う”舞台としての39歳”を楽しんでもらえるんじゃないかな。見た人が「頑張ろう」とか「どういう生き方をしよう」とか少し気持ちが変わるのがすごく素敵なことですから、しっかり表現していけたらと思います。

夢咲:39歳、40歳の手前って、体のことも含めて女性が本当に考える時期で1つの通過点ですよね。立ち止まったときの心の支えや、頑張れる仲間の大切さを私自身も感じています。ドラマは1話1時間以上で12話くらいあります。心に寄り添う作品だからこそ、音楽が身に染みる助けになるのかなとすごく楽しみにしています。
――ドラマの好きなところを教えてください。
朝夏:重い題材を扱っているのに、見終わった後にネガティブにならなかったところ。
七海・夢咲:確かに!
朝夏:「ちゃんと生きよう」って思える。後悔をしない生き方にすごく惹(ひ)かれました。あと、ところどころにキュンがちゃんとあるっていうのは韓国ドラマならではの素敵なところだなって。
夢咲:芍薬のところもめっちゃいいです。
朝夏:ね、あそこいいよね。
七海:なかなかあれはできないよね(笑)私はね、事あるごとに3人で集まって「えい!」って乾杯したり、「ご飯食べよう、何があっても美味しいもの食べよう」というところがすごく好き。一生懸命になると睡眠時間や誰かと過ごす時間をおろそかにしちゃうこともあるかもしれないけれど、3人が集まるあの場面を見ると、ちゃんとした生活、食べることも誰と過ごすかということも大事だと思い出させてくれる。
夢咲:それぞれにポッと心があったかくなるようなラブストーリーがあって、惹かれ合う中で人間として成長していく過程がすごく素敵。韓国ドラマならではだなと思います。

――3人が10代の頃から一緒にいて、ここは変わった、ここは変わらないと思うところは?
朝夏:こういう取材で話しているのを見ると、いい意味で上下関係がなくなったなって思うんです。それを望んでいるからすごくうれしい。宝塚にいる時は1学年違うだけでもやっぱり上下関係があった。でも今はもう友達に変わったって感じがします。
七海:それはまぁちゃんがそうしようって言ってくれるから、私たちもスススッと(近寄る)
朝夏:言ったらやってくれる人たちなんですよ(全員笑)でもこの舞台をやるからではなくて、自然にそうなってくれているからすごくうれしい。舞台が始まる前にも3人で泊まりがけでどこか行けたらいいねって話してます。
七海:こんな年月一緒にいて、すごく変わっちゃったということはなくて。いい意味で変わらないなと思う。でも……服装は変わったかな(全員笑)ずっと変わらずいられることがすごく素晴らしいことだと思います。
朝夏:やんちゃは減ったかしら。宙組時代より。
七海:そうかも(笑)そう考えると確かに落ち着いた……のかもしれない(全員笑)
――お互いの俳優としての魅力をどう見ていますか。
朝夏:魅力しかないです。ねねちゃんとは『モダン・ミリー』で初めてちゃんとお芝居をしたんですけど、なんてキュートなんだって。役柄もあるけれど、ねねちゃん自身が持っているものが人としてキュートで、それがすべてを物語っていて──好き!!って思いました。
夢咲:私も好き!(即答)
朝夏:カイちゃんは宙組時代に男役同士の芝居をしていて、すっごくお芝居が好きな人。やり取りが”生(なま)”なんですよ。それを今度は女性同士で。未知の部分もあるし、すごく楽しみです。
七海:まぁちゃんとは宙組時代にご一緒していて、初めてがっつり芝居をした時に「なんてナチュラルに芝居をされるんだろう」と。私はお芝居するとき目の奥に本当か嘘かがあると思っているんですが、まぁちゃんには全く嘘がない。目を見るだけで泣いちゃいそうになる瞬間がありました。またご一緒できるのがすごくうれしいです。ねねちゃんは初めて音楽学校で会ったときからただ者じゃなかった(全員笑)カリスマ性を持った人だなとずっと思っていて。ちゃんとお芝居するのは初めてだから、すごく楽しみです。
夢咲:カイちゃんは音楽学校時代に授業が終わってから寝るまでずっと一緒に過ごして、素の部分も知っている私が見てもどんどんキラキラして洗練されていって。「こんなかっこいい人がこの世にいるの」という男役像を作り上げていました。今回は新しい扉が開かれると思うので、その過程を一緒に作り上げていけるのがすごく楽しみです。まぁちゃんは台本の読み解き方からしてすごい。一緒に稽古場にいても驚くくらいキャッチ力もみんなを引っ張る力もお芝居も素晴らしい。今回もおんぶにだっこでぶら下がります(笑)
七海:ぶら下がっていこう(笑)

――それぞれ、男性キャストとの共演についてはどう感じていますか。
朝夏:相葉さんとはコンサートやラジオドラマでご一緒していたんですけど、もっと血気盛んで情熱的な役だったので、どしっと構えた包容力のあるタイプの男性役がすごく楽しみです。
七海:前田さんとはまだお会いしていなくて初めましてなんですけど、役柄も包容力を感じる男性像だなと思います。私は恋愛もののお芝居を男性とやるのが初めてでして…
朝夏:フーフーフーフー!
全員:(笑)
七海:どういう風になっていくのかちょっと楽しみです。
夢咲:私も初めてご一緒するのですが、役柄的にも年下の男性との淡い恋という感じなので、どんな化学反応が起こるのかなと。この役で高橋さんのどんな姿が見られるのかすごく楽しみにしています。
――最後に、皆さんのとっておきの友情エピソードを教えてください。
夢咲:はい(挙手)『モダン・ミリー』の稽古期間に私の誕生日があったんです。まぁちゃんが稽古場でリーダーとなってお祝いしてくださって、私が食べたかったタイ料理のお店を探してくださって、みんなで誕生日会して。お店が終わった後も「もう帰る? 大丈夫? まだ一緒にいたかったら一緒にいるよ」って言ってくださって。「一緒にいたい〜!」ってなりました(拍手)
朝夏:あったな〜。
七海:かっこいい!
夢咲:私の気が済むまで一緒にいてくださったんですよ。
朝夏:カラオケだよね、最後は。
夢咲:時間的にカラオケしかやってないんですもん(笑)帰るときにも「満足した?」「はい!!」って。もう優しさの塊でしかない。
七海:私も事あるごとに…悩んだ時に「どうした?」って話を聞いてくれる時間を作ってくれて。たまたま会った時にちょうど自分がちょっと落ちていたりすると、スッと手を差し伸べてくれる。在団中もだし辞めてからも。いろんな面からアドバイスしてくれるから、本当にありがとうございますという気持ちです。
朝夏:やった方は覚えていないんですよ(笑)
夢咲:それがいい。それがいいんですよ。
七海:当たり前のようにやっているけど、人を救っているというね。

取材会は終始笑いが絶えず、同時に互いの言葉へ深くうなずく場面が何度も見られた。10代で出会い、宝塚時代を経て「友達」と呼び合う3人が、韓国ドラマ『39歳』の世界初舞台化に挑む。
【公演概要】
音楽劇『39 歳』
出演:朝夏まなと 七海ひろき 夢咲ねね
相葉裕樹 前田一世 高橋健介
篠山輝信 伊島青/小島聖 あめくみちこ 佐戸井けん太 ほか
【東京】2026年9月5日(土)~13日(日)@IMM THEATER
【大阪】2026年9月18日(金)~24 日(木)@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公演公式サイト

