「やりたいことをやったらいい」華道の名門・池坊の教育方針が生んだ、池坊専宗の伝統にとらわれない、いけばなのスタイルとは

2026.6.9 10:30

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池坊専宗の写真

6月3日放送の『人生が変わる1分間の深イイ話』復活2時間SPに池坊専宗(いけのぼう せんしゅう)さん(34)が出演。日本が世界に誇る華道の家元・池坊の御曹司である専宗さんの人生や、伝統にとらわれない華道家としての新しいスタイルについて聞いた。

京都の六角堂で出迎えてくれた池坊専宗さん。「ここは庭というか、遊び場ですよ」と話す専宗さんは、いけばなを生み出した池坊の御曹司だ。池坊家は宮中花会の開催を許された唯一の家元であり、専宗さんの祖父・池坊専永さんは華道家初の旭日中綬章(きょくじつちゅうじゅしょう)を受章している。

専宗さんの“遊び場”である六角堂は、聖徳太子が創建したお寺であり、小野妹子が初代住職を務めたことで知られている。スタッフが「専宗さん、小野妹子さんの子孫ですか?」と尋ねると、専宗さんは「そうなんですよ」と答え、スタジオのゲストたちからは「えー!」という驚きの声が上がった。

「ここが、聖徳太子が沐浴(もくよく)された跡ですね」と専宗さんが指差した池の前には、大きなビルが建っている。このビルは、池坊の会社の自社ビルなのだとか。ビルの1階にある広々としたホールには小さな池があり、鯉が泳いでいたりとスタイリッシュな空間だが、専宗さんは「小さい頃はここでよくサッカーしてて」とわんぱくなエピソードを披露した。

華道の家元・池坊は由緒正しく、いけばなで豊臣秀吉をもてなした歴史がある。祖父の専永さんは、世界100か国以上を訪問して華道の普及に力を入れており、上皇后の美智子さまのご訪問を受けたことも。祖母は2006年に文部科学副大臣に就任しているほか、専宗さんの母の専好さんは、五山送り火の実行委員を務めている。

専宗さんは、「華道というのは、元々お坊さんがお花を供えるところからきましたので、六角堂の住職を池坊は代々務めていく」と池坊家の由来を話し始めた。また“池坊”には、「池のほとりのお坊さんの住まい」という意味があるのだとか。

室町時代、人々を驚かす花を生けたのが、12世の池坊専慶だった。その後、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、茶の湯と同時代に、初代専好と二代専好が華道を発展させた。専宗さんが「専好が立花というスタイルを大成した」と言って見せてくれたのは、二代専好による『立花図』で、これは現在でも華道家の勉強の素材に使われているという。また、ルーツがお寺なので代々の家元は全員住職で、専宗さんの母の専好さんが女性初の家元となるため僧侶となる儀式は大きな話題となった。

由緒正しい池坊家だが、専宗さんが家業をつぐまでの経歴は異色だ。最初は慶應義塾大学に入学し、数学者になることを考えたものの、「3週間ぐらいで、これは無理かな」と諦めたという。その後、「人のことがわかるから法学部を選んだ」という理由で東京大学法学部に入り直した。

池坊が開催する展覧会は、上皇ご夫妻がご覧になることも。この日は仙台で個展が開催され、祖父の専永さん、母の専好さん、そして専宗さんの作品が並んだ。家元・専永さんの作品は、仙台の県木であるケヤキの皮を豪快に使い、自然の生命力を感じさせるものだ。専宗さんは「祖父が1番年長なんですが、1番ダイナミックというか。母は色彩が入ったり、彼女の個性がある感じ」と解説した。

専宗さんの作品は、竹を組んだ中心に小さな器を置き、空間を美しく使って作られている。「若い緑が多い時期なので、いろんな緑がここに一緒に暮らしているというか、命が共生しているような、そういう気持ちで花を生けました」と専宗さん。

ちなみに、大きないけばなを作るときによく使うのが、棒だ。「僕ら、“池の棒”って呼んでるんです」と言って笑う専宗さんに、スタジオのヒロミと羽鳥慎一は、声をそろえて「池坊ギャグ」とツッコんだ。

個展では、日本各地でいけばなを教える先生たちから「専宗さま」と呼ばれる専宗さんだが、実は祖父や母から、一度も華道をすすめられたことはないのだという。「やりたいことをやったらいい」という教育方針で、高校時代は野球に打ち込んでいた。母の専好さんは「親子であっても別の人格であり別の人生、子どもは親のモノでもない」と語る。

この自主性を尊重する方針が、専宗さんの新たな価値観や華道家としての新しいスタイルを生んだ。「僕の花はいけばなの定石を壊す花も多い」という専宗さんの作品は、これまでの伝統にとらわれない。

たとえば、循環型の素材を使うなど、SDGsの取り組みを取り入れたほか、若い世代に華道を広めるため、写真家としての活動やSNSでの発信も行っている。「生で生きている花そのものが一番よい、写真に撮ると“格が下がる”」というこれまでの華道における考え方を壊し、「やらないよりやった方が、そうじゃないと結果は変わらない」と語る専宗さんは、華道と写真の2分野で京都市芸術新人賞を受賞するなど活躍を続けている。

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写真提供:(C)日テレ
文:entax編集部

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