【独自インタビュー】美弥るりか×七海ひろき 熱烈オファーから始まった“ミスディレ”、同期が明かす舞台裏
宝塚歌劇団OG9名が集結し、究極の騙(だま)し合いを繰り広げるクライム・シチュエーションコメディ舞台「MISSDIRECTION」。七海ひろきがプロデューサーを務める演劇企画“QQカンパニー”の第2弾となる本作は、5月28日から31日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演され、6月17日から21日まで東京・シアターHへと続く。
主演は、七海の同期であり元月組男役スターの美弥るりか。深い信頼関係で結ばれてきた2人が、初めて本格的に芝居で共演する舞台だ。脚本・演出は、前作「THE MONEY -薪巻満奇のソウサク-」に続き、シチュエーションコメディを数多く手がける保木本真也。「すべてを疑え。それでもあなたは騙される。」——密室に閉じ込められた9人の女たちが繰り広げる、一筋縄ではいかない物語。
なお、6月21日(日)の公演は、ライブ配信および見逃し配信が決定。劇場に足を運べない人も、この“騙し合い”を見届けられる。
開幕に先立って、美弥るりかと七海ひろきにその制作の裏側を聞いた。同期だからこそ語れる互いの素顔とは。
「P自ら連絡が来る」オファーは“完璧な”プレゼンから
——お2人のツーショットはファン待望という感じがあります。横並びでお話されていて、どのようなお気持ちですか。
美弥:うれしいです。ニヤニヤしちゃうし、ワクワクドキドキ。宝塚卒業後も連絡を取っていたけど、作品がスタートしてから会える機会も増えました。カイちゃん(七海)自身がプロデューサーですし、P自ら連絡いただいて。進捗も共有してくれます。
七海:キャスティングでも、最初にみやちゃんにやってもらいたいとなってから、ほかのキャストを考えるときに相談していました。どういう舞台にしたいかとか、共演したことがあるかどうかとか、さりげなく聞いて。
——美弥さんは七海プロデューサーのアドバイザーのような。
美弥:いやいや、そんな偉そうな感じではないんです。ポロっと相談してくれたときに、私はほよほよっとお答えして。ゆるーい感じで(笑)今回、カイちゃんはこのQQカンパニーでお芝居をがっつりやりたいというコンセプトがあったので。それに合った、個性豊かでお芝居が大好きな素敵なメンバーをチョイスして。共演経験がない方にもオファーしているから余計にすごいなと。1回くらいご一緒しないと緊張しちゃうのに、「カイP」はちゃんとぐいっといく。

七海:みやちゃんが主演で一緒に芝居している姿を見たいなという考えもありました。掛け合いがどんな感じになるんだろうと想像しながら進めて。
そもそも美弥への主演オファーは、七海から直接持ちかけられたという。
美弥:いつも通り一緒にご飯を食べながらだったんですけど(笑)オファーしてくれる気持ちが本当に熱くて、温かくて、完璧なプレゼンだったんですよ!
——プレゼンという感じだったんですか。
美弥:カイちゃんって、同期から見るとあざらしのような癒しオーラがすごくて、ふわふわしてるんです。今もそのふわふわは残っているんですが、その日はプレゼンいくぞとなった瞬間に目つきが変わったんですよ。ご飯を食べてゆるゆる近況報告をしていたのに、食べ終わった頃に急にしゃきっと背筋が伸びて。作品への思い、第1弾からの気持ち、第2弾を絶対素敵なものにしたい、そこにみやちゃんに出てもらいたいんだよねという、熱いプレゼンをいただいたんです。これで出ないと言う人いないだろうと思うくらい、もう落とされてしまいまして。帰り道、すごく幸せな気持ちで家に帰ったのを今でもはっきり覚えています。
七海:今回は、みやちゃんがOKしてくれなかったらまた考え直そうかというくらいの気持ちでお願いしたんです。退団してから独自の“美弥イズム”を突き進んでいるのもかっこいいし、在団中の月組公演『グランドホテル』や『カンパニー -努力、情熱、そして仲間たち-』を見て、なんてかっこいいんだろうと。いい意味で力が抜けて、性別関係なく素敵なお芝居をされてるなと。みやちゃんのお芝居が好きだから一緒に芝居したいという気持ちが大きかったです。

5人から9人へ。「9人かー」と頭を抱えた脚本家
第1弾「THE MONEY -薪巻満奇のソウサク-」も保木本が手がけたシチュエーションコメディだった。続く第2弾でも保木本に託したのは、前作で得た手応えゆえだ。
七海:第1弾のとき、本から演出でこんなに面白くなるんだというのを稽古場で実感したんです。セリフや展開が積み上がった上でのオチやテンポ感が、勉強になりました。第2弾でもまたシットコムをやりたくて再びお願いして。今度は人数が増えたらどうなるのかを見てみたいなと。
——人数についても七海さん側から提案を。
七海:前回は5人だったんですけど、今回はもっと大きな劇場になるので何人ぐらいがいいですかねとご相談したら、「7人から9人ぐらいですかね」と。多いほうが面白いかなと思って9人で。でも保木本さんご本人いわく、自分で言ったものの「9人かー」と頭を抱えたそうで(笑)9人いるとキャラがかぶってしまう可能性もある。全員違うキャラクターで、全員にちゃんと光が当たっているというのを書けるのは、なかなかできることじゃない。さらにたどると、キャスト全員が元々オリジナリティあふれる方たちだから、保木本さんもインスパイアされて書いたと思うので。全部つながってるんだなと感じます。
第一稿を読んだ美弥は、自分の出演を忘れて引き込まれたという。
美弥:自分が出演することを忘れて読んでしまいました。1回の観劇では足りなくて、何度も観たくなるくらいの面白さだったんですよ。むしろ本を発売してもいいんじゃないかなって。
七海:ル・サンク(宝塚歌劇で発売される台本付き写真集)のように振り返り台本があっても面白いんじゃないかというくらい、活字でも楽しかったです。期待していただいて大丈夫!
「表面に出ているものがすべてじゃない」演じる役への手応え
騙し合いの物語だけに、役へのアプローチもまた一筋縄ではいかない。
美弥:ネタバレになることは言えないんですけど、表面に出ているものがすべてじゃないということを体現している役だと思いましたね。人って第一印象で「この人、こういう人なんだろうな」と勝手にリサーチしちゃうじゃないですか。そういうものを覆せるといいなと。キャストそれぞれが保木本さんと、自分の考えや人生観みたいなものを共有していて、それが脚本に反映されているのも面白くて。読んだとき、保木本さん目線だと私はこういう印象なのか!と意外でした。共演者についても私が感じていた印象とは違う人物に描かれているように見えて、それもある意味騙されていたみたいなもの。すべて疑っていかなくちゃと思いました。

七海:きっと保木本さんは、キャストに会ってこの人ならこの役ができるというのを明確に考えながら作ってる。本人に似ているというより、会って話すことで、この人はこういうのを演じられるんだろうなと見定めているんだと思います。
——七海さんご自身はどう演じていきたいですか。
七海:お客さんにフラットな目で観てもらえるキャラクターでいたいなと。怪しいのか怪しくないのか、どっちなんだという感じを表現できたらいいなと。
美弥:すごく魅力的だよね。表現としては「気になる」が一番近いかも。「気になるひろき」。
七海:確かに!皆さんにとって気になるキャラクターで居続けられたらなと思いますね。
大阪と東京で結末が変わる「アナザーエンディング」
本作ならではの仕掛けが、大阪公演と東京公演で結末が異なる「アナザーエンディング」だ。すでに幕を開けた大阪を経て、これから始まる東京では別の結末が待つ。発案は七海だった。
七海:大阪も東京も観に来てくださる方がいる際に、何かが変わるとどっちも観たいなと思うじゃないですか。エンディングの違いで最後に感じる気持ちが違うと思うので、それを楽しんでもらえたらと思って「やってみよう!」と提案したんです。話し合いの段階では、東京と大阪でキャストを入れ替えるという話もあったんです。
美弥:やばいやばい!
七海:やばいよね(笑)さすがにキャスト入れ替えは難しいかなとなって。でもエンディングが変わるのなら面白いし、役者たちも新鮮な気持ちで一からできるかなと。
美弥:聞いたときは「めちゃくちゃ面白い」と思ったんですが、台本を読んでから「待てよ」と。エンディングによっては、それまでの演技も全部変わってきたりするじゃないですか。役作りが変わるかもしれない。もしかしたら、一人だけ超大変な人がいるかもしれない。その該当者になる可能性が全員ゼロじゃないから、アナザーの台本を開けるときはみんなドキドキすると思う。“やばい、私だ!”ってなるかもしれない。
七海:“めっちゃアナザーが来た!”って(笑)出演者側にもハラハラドキドキがあります。

音楽学校以来の本格共演。「目が合ったらニヤニヤしちゃう」
長い付き合いの2人だが、舞台で正面から芝居を交わすのは、実はこれが初めてに近い。
七海:タカラヅカスペシャルと初舞台公演ぐらいで。イベントとかではあるんですけど、芝居するのは初めてなんだよね。
美弥:音楽学校以来のお芝居ですね。
七海:音楽学校の文化祭でも多分あまり絡んでないです。だから本当に向き合って芝居するのは初かもしれない。
——お互いをよく知る仲だからこその、やりやすさと難しさがありそうです。
美弥:最初はニヤニヤしちゃうと思います。目を合わせたらきっとムフムフしちゃう。そういう意味では何もかも新鮮なんですよ。稽古段階の姿ってそれぞれ違うじゃないですか。休憩中にすごく台本を読んでる方もいれば、みんなとコミュニケーションを取る方もいて。全部楽しみでしょうがないです。
七海:私も「稽古場の美弥るりか」と一緒に過ごせるのが楽しみだった。私はみやちゃんの核心を突く一言や、言葉のチョイスが天才的だと思ってて。聞いていて話がすごく面白いんですよ。
美弥:(笑)このメンバーでいい化学反応が起こりそうだよね。
2人の「最近ミスったこと」は…
——「MISSDIRECTION」にちなんで、最近ミスったエピソードがあれば。
美弥:これ何度かやったことあるんですけど……約束の前の日に、その時間に行っちゃうことですかね。
七海:結構おおごと!
美弥:つい最近もお仕事のお約束でやらかしまして。「美弥さんが今日来たぞ…?」みたいな空気になって、どうしたんだろうと思ってたら、「明日だと思います……」と。スケジュール帳には書いてあるんだけど、途中から今日だ!と思い込んじゃうの。何の疑いもなく行っちゃうから、皆さんをざわつかせてしまう……。
七海:私はそんなに面白いミスじゃないんですが……
美弥:その導入がもう面白いよ?
七海:(笑)電車のミスが多くて。普通は1駅乗り過ごしてもすぐ反対側に乗って帰るじゃないですか。まず1駅じゃないんですよ。3駅ぐらい乗り過ごすんです。
美弥:疑いもなく進んじゃうのね。
七海:まずいと思って向かい側の電車に乗る、そしたらまた乗り過ごしちゃう。途中でほかの路線に乗ったほうがいいと検索して違う電車に乗る。そしてまた乗り過ごして同じことを繰り返す。本当に一生着かないんですよ。最終的にタクシーに乗るっていう。
美弥:(笑)最初からタクシー乗ったらいいのに……。
七海:そう、最初からタクシー乗ればいいのに。冗談じゃなく何度かやっていますね。なので早めに出るんですけど、結局着くのが本当にギリギリです。
騙し合いの舞台に立つ2人だが、素顔はどうやら“騙される”側に近いらしい。

——最後に、読者の方へメッセージを。
七海:舞台「MISSDIRECTION」、一度ではなく何度も観たくなる作品なのは間違いありません。そしてみやちゃんが主演!今までに観たことのないみやちゃんのキャラクターをお見せできると思っています。ほかのキャストの皆さんもとても面白いので、どのキャラが推しになるのか楽しんでいただけたら。
美弥:プロデューサーのカイちゃんのこだわりとセンスがぎゅっと詰まった作品になっていると確信しています。大阪・東京と応援していただけたらうれしいです。騙されにきてください。
大阪公演を終え、舞台は東京・シアターHへ。同じ物語が、別の結末でもう一度幕を開ける。舞台「MISSDIRECTION」東京公演は、6月17日から21日まで東京・シアターHにて上演。ライブ配信は6月21日。12時公演は全景映像と限定コメント映像、16時公演はスイッチング映像が配信される。さらに、大阪と東京それぞれの千秋楽公演を収録したBlu-rayも発売も決定している。
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