【舞台リポート】『BOOP! The Musical』開幕! 礼真琴、宝塚の先へ――アニメから飛び出したベティー・ブープを生きる

2026.5.29 20:10

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礼真琴の写真

誰もが知るポップでキュートなキャラクター「ベティー ブープ」を主人公にしたミュージカル『BOOP! The Musical』が、5月27日、東急シアターオーブにて開幕した。白黒アニメの世界から現代のニューヨークへ飛び出したベティーが、新しい仲間との出会いを通じて「自分らしく生きること」の意味を見つけていく物語だ。

演出・振付はトニー賞受賞のジェリー・ミッチェル、音楽はグラミー賞受賞のデイヴィッド・フォスター、脚本はボブ・マーティン。昨年のブロードウェイ公演でも評価を得た話題作が日本に初上陸する。主演のベティー・ブープ役を務めるのは、2025年に退団した元宝塚歌劇団・星組トップスター礼真琴。本作が退団後初のミュージカル主演となる。

開幕に先立って行われた囲み取材と、ゲネプロの模様をリポートする。

■男役を脱ぎ捨てた礼真琴が「生まれ変わった気分」で挑む

登場のシーンでまず目を奪われるのは、ミニスカートにハイヒールという、これまでの礼真琴の舞台姿とは正反対のいでたちだ。その振り幅の大きさ、キュートさに、宝塚時代を知る観客ほど驚かされるだろう。

声の作りも大きく変わっている。第一声のキー、声色からして従来とは異なり、最初は戸惑う向きもあるかもしれない。だが姿、仕草、表情、歌、ダンスまで、すべてがアニメのベティーが飛び出してきたような精度で作り込まれており、戸惑いはすぐに作品への没入へと変わっていく。場面ごと、台詞ごとに声色と表情を細かく切り替え、ベティーが単に可愛くセクシーなだけのアイコンではなく、賢く、信念を持ち、強く、そして優しい人物であることを観客に伝えていく。

囲み取材で礼は、稽古について「まず男役芸が出ないようにっていう必死な思いから」始まったと振り返り、「皆さんに持ち上げていただいてここまで来られた。本当にハッピーな稽古場だった」と語った。一番苦労した点を問われると「もう全部ですね。生まれ変わった気分でやっているので、声の出し方も、仕草も、動き方も」と答え、「一番楽しいなと思う瞬間が今も続いています。苦労したけど、それも幸せな時間だったな」と笑顔を見せた。

演技で意識した点については、演出のジェリー・ミッチェルから稽古中ずっと「カートゥーンらしさ、アニメらしさ」をアドバイスされたといい、冒頭のアニメ世界からニューヨークに飛び出す場面ではその質感を、二幕でベティーにリアルな心が芽生えていく様子はその変化を、それぞれ大切にしたと明かした。男役時代に「持ち味」だった筋肉とボディメイクにも触れ、「まさに今頑張っている最中。博多の千秋楽まで努力し続けたい」と微笑んだ。

■礼真琴×柚希礼音、宝塚の先で並ぶ二人

本作のもう一つの見どころが、礼真琴と、礼が憧れた元星組トップスター・柚希礼音の共演だ。

宇宙物理学者・ヴァレンティーナを演じる柚希は「礼真琴ちゃんの退団後、初のミュージカルに関わることができて、本当に感動している。のびのびと公演できるように、みんなで支えていきたい」とコメント。礼は柚希との共演について「感無量。大歓喜。大喜び!」と笑顔。「ちえさん(柚希の愛称)がいてくださることで、ここまで元気に来られた」と感謝を述べ、着るものやメイク、持ち物といった現場の細部まで日々LINEで相談していたという裏話を、笑いを交えて明かした。

柚希は礼の演技を「退団後すぐなのに女性としても素晴らしく演じているし、アニメのベティーちゃんとしても演じている。声の高さも素晴らしい」と評価。さらに「ベティーはスターだけど何かが足りないと思っている。礼真琴も大スターだけど、もしも何かが足りないと思っていたとして、それがいろんな愛によってカラフルに花開いていく――そう重ねて見ると、最強に感動する時間になる。愛で満ちた礼真琴、ベティーちゃんが輝き出す姿を見てほしい」と愛情たっぷりに語った。

■「ジェリーマジック」と、日本版だけの振付

ジェリー・ミッチェルは、日本版で新たに振付を増やした理由について、元々宝塚ファンであったこと、そして礼と柚希と組む中で宝塚出身者の身体能力の高さを実感したことを挙げた。「このメンバーに頼めば、何でもやってくれる。本当にすごい才能なんです」と述べ、ニューヨーク以外で初めて手がける『BOOP!』を「このカンパニーのための『BOOP!』にしたかった」と話した。

会見に参加したキャストを「スター!スター!スター!スター!スター!スター!全員が特別です」と絶賛。

8週間にわたって稽古から立ち会ったミッチェルの仕事ぶりを、キャストは口々に「ジェリーマジック」と呼んだ。グランピー役の大澄賢也は「ジェリー・ミッチェルさんの作品に出たいと思っていた。その毎日が宝物になった」と語り、同じくグランピー役の東山義久は、作品の幸せなオーラが音楽・舞台・演出のすべてに詰め込まれていると述べた。日本版で増やされたダンスナンバーは、ブロードウェイ版との違いとして注目したい。

ベティーの相手役ドウェインを演じる松下優也と水江建太。松下が「男として(元男役の)礼さんに突っ込まれないよう一生懸命頑張りました」と語ると、礼は「本当にお2人がリードしてくださいまして」と笑顔。水江は「僕は結構、リードされそうに…」と笑いを誘った。松下は見どころに二幕後半のベティーのソロナンバーを挙げ、水江は「何かが消えたり現れたりする演出に驚きがたくさんあった」と、舞台上の仕掛けへの期待を口にした。カートゥーンを思わせる趣向や「色」をキーに観客を巻き込んでいく演出も大きな魅力となっている。

■FULL OUT!!

礼真琴が見せるベティーは、宝塚の男役という美しい額縁から飛び出した先で、軽やかに弾けるチャーミングさを発揮する。物語が進むにつれて「本当の自分」を求めてリアルなニューヨークで奮闘するベティーと、俳優として新しい世界にチャレンジする礼の姿がリンクしていく。鮮やかに色づいていくラストナンバーの多幸感あふれる演出は、まさにポップでゴージャスでキュートな魅力に満ちている。

礼真琴の写真

囲み取材の最後、日本の観客へのメッセージを求められたミッチェルは、ひと言「FULL OUT!!(全力で!!)」と叫んだ。個性豊かなキャストと心躍る演出が詰まった本作は、観劇後に「他の誰でもない、自分だけの物語を、自分で作り上げるんだ」というパワーをもたらしてくれるはずだ。

公演情報

ミュージカル『BOOP! The Musical』
脚本:ボブ・マーティン/音楽:デイヴィッド・フォスター/作詞:スーザン・バーケンヘッド/演出・振付:ジェリー・ミッチェル
出演:礼真琴/松下優也・水江建太(Wキャスト)、鈴木瑛美子・藤森蓮華(Wキャスト)、渡辺大輔・中河内雅貴(Wキャスト)、まりゑ、青柳塁斗/大澄賢也・東山義久(Wキャスト)/柚希礼音 ほか
【東京】2026年5月27日〜6月21日 東急シアターオーブ
【大阪】2026年7月4日〜7月22日 梅田芸術劇場メインホール
【福岡】2026年7月30日〜8月16日 博多座
公演公式HP

取材・文:entax編集部

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