失われた城を完全再現する城郭模型の神!その意外な職業とは

2026.5.28 09:45

この記事をシェア

  • Twitter
  • Facebook
  • Line
ヒロミの写真

ヒロミと小泉孝太郎の2人がMCを務める『オー!マイゴッド!私だけの神様、教えます』が5月23日に放送。今はもうない城を完全再現する城郭模型の神が登場した。

道行く人に“その人にとっての神様のような存在”を聞き、実際に会いに行くこの番組。今回は、パシフィコ横浜で開催された『お城EXPO』で声をかけた男性に「あなたにとっての神様的存在」を尋ねた。その男性が挙げたのは、城郭模型の神・島充さん。島さんは、古いお城の写真を徹底的に解析し、精密な図面を起こし、すでに現存しない城でさえ模型で完全再現してしまうという。

時代劇の建築考証にも携わる城郭研究の第一人者・三浦正幸さんも「失われた天守そのものを再現する、まさに神様の仕事です」と絶賛するほどの腕前。そんな“現存しない城を蘇らせる男”城郭模型の神・島充さんに会うため、スタッフは島さんが暮らす福岡県柳川市を訪れた。

城郭模型の神・島充さん43歳

戦国時代、武将の象徴として全国に築かれた数々の城。しかし、明治政府の廃城令や戦争による被害で、その多くは姿を消してしまった。現在見ることができる城のほとんどは、昭和以降に再建されたものだ。

そんな中、島さんが“当時の城”を再現できる理由は、古いお城の写真を徹底的に解析し、そこから図面を起こしていくという独自の手法にある。「今ないものを蘇らせたいと思って模型を作っています」と語る島さん。

今はなき萩城の天守を完全再現

島さんが再現した城のひとつが、今はもう存在しない萩城の天守。明治時代初期に撮影された古写真を手掛かりに、島さんは天守を模型で蘇らせた。その最大のヒントとなるのが瓦。古写真に映る瓦の数を一枚ずつ数え上げ、そこから屋根の正確な長さや角度を割り出していくという、気の遠くなるような作業だ。

しかし、写真に残されているのは正面のみ。後ろ側の構造は写っていない——。そこで島さんが頼りにしたのが、築城当時の図面。萩城には幸い図面が残されており、写真ではわからない部分を図面から読み解き、立体的に再現していく。さらに、現存する跡地にも何度も足を運び、自ら描いた原寸図に修正を重ね、完成した原寸図に合わせて立体化していく。

素材となるプラスチックを図面に合わせてかたどっていく

島さんは、描き上げた図面の上にプラスチック板を重ね、模型の部品となる形を一つひとつカットして成形していく。とくに屋根の瓦部分は細部が多く、その作業だけで1か月以上かかることもあるという。石垣は発泡スチロールの素材に彫刻のように溝を刻み込み、現地取材で確認した色味をもとに丁寧に塗装。さらに、緑のパウダーをふりかけて草を再現し、透明な樹脂を流し込んで堀の水面まで表現する。こうした工程を進めながら、島さんは何度も図面を見直し、修正と再検討を繰り返す。少しでも実物に近づけるため、寸法をミリ単位で調整し続けていく。

細やかな作業を繰り返していく島さん

こうして、失われた当時の城の姿が、島さんの“神の手”によって模型として蘇る。古写真と見比べても瓜二つなのはもちろん、窓の開き方に至るまで忠実に再現されている。幕末の志士たちが見上げたであろう萩城の天守——。その姿を、島さんは見事に現代へ呼び戻した。そんな萩城の模型が、島さんとともにスタジオに登場。窓の色味、石垣の曲線の角度、そして写真では確認できない細部までも、文献や現存する跡地の調査をもとに完全に再現しているという。

小泉孝太郎とヒロミの写真
あまりのち密さに感心しきりのヒロミと孝太郎

続いてスタジオに登場したのは、島さんが配信ドラマのわずか1カットのためだけに制作したという豊臣大坂城の模型。しかし当時の豊臣大坂城を写した写真は一枚も残っていなかった。そこで島さんは、いくつもの屏風絵(びょうぶえ)を徹底的に読み解き、「当時の大工が、秀吉からこう言われたらこう作るだろう」という職人としての感覚と歴史的知識を組み合わせ、“存在しない豊臣大坂城”を立体として組み上げた。資料が乏しい中でも、島さんの想像力と考証力が融合し、まるで本当にそこに建っていたかのような豊臣大坂城が、模型として蘇ったのだ。

当時の豊臣大坂城を再現

そんな“城郭模型の神”である島さんだが、本職はなんとお寺の住職。江戸時代から続く仁業寺の7代目を務めている。島さんの原点は、小学3年生のときに見た松本城。その美しさに心を鷲づかみにされ、城のプラモデル作りに没頭。やがて自分で図面を引き始めるように。その才能は早くも中学生の頃に開花。なんと実家の増築部分の設計図を自ら描いたという。

その後、慶應義塾大学に進学し、美学美術史を専攻。城への情熱は冷めることなく、ついに転機が訪れる。きっかけは、ネットオークションに出品した自作のプラモデル。これが落札されたことで自信を得た島さんは、13年前から自作の城郭模型を出品し始めた。すると、その精巧さが瞬く間に話題となり、やがて、お城専門のペーパークラフト会社の社長から「あなたはこの模型の道を真剣に考えた方がいい」と声をかけられ、2015年、模型作家・島充が誕生した。

ヒロミらの写真
ヒロミと孝太郎に模型の説明をする島さん

2016年4月14日、震度7の熊本地震が発生。熊本城の石垣は崩れ、瓦は無残に剥がれ落ちた。実は震災前、熊本城を築城当時の姿に復元する計画が進んでいた。しかし、地震による甚大な被害を目の当たりにし、島さんはこう思ったという。「(震災で)復元の計画は無理だなって思ったときに、熊本城を何か残さなきゃいけない。これはもう自分は生きているうちに見られないから、模型でできるんじゃないかと思いがあった」。

その思いを胸に、島さんは50枚以上の古写真や絵図を徹底的に検証し、設計図を作成。およそ1年をかけて、明治時代当時の熊本城全域を150分の1サイズで完全再現した。失われた城を、未来へ残すために——。島さんの“神の手”が、熊本城を模型として蘇らせた瞬間だった。

ヒロミの写真
細やかな手仕事に感心するヒロミ

今後について島さんは、「まだ誰も手掛けていないお城を作っていきたい」語る。その言葉に、ヒロミは「そしたらもうお坊さんやってる暇ないんだろうね」とツッコミを入れるのだった。

【TVer】最新話を無料配信中!
【Hulu】最新〜過去話配信中!

写真提供:(C)日テレ
文:entax編集部

クオカードプレゼントキャンペーン2024