俳優・坂口涼太郎が自身のエッセイ本を朗読!「読書体験の選択肢を増やしたい」オーディオブックが“絶対必要”な理由とは【独自インタビュー】

2026.3.13 17:00

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Audible坂口涼太郎写真

歌人にしてクセメン俳優・坂口涼太郎が初めて挑戦したエッセイ『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』が、Amazonオーディブル(以下、Audible)にて好評配信中!2025年8月の書籍出版からすでに5刷重版となっている大人気エッセイのオーディオブック化ということで、Audibleにはリスナーからのコメントが多く寄せられている。好評のポイントは“著者本人による朗読”。なぜナレーターを起用せず自身の声で朗読をしたのか、「どうしてもオーディオブック化したかった」と語る理由などを深掘りすべく、entaxは坂口に独自インタビューを行った。

〈『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』あらすじ〉

――容姿とか性格とか 自分のここ嫌い、でええやん。
しんどかったら あきらめて おどろ?――

――「諦める」とは「明らかにする」こと。今あるものに目を向けて、自分の性格や経済力や現実にも目を向けて、今ある環境と状態を明らかにして、お金がないのに引っ越そうとする暴挙になんか出ず、手の届かない憧れをちゃんとあきらめて、今ある環境の中で工夫して生活していこう。私はこれを「あきらめ活動」略して「らめ活」と呼ぶことをここに宣言いたします。私はこれからも、「らめ活」をあきらめへん。

――想像すること、妄想することには制約もモラルもありません。可能性は無限大。自分の感情を解放して、悲劇があったりなかったりするけど、今日もなんとか生きていて、めんどくさがらずにお茶碗洗えてるやん、靴下に穴空くぐらい頑張ってるやんという生活にカムバックするあなたは間違いなく最優秀人生の主人公賞受賞です。ほんまに、おめでとうございます。

日常にこそきらめきを見出す。
歌人にしてクセメン俳優・坂口涼太郎による大人気エッセイ。
〈Audible版『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』はこちらから〉

|自分に合うかたちで手にとれるよう、選択肢を増やしたい

――坂口さんのご希望で、今回書籍がオーディオブック化したと伺いました。
書籍の出版からオーディオブック化に至るまでの経緯をお聞かせください。

坂口:『mi-mollet(ミモレ)』(講談社が発信する大人の女性向けウェブマガジン)で連載が始まって、それが書籍化するとなったときに「本になるなら絶対にオーディオブックにしたいです」とお願いしました。

目の見えない・見えづらい方、耳の聞こえない・聞こえづらい方に向けて、アクセシビリティ*1みたいなことを演劇でやったときに、『オーディオブック』というコンテンツが絶対必要だと思ったんです。それぞれが自分に合うかたちで作品や読書という体験を選べる、そのための選択肢を増やしたい、と。誰でも読書をしたいと思ったらできるようにしたいという思いがあったので、オーディオブック化は必ずやりたいと思いました。

*1『アクセシビリティ』:高齢者や障害の有無にかかわらず、すべての人が製品、サービス、Webサイト、施設などを、それぞれの特性や能力に応じて「利用しやすいこと」「アクセスできること」を指す。誰一人取り残さない情報共有や、障壁の少ない社会を実現するための考え方。

――Audibleではどのようなジャンルの作品がお好きですか?

坂口:私みたいに作者が朗読しているものが好きです。やっぱりプロのナレーターさんが読み上げているものは本当に聴きやすいし、文字の1つ1つまで伝えてくださる技術がすごいんですけど、作者による朗読には、その人特有の味みたいなものがあると思うんです。

目で読書をすると、読み方やリズム…“声”が読み手それぞれに生まれますよね。でも作者による朗読だと、作者が書いたときにイメージした“声”をそのまま聴くことができる。作者が自分にしゃべりかけてくれているような感じが好きなんです。

例えばAudible版『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』でも、「静かな文章だと思っていたところが、実はすごく興奮して朗読していた」「自分の想像と違ったというおもしろみがあった」というご感想をいただいたりします。人それぞれにボイスみたいなものがあって、(目での読書と朗読とで)ちょっと差があるのが、おもしろいところだと思います。

――朗読をする際に意識されたことは何でしょうか?

坂口:言葉は、目で見るのと聞くのとでは差がある気がしていて…。視覚の情報量ってすごいんですよね。言葉1つ見たときに、風景や情景みたいなものが思い浮かぶし、読むテンポにおいては呼吸もあまり関係ない。だからさーっと読めるんですけど、聞く読書はさーっと語られちゃうと、言葉が入ってこないじゃないですか。私が、人の話やオーディオブックを聞くときに流し聞きをしちゃう癖があるんですけど、流れるように話されちゃうと、自分の中に文字や言葉が引っかからないんですよね。だから言葉を1つ1つ聞いて、想像してから次に行くというテンポの方がいいかなと思って朗読しました。

|聴き手が想像する余白を残す

――地の文とセリフの文、それぞれの声のトーンはどのように決められましたか?

坂口:あまり決めていなくて。書いているときに自分の脳内に“お涼*2”が登場して、ぐわーっと話している…あのときのボイスみたいなものを、自分の声を通して朗読しているという感じなので、悩みは一切なかったかな。だから鍵括弧の部分は「書いているときにこういう声がしていました」っていう、ある意味答え合わせです。俳優もやっているので、セリフの部分は「そのとおりにお伝えしたい」という思いでした。

一方で、セリフ以外の地の文章は、私が抑揚をつけすぎると一面的な感じになってしまうので、聴き手の方それぞれに想像していただく余白を残すために、ただ言葉を伝えることに徹したいと思いました。だから、意外と静かだなと思った方もいらっしゃると思います。目で読むと、すごいテンションでしゃべっているように感じると思うんですが、それも正しいんですよ!私もその気分で書いていたので。

でも聴くとなると、ずーっとハイテンションでやられちゃうと、疲れると思うんです。自分でも聴いていて疲れると思うので(笑) Audibleって、生活に根付いているというか、自分の心と体に割と密接に浸透する感じがあると思うんです。例えば寝る前に聴く方もいらっしゃると思うので…そういうときに覚醒する声よりは、ちょっと安心できるような感じがいいかなと思って、そうしました。

*2『お涼』:エッセイ内で登場する、坂口の一人称のひとつ

――Audibleのオーディオブック版特別メッセージでは“お尻”のイントネーションについて試行錯誤されたとお話しされていましたが…

坂口:“お尻”すっごく出てくるんですよ!1番単語として出てくるのが“お尻”なんじゃないかというくらいお尻の話ばかりしているんです、この本!(笑) 関西弁で書いていたので“おし(↗)り”と発音していたんですが、まさかイントネーションが関東と関西とで違うとは…。プロの方に問われるわけですよね。「坂口さん、全部“おしり(→)”でいくか“おし(↗)り”でいくか、どっちがいいですか」みたいな。「その二択!?」って(笑) イントネーションは自分でも知らないことばかりでした。相談の結果、セリフの部分はあえて関西弁のイントネーションを残して、地の文は基本的には正しいイントネーションにしようとなりました。

|「こう思っているんだ!」という発見は“自分のカルテ”

――自分の考えたことを出力して文章化するというのは、やはり大変でしたか?

坂口:全く苦ではなかったです!お題やご依頼をいただいて書くものって、普段自分では考えないことだったりするんですよね。その物事について考えるきっかけをくださってありがとう、という感じ。「自分ってこのことに対してどう思っているんだろう」に対して「こう思ってるんだ!」という発見って、“自分のカルテ”みたいな感じなんですよね。発見の連続なんですよ、この本は。自分のことがどんどん明らかになっていく。だから文章を書くって1番の『らめ活*3』だと思っています。

*3『らめ活』:自分の性格や経済力、現実に目を向けて“明らか”にし、手の届かない憧れは“あきらめ”て、身の丈に合った生活をするという坂口オリジナルの活動。“あきらめ活動”を略して『らめ活』。

――書籍を読んだことがある方へ「ここは音声でも改めて聴いてほしい!」というおすすめポイントはどこでしょうか?

坂口:私はお芝居をやっているので、鍵括弧の部分は聴いてほしいというか「なんかドヤッ」て感じなんですけど(笑) あとは短歌!作者の声で聴く短歌というのは、良さがあるんじゃないかと思います。

|短歌を“印象”と“構造”で伝えたい

――幕間に書かれた『涼短歌*4』について、朗読では1首につき2回詠んでいたのはなぜでしょうか?
*4『涼短歌』:坂口が詠んだ短歌のこと

坂口:先ほどもお話ししたように、1回聴いただけだと(内容が)流れていってしまうんですよね。短歌って、たった31文字なんですよ。その中に起承転結があって、最初のフックと、最後のオチがあるんですが…1回聴いただけだと、そのフックがわからなかったりするんですよね。

あとは、本来短歌は五七五七七というリズムですが、それを気にせずに詠む口語体のような短歌が、私は好きなんです。1回口語体で詠んで、その次に五七五七七のリズムで詠むと「これは短歌なんだ」と気づいていただけるし、「短歌って詠み方によってこんなに違うんだ」「言葉の区切り方ってこうなるんだ」とか、音声だからこそ伝わるものがあるんじゃないかと。

“印象と構造”と言いますか、印象で捉えたあとに詳細をもう1回確認するという、そういうかたちでお伝えしたいと思い2回詠んだので、『涼短歌』はぜひ聞いてみてください。

――次に叶(かな)えたいことはありますか?

坂口:次は短歌だけの歌集を出したいかな。それもできればオーディオブックにしたいです!オーディオブックでやりたいのは、音楽と短歌が一緒になっているもの。小説やエッセイは、現象や風景を言葉で詳細に説明できるじゃないですか。対して短歌は31文字で、ものすごく余白がある。例えば31文字の世界が連なっていくおもしろさを、文脈みたいに音楽が繋(つな)ぐ役割になったりするんじゃないかなと。そういうのはどうだろう?って夢想しています。

古典はありますが、現代短歌のオーディオブックはあまりないと思うんです。歌人の方が自分の歌集を朗読する会に参加することがあるんですが、いいんですよね、すごく。「こんな声で詠むんだ」「こういう区切り方をするんだ」とか、新しい発見があります。短歌は“声に出して詠む”“目で読む”とでは結構違うので、もっと色々な方に短歌を聴いていただきたいです。

*『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』をAudibleでご視聴になる方はこちらから

【配信情報】
『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』
著者:坂口涼太郎
ナレーター:坂口涼太郎
配信日:2026/02/06
言語:日本語
形式:完全版 オーディオブック
再生時間:7時間32分
制作:Audible Studios

Audibleの会員プランに初めて登録する場合、30日間無料でお試しいただけます。
※別途異なるキャンペーンが開催されている場合もございます。詳細はサイトをご確認ください。

【書誌情報】
『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』
著者:坂口涼太郎
発行所:株式会社講談社
価格:定価:1,870円(本体1,700円)

【坂口涼太郎(さかぐち・りょうたろう)Profile】
1990年8月15日生まれ。兵庫県出身。特技はダンス、ピアノ弾き語り、英語、短歌。連続テレビ小説『おちょやん』『らんまん』(NHK)、映画『ちはやふる』シリーズ、ドラマ『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)、海外ドラマ『サニー』(Apple TV+)など話題作に多数出演。2026年度前期 朝の連続テレビ小説『風、薫る』への出演を控える。ほか、『あさイチ』(NHK)では唯一無二のキャラクターで暴れ回り、独創的なファッションやメイクも話題を呼ぶ。

ヘアメイク:小園ゆかり / YUKARI KOZONO
スタイリスト:takashi sekiya
衣装協力 : ablankpage.
取材・文・写真:entax編集部


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