【舞台リポート】ミュージカル『スキップとローファー』開幕!清水美依紗×吉高志音が魅せる「優しい青春」

2026.3.11 13:00

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清水美依紗と吉高志音の写真

高松美咲による大ヒット漫画を原作としたミュージカル『スキップとローファー』が、3月6日、東京・シアターHにて開幕した。数々の作品で活躍し、これが満を持しての初主演となる清水美依紗と吉高志音が2人でセンターを担う。脚本・作詞を高橋亜子、演出・振付をTETSUHARU、音楽を兼松衆が手がけるオリジナルミュージカルだ。

物語は、官僚になるという明確な人生設計を胸に石川県の小さな町から上京し、都内の進学校に首席入学した岩倉美津未(清水美依紗)の入学式から始まる。彼女が出会うのは、人気者だがどこか影のある志摩聡介(吉高志音)をはじめとする個性豊かなクラスメイトたち。
舞台で描かれるのはそのほとんどが「どこにでもある高校生活」だ。入学式、友人とのカラオケ、お泊り会に文化祭。大事件は起こらないからこそそこにある感情の揺らぎはリアルで、観客一人ひとりが自分の物語として「誰か」に共感しながらストーリーを追うことができる。

美津未を演じる清水美依紗は、芯のある圧倒的な歌声で不器用ながらも真っすぐに突き進む美津未の純粋さを体現。入学式でのドタバタ劇から始まり、友人たちとの交流を経て少しずつ世界を広げていく姿は、時に情熱が空回りするシーンにすらも強さと可愛らしさがにじむ。

清水美依紗の写真

一方、志摩聡介を演じる吉高志音は、柔らかな歌声と繊細な表情の変化で、笑顔の裏に隠された孤独を演じきった。“学年屈指のイケメン”として甘酸っぱい王道のキュンキュンシーンを魅せるだけでなく、影のある過去と向き合い成長していく姿に役者としての奥行きが見え、観客の目を惹きつける。

吉高志音の写真

脇を固めるキャスト陣の好演も見逃せない。コンプレックスを抱えながら自分磨きにストイックで、美津未に対して複雑な感情を抱く江頭ミカ(林鼓子)や誰もがうらやむ美貌を持ちながらも「本当の自分」を見てもらえない孤独を抱える村重結月(田中梨瑚)、人見知りで考えすぎてしまう久留米誠(小多桜子)など、誰もが愛すべき人間臭さを持っている。タイプの違う女子たちが、時に不器用に距離を縮め友情を紡いでいく過程は、本作で最も体温を感じるラインのひとつだ。

さらに、美津未を東京で温かく見守るナオ(佐々木崇)の存在感が光る。本作に登場する数少ない「大人」であるナオがかける言葉は『あなたはあなたでいい』と語りかけるように、物語の要所で静かに効いている。

クラスメイトとして舞台を盛り上げる迎井司(神永圭佑)、山田健斗(今牧輝琉)の芝居がリアルな高校生活の空気感を醸し出し、演劇部に情熱を注ぐ兼近鳴海(横山賀三)や、生徒会でキビキビと立ち回る高嶺十貴子(原田千弘)、美津未の幼馴染・遠山文乃(阿部凜)、志摩の友人・福永玖里寿(福島海太)といった面々も群像劇の解像度を上げ、舞台を鮮やかに彩っている。

吉高志音らの写真

バラエティ豊かで清涼感あふれる楽曲、繊細な感情のひだを歌詞やセリフに紡いだ脚本・作詞、躍動感にあふれ流れるようなステージングが魅力的な演出・振付などクリエイティブの完成度も高い。

「スキミュ」は青春のまぶしさだけでなく、その裏側にある「揺らぎ」を逃げずに描く。自分の居場所を作れるだろうかという不安、恵まれた相手を素直に受け入れられないもやもや、自分を肯定したいのにできないもどかしさ——誰もが覚えのある、チクチクとした痛み。けれど見終えた後に残るのは痛みを包み込む温かさと瑞々(みずみず)しいエネルギーだ。青春の真ん中にいる学生はもちろん、かつて10代だった大人たちの足取りも「みつみちゃん」と「志摩くん」が少しだけ軽くしてくれるはず。

東京公演は3月15日(日)までシアターHにて、大阪公演は3月20日(金・祝)から22日(日)まで梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。
公式HP

©高松美咲・講談社/ミュージカル『スキップとローファー』製作委員会
取材・文:entax編集部

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