視覚障害者は靴紐を結べる?東京・パリ2大会連続で銀!パラ陸上・唐澤選手が明かす理解されない障害者のこと「皆さんが思っている以上に…」
◆神戸・世界パラ陸上で「運命的なものを感じました」
また、2024年5月に神戸で行われた世界パラ陸上でうれしいことがあったと唐澤選手は話す。「銅メダルを獲得して、帰りのホテルに向かう途中に、神戸の特別支援学校の児童さんと先生がいて、メダルを見せると、とても喜んでくれて。“一緒に頑張ろうね”と声をかけたんですけど、大会が終わって2週間後に、会社宛てに点字の手紙が届いて。“唐澤選手の走りを見て、私も陸上を始めたいと思っています”って手紙をいただきました。自分がリオパラリンピックを観て競技を始めた理由と一緒だったので、運命的なものを感じました。」と温かいエピソードを明かした。

そして、「パラスポーツを見たり、体験したり。まずはそこがきっかけになればいいのかなと思います。私自身もこれから、講演会や体験会を通じて、たくさんの方にパラスポーツの魅力・楽しさを発信できればいいかなと思います」と話した。
また、ガイドランナーとしてSUBARUにアスリート雇用されているという堀越選手は、「日本国内を見てもあまり前例がなく、SUBARUとしても思い切った決断だったと思う」と話す。「僕のような専属で支える人、パラスポーツは支える人がいないと成り立たないと思うので、簡単な話ではないかもしれないが、専属のガイドランナーとして会社に雇ってもらう選手が増えていけばいいなと思います。」と話した。

◆視覚障害者は、靴紐を縛ることが出来る?出来ない?
オフシーズンには子どもたちへの体験会や講演会を行っているという唐澤選手。多くの自治体や小中学校から依頼が来ると話す。「東京パラリンピックの認知度が広がっていることは感じています。ですが、パラスポーツのことは知っていても、障害への理解は得られていないのかなと思います。」と語る。
「私は視覚障害で見えないんですけど、目が見えなくても出来るか出来ないかを問いかけていて。例えば、(目が見えなくても)靴紐を縛ることはできるでしょうか?身体を洗うことはできるでしょうか?洗濯物を干すことはできるでしょうか?と聞くと、半分の人は出来ないんじゃないかと答えるんですね。そんなこともなくて。皆さんが思っている以上に、障害を持っている方は出来ることが多くあります。」と話し、続けて「なので、まず障害への理解を皆さんにしていただいたうえで、どう工夫すればできるようになるか、練習すればできるようになるか、といったパラスポーツが大切にしている考え方も、皆さんの人生に活かされると思っています。そうした思いから、みんな一緒に障害者への理解やパラスポーツの発信をしていきたいです。」と語った。
質疑応答の時間には、唐澤選手に「ガイドランナーら支える側がどのような観点でパラスポーツを支えているのか」という質問が。
唐澤選手にはこれまで延べ100人を超えるガイドランナーがいたと言い、「メディアに取り上げられるのは国際大会に出場したガイドランナーのみだが、そうではない方々もたくさんいる。」と話す。「競技を始めた頃は、夏休みとか冬休みに帰ってきた学生や、普段は仕事でできないけど、夜の時間帯ならできるよという方々が中心でした。」と競技を始めた当初のガイドランナーの存在を明かした。
「みんながみんな(走るスピードが)速いわけではなくて。ゆっくりだけど走らないよりはいいよねと声をかけてくれる方もたくさんいました。中には50代、60代、70代の方もいたと思います。そういった方々のサポートもあってパラリンピックに臨むことができたと思います。一人欠けても、パラリンピックの結果はなかったのかなと思います。」と当時を振り返った。
最後に、「もしガイドランナーに興味を持っていただいたのであれば、速くなくてもいい。視覚障害者が走ること自体、自力では難しいことなので、ゆっくりでも支えてもらえると嬉しいです。」と伝え、「東京パラリンピック以降、株式会社SUBARUでコーチや堀越ガイドが付いてくれているという恵まれた環境をいただいているが、他にもたくさん困っている方がいると思う。ぜひ声掛けをしていただけると助かります。」と伝えた。

『湯けむりフォーラム2025』パラスポーツ分科会
2025年12月14日(日)に開催

