声優・水瀬いのり、祝・誕生日&アーティスト活動10周年「ここがゴールではありません」笑顔と涙で溢れた“夢のつづき”【Inori Minase 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR Travel Record】

2025.12.2 00:00
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ここで、嵐を越えて暁や月夜の中を風船が横切る幕間映像を挿み、ステージ前面に紗幕が降りると、ピアノのしとやかな調べに導かれて、紗幕の向こう側に黄色いドレス衣装に着替えた水瀬が浮かび上がる。まるで深海にいるかのような演出のなか歌われたのは「BLUE COMPASS」。楽曲の後半で紗幕が落ちると視界が一気に広がり、彼女は流れ星やコンパスの映像を背にしながら“どこまでもいっしょに”という願いを、会場のひとりひとりに想いを届けるように歌う。

続いて、センターステージで歌われた5周年記念シングルの表題曲「Starlight Museum」では、途中で涙ぐんで声を詰まらす場面も。すかさず町民たちが歌い継ぐ絆の強さを含め、本公演でもとりわけエモーショナルで感動を誘う一幕だった。ちなみに「BLUE COMPASS」の紗幕演出は、2020年12月に横浜アリーナで行われた無観客オンラインライブ「Inori Minase 5th ANNIVERSARY LIVE Starry Wishes」を踏襲したもの。ようやくファンの前で直接届けることができて感無量の様子だった。

水瀬いのりの写真

MCでも引き続き涙が止まらず、「次に歌う曲ももれなく泣いちゃうかもね」と告げた彼女が次に歌ったのは、ファンとの絆をテーマにした2ndシングル表題曲「harmony ribbon」。終盤、水瀬が「みんなの声を聴かせて!」と呼びかけると、アリーナ中がひとつになって「ラララ~♪」と歌う景色は壮観だ。

そして「私たちだけのこの10年を、この曲に込めて咲かせたいと思います」と語ると、夢への純粋な想いを込めた心洗われるミディアムバラード「Innocent flower」を心からうれしそうな表情と共に届け、かつての“夢のつぼみ”を大きく咲かせてライブ本編を締め括った。

水瀬いのりの写真

盛大な“いのりんコール”を受けてのアンコール。いのりバンドが演奏とクラップで盛り上げるなか、過去のライブ前の円陣の様子を全公演分繋いだ千秋楽だけの特別映像が流れ、水瀬は自身が考案したキャラクター“くらりちゃん”のトロッコに乗って登場。2ndハーフアルバムの表題曲でもある新曲「Turquoise」を歌いながらアリーナを周遊する。間近に水瀬が表れて色めき立つファンにたっぷりレスを返す交流も欠かさない。

そして、アリーナを半分ほど回ったところで「Million Futures」を皮切りに自身初となるメドレーへと移行。引き続きトロッコに乗りながら「HELLO HORIZON」、メインステージに戻って「フラーグム」「glow」を連続で届ける。できる限りたくさんの楽曲と共に10周年ツアーを回りたい、という彼女自身の発案で実現したものだという。

水瀬いのりの写真

その後、この10年の感謝の気持ちを改めて伝えつつ、「ここがゴールではありませんからね」と、未来の予定の新情報を告知。前日の公演で発表されたFCイベント「いのりまち町民集会2026」の開催決定に加えて、本公演の映像のオンライン配信が12月24日より行われることが決定。さらに水瀬の誕生日でありアーティストデビュー日である12月2日に「水瀬いのり10周年記念スタジオライブ」がYouTubeでプレミア公開されることが発表となった。詳細はオフィシャルサイトにて。

そして、彼女は「デビュー曲の「夢のつぼみ」を感じていただきながら、でも、今だからかける言葉をたくさん込めました」「自信をもってみんなに言える言葉を書きました。ぜひそんな気持ちを受け取ってほしいです!」と伝えると、自身が作詞した『Turquoise』収録の新曲「夢のつづき」をラストナンバーとして披露。バンドメンバー一人ずつの下に近づいて触れあいながら、楽しそうに幸せの歌を届ける。最初はひとつきりだった青い風船に、やがてたくさんの風船が寄り添って青空高く飛んでいく映像演出がクライマックスを盛り上げるなか、最後は銀テープが発射されて華やかにライブの幕は閉じた。

水瀬いのりの写真

だが、この日は特別な千秋楽、会場からの「もう一回!」コールに応えてダブルアンコールが実現。水瀬が「もう1曲、みんなと一緒にひとつになりたいと思います」と語り、マイクスタンドを持ち出すと、次曲を察知した客席からどよめきと歓喜の声が上がる。「この言葉が、未来でこんなに私たちの希望になってくれるなんて、本当に幸せです。みんなで一緒に神話を作りましょう!」と勇ましく告げて彼女が歌ったのは「僕らは今」。中止になった2020年のツアーの横浜アリーナ公演で、みんなと一緒に歌う予定だった楽曲だ。

その後、彼女はオンラインライブを含めて4度、横浜アリーナでライブを行ってきたが、有観客かつ声出しOKの環境でこの曲を披露するのはこの日が初めてとなる。冒頭の一節を歌い終えた後、水瀬は再び涙ぐむが気丈に持ち直し、拳を掲げて力強く、勇気と連帯の歌を届ける。2番ではハンドマイクを握ってセンターステージへ。アリーナ中からの大合唱の声を全身で受け止め、その歌で思いを繋ぎラリーしていく。

最後は「これからも幸せな時間を重ねていきましょう、約束!」「10年の思いを込めて飛びましょう!」と呼びかけ、会場が一体となったジャンプでアニバーサリーライブは締め括られた。

横浜アリーナで「僕らは今」をみんなと一緒に歌う、5年越しの夢を叶えた水瀬いのり。だが、彼女が公演中に何度も語っていた通り、このライブはゴールではなく、彼女の夢はこの先もずっとファンと一緒に歩んでいくことだ。「僕らは今」の歌詞にも“未来まで語り継がれる神話を作るよ”とある通り、これまでの10年だけでなく“今”と“未来”を見据えて活動する彼女が、12月2日から始まる10周年イヤーで、どんな“夢のつづき”を見せてくれるのか──。

水瀬いのりの写真

水瀬いのりオフィシャルサイト
【HP】
【YouTube】
【X(@inoriminase)】

Photo by 加藤アラタ(Kato Arata) / 三浦一喜(Miura Kazuki)

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