NHK夜ドラ『いつか、無重力の宙で』森田望智×上坂樹里インタビュー お互いの印象や役作りで難しかったところを明かす

NHK夜ドラ『いつか、無重力の宙(そら)で』で日比野ひかり役を務める森田望智とひかりの高校生時代を演じる上坂樹里にインタビューを行い、お互いの印象や役作りで難しかったところを伺った。
Q1 大人になったひかりと、高校生時代のひかりを演じるおふたり。お互いの印象は?
森田望智(以下、森田):初めて高校時代の撮影シーンを見せてもらったときに、(上坂)樹里ちゃんを見て「私が演じるひかりと同じだ!」と思いました。どうやって作ったんですか?
上坂樹里(以下、上坂):うれしいです。最大の褒め言葉です。私は最初、同じ人物を2人で演じることにとても難しさを感じていたのですが、本読みのときに森田さんが「樹里ちゃんが作るひかりに似せてやってみる」と言ってくださいました。その後、森田さんの本読みを拝見したら、私も「私が演じたひかりすぎる!」と思いました。
森田:ひかりはみんなにとって”光”というイメージです。樹里ちゃんは根っこの部分にそういうものを持っているので、そっちに合わせたほうがいいのかなと思いました。樹里ちゃんと私とスタッフさんで、「台本から受ける印象に、もう少し快活さを加えてもいいよね」という話になり、みんなでひかりのイメージを共有できたのがよかったです。私自身“太陽のオーラ”・“オレンジ”というイメージをひかりに対して持っていたので、そうした言葉もプロデューサーや監督、上坂さんに伝えていました。


Q2 高校生時代のひかりと大人になったひかり。現在と高校時代が重なり合うような構成について。
森田:大人になった天文部の4人が「あのとき……」と高校時代をふり返ることが多いため、高校生のシーンをよく見せてもらうのですが、樹里ちゃんをはじめとする4人が本当にかわいくてキラキラしていて。大人キャスト4人(ひかり役の森田望智、飛鳥役の木竜麻生、周役の片山友希、晴子役の伊藤万理華)の間に「これ、本当に私たち……?」という空気が流れるぐらいです(笑)
台本に書かれている高校生ならではの内から出るエネルギーや、魂の若さみたいなものを樹里ちゃんたち4人が見事に表現していて、私たち大人キャストはそこからパワーをもらいながら撮影に臨んでいました。
上坂:高校生のシーンではとにかく夢に向かって突き進むキラキラ感、エネルギー、明るさを大事にと監督ともお話して、(高校生キャストの)4人全員でそこを意識して演じました。大人になった4人が現実と向き合いながら、壁にぶつかりながらも昔の夢を再燃させるという物語なので、視聴者の皆さんにも4人の原点を思い出していただけるように頑張りました。

Q3 高校生の時、病気になり天文部3人の前から姿を消し、大人になった今、また病気になってしまったひかり。そんなひかりにとって天文部の3人の存在はどんな存在か。
森田:ひかりはいつでも天文部の3人に笑っていてほしいと願っています。みんなを笑顔にしたいし、沈んだ気持ちにさせたくないし、誰にも傷ついてほしくない。だから高校生のときにがんを告知されて、みんなの前から姿を消しました。でもそのことで、もっと3人を傷つけてしまったと知り、今度は覚悟を持って自分の言葉で二次がんになったことをみんなに打ち明けます。
第6週は、天文部の4人がお互いにかけがえのない存在であることを、より深く実感する物語になっています。4人の絆は何も特別なものではなくて、高校生のときから自然と積み重ねてきた時間のたまものであり、それがこの物語の“強さ”でもあります。
上坂:ひかりは3人のことが本当に大好きで、天文部のシーンではそんなひかりの思いが顔に出ていたらいいなと思って演じていました。高校生のひかりががんになったシーンを撮ったときは本当に心がズーンとなりました。高校生のひかりが姿を消したあとの3人のシーンについて「現場がとても暗かった」とスタッフさんがおっしゃるのを聞いて、とても悲しい気持ちになりました。それだけ天文部は4人でひとつだったんだなと思いました。


Q4 ひかりの役作りで難しかったのは、どんなところか。
森田:難しいシーンも多いのですが、台本を読んで「ああしよう、こうしよう」と細かく考えすぎないようにしました。自分の中で完結させず、4人で積み上げてきたものを大事にすることで、ひたすらひかりを生きようと。だから一度考えたものを全部捨てて、撮影現場に立った瞬間に何を感じるかを出すようにしました。そうすることで、4人でお芝居を合わせたとき、自分では想像もしない着地点にいくことが多くて、それがすごく楽しみでした。
上坂:実は、私自身はひかりとは正反対のタイプで、“みんなの太陽”という役を演じることも初めてでした。なので、最初のころは役作りにすごく苦戦しました。私は宇宙のことに関して知識が深くなくて「どうやったら宇宙に向けるひかりのキラキラした感情を出せるのか」、「自分のエネルギーが圧倒的に足りない」と悩んでいて。
そんなときに森田さんとお話しさせていただいて、「樹里ちゃんの好きなものは何?」と聞いてくださいました。「私は本が好きです」と答えたら、「宇宙と本を置き換えてやってみるといいよ」と教えていただきました。そこで私はひとつ、つかめたというか、とても救われて。森田さんからいただいたアドバイスが、ものすごく大きな一歩でした。
森田:ありがとう。私自身、自分とまったく違うタイプの人物を演じるときは苦戦するので、自分の経験をお話しました。

【日比野ひかり 役柄】
いつも明るく前向きで‟太陽”みたいな人。自分の“好き”を探求し、周りの空気や世間の常識に惑わされず、我が道を突き進むパワフルさがある。それ故に変わり者と言われることもあるが、本人は全く気にしていない。高校時代は飛鳥と一緒に天文部を立ち上げ宇宙飛行士になりたいという夢をひたすらに追いかけ続けた。あることがきっかけで宇宙飛行士への夢を断念したひかりは、かつての友に会いたいと、13 年ぶりに飛鳥の前に現れる。
【番組概要】
高校時代、「一緒に宇宙に行こう」と夢を語り合った天文部の女子4人組。
大人になってそれぞれの道を歩む中、ふと忘れていたかつての〈夢〉と再会した。
「超小型人工衛星だったら…今の私たちでも宇宙を目指せるかもしれない…!」
あの頃の自分に背中を押されて、いま2度目の青春が始まる――。
これは、ごくごく普通の30代女性たちが、いつの間にかそっと手放した〈夢〉を、仲間と共に拾い直す物語。かつて抱いた夢がある、全ての人々に贈ります。
NHK夜ドラ『いつか、無重力の宙で』は9月8日(月)~10月30日(木)、毎週月~木(総合)よる10時45分放送。
※各話15分 全32回/8週