武田真一 ディレクター志望から一転アナウンサーへ「マイクの前には自分しかいない」NHKでの33年を振り返る
2025.9.8 11:00
「本当に多くの方が犠牲になるとか、悲しい思いを抱く、そんなことばかり毎日伝えているということが、すごく辛くなったんです。しかもそれを自分の活躍の場だと思ってやらなきゃいけないということに、すごく心が傷ついた。ある時、朝から本当に大きな事故があったんですけど、その時に初めてもう会社に行きたくないと思ったんですね。これを伝えるのは嫌だと思いました」と当時抱えていた葛藤を振り返った。
仕事と割り切っていても、心は傷つき、徐々にすり減っていく。それでもニュースの顔で居続けられたのは、自分がどんなに辛くても、情報を社会に届けなくてはならない、強い思いがあったからだった。武田は「本当に使命感というか、今そのマイクの前に座っている人間は1人しかいないと、そこにいる以上は逃げることはできないんだっていう思いでやってきました」と語った。
そうして報道の第一線で活躍すること33年。2年前の2023年、武田はNHKを退局する決断をした。「こんなすごく天気がいい日でよく覚えてるんですけど、この青空をぱっと見た時にですね、この青空が大海原のように感じたんですよ」と、今回の旅で訪れた、イタリア・ピアツェンツァという街でつぶやく。

ブドウ畑の上に広がる、どこまでも広がる青空。武田はそんな景色を前に、「もちろんどこに行くかは分からないんですけど、目的地が見えないということの方が、実はワクワクするし、楽しいことなんだなって分かったんですね。だから、この大海原に乗り出そうと思いました」と、今度は楽しそうにほほ笑んだ。確固たる地位を手放し、新たな進路へ舵(かじ)を切った武田。自分にも分からない航海の行方を楽しみながら進み続ける。
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写真提供:(C)日テレ
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