栗原ゆう、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパルに昇進 日本公演で異例の発表

2025.6.24 13:30
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「プリンシパルを目指しているのか?」——4月にentaxが行ったインタビューでそう問いかけたとき、栗原ゆうは少し照れたように、しかし落ち着いた口調でこう答えた。主役をやりたいという気持ちは、もともと強くあったわけではないという。「だからあまりプレッシャーも感じていないんです。やれることをやって、いけるところまで行けたらいいかなって。運がいい、ラッキーなことが多いので、謙虚にやっていきたいです」。肩肘を張らないその姿勢は、かえって彼女のしなやかな強さと柔軟さを印象づけた。

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英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 新プリンシパル 栗原ゆう
写真:Kiyonori Hasegawa

そんな栗原が6月21日、東京文化会館で上演された英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(以下BRB)による『眠れる森の美女』の終演後、芸術監督カルロス・アコスタのアナウンスによりプリンシパル(最高位ダンサー)に任命された。海外のバレエ団に所属する日本人ダンサーが、日本公演の終演後、観客の前で昇進を告げられるのは史上初のことである。

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栗原は2018年にBRBに入団。『ドン・キホーテ』『ロミオとジュリエット』『くるみ割り人形』など主要作品で次々と主演を務め、2022年にはファースト・ソリストに昇進。入団からわずか7年、26歳という若さで頂点に上りつめた。今回の昇進により、栗原は吉田都や佐久間奈緒に続く日本人プリンシパルとして名を連ねることになる。現在は平田桃子、水谷実喜も在籍しており、その系譜に新たな輝きが加わった。

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昇進発表後の囲み取材では、「日本で舞台に立ち(皆様に)恩返しできる特別な機会になりました。昇進を決めてくださった方々に感謝の思いがあります。新しいスタート地点にたった気分です。これからは自分のことだけでなく、カンパニーを率いていくというちょっとした責任感も持っていかなくてはと感じています。これまでと変わらずに一回一回の舞台を大切に、自分自身が楽しいと思える舞台を作っていきたいです」と語り、決意をにじませた。

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BRBの2025年日本公演は、東京文化会館での『眠れる森の美女』に続き、6月27日から29日に『シンデレラ』を上演。さらに、7月2日には堺、7月5日には名古屋で『眠れる森の美女』の公演も予定されている。

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新プリンシパル・栗原ゆうが、次にどんな舞台を届けてくれるのか。その一歩一歩が、ますます目を離せない。

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(取材・文 : 和田弘江)

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