元素の作られ方を研究する偉~い先生はカラオケ大好きな超おちゃめな人だった!
2025.6.23 07:15櫻井先生の案内で施設の地下へとやってきたスタッフ。そこにあったのは最新にして世界最強の『超伝導リングサイクロトロン』で「これを見ないとここに来たとは言えない!」と櫻井先生もドンと胸を張る。かなりの大きさで、重さにすると約8000t。東京タワー2個分の重さがあるという。紫色と黄緑色を基調としたカラーリングはアニメ『エヴァンゲリオン』に登場する初号機を思い浮かべてしまうが、この色遣いはたまたまなのだとか。ただ櫻井先生は「エヴァファンにはちょっと売り込みたいですね」と笑って話してくれた。この加速器では電子を帯びた状態の原子である“イオン”を光の速さの70%という超高速で動かし、的となる別の原子にぶつけることによって別の元素を作り出しているのだという。実は既存の元素だけでなく、全く新しい元素を生み出すこともあり、理研でもこの加速器を使って『ニホニウム』という新元素を作り出していた。ニホニウムが生み出されるまでには約10年の歳月がかかったそうで、アジアでは初めて、世界でも4年ぶりに発見された新元素として大きな話題となる偉業であった。理研がある和光市もこの大偉業を記念し、和光市駅から理研本部までの道に1番の水素から113番のニホニウムまで、順に原子を紹介するプレートを埋め込み、『ニホニウム通り』と命名したほどだ。ちなみにニホニウム自体は実用性のメドはたっていないものの、世界で人工的に生み出された新元素の中には医療の分野ですでに欠かせなくなっているものもあるそうで、十分意義のあることなのだ。
お昼休み、ランチをとるべく敷地内にある食堂へと向かう櫻井先生。すると櫻井先生を見つけ「サクちゃーん!」と呼ぶ女性職員たちが。すぐさま「オーイェーイ!」と返す櫻井先生。声をかけてきたこの方々は理研で働く事務職員で、櫻井先生ともかなり仲良しのよう。先生の人となりを聞いてみたところ「サクちゃんと言えば代名詞はお酒、カラオケ!」と即答。よく飲みに行き、歌声を響かせているのだろう。さらに注文したうどんを持ってテラス席へと移動すると、そこでも別の職員から「サクちゃん、髪切ったの?」と話しかけられていた。どうやら理研の中でも櫻井先生は有名人で、かなりの人気者のようだ。
東京大学で元素の研究を始めた櫻井先生が「100%研究に集中できるから」という理由で理研に入ったのは今から30年前の1995年。入所して間もなく、今ほど加速器の性能が良くなかったこの時代に、元素に含まれる陽子の数は同じでも中性子の数が異なる“同位元素”を7つも発見するという偉業を成し遂げていた。そんな櫻井先生も現在は研究の第一線からは離れ、監督的な立場で若い研究者たちの指揮を執っているのだという。一緒に働く研究者たちは櫻井先生について「とにかくよく笑う先生ですね。データを見て楽しそうに研究なさっている姿が非常に刺激的な先生です」と評していた。別の研究者の方は「サクちゃんはよっぽど(歌手の)坂本九が好き」「会議があるたびに最後締めで歌っている」と話してくれた。櫻井先生自身の補足によると、国際的な会議の後に開かれる懇親会で締めのコメントを要求された時、コメントよりも歌、ということで世界的にも有名な『上を向いて歩こう』を歌っているのだという。
その夜、せっかくなので先生の歌声を聴かせてもらおうということで、行きつけのカラオケバーにご一緒させてもらい、お得意の『上を向いて歩こう』を披露してもらうことに。店内を歩きながら終始ノリノリで歌う姿に店内も大盛り上がり。女性の店員さんに「サクちゃん、ハウス!」と言われ、笑顔で「ワン!」と返す、どこまでもおちゃめな櫻井先生。研究者としての人生は「(研究が)面白いと思えばずっと続くと思う。終わりはないですね」と語ってくれたが「途中でカラオケの研究になるかも?」と、最後まで笑顔で答えてくれた。
スタジオゲストのお笑い芸人・陣内智則は「研究施設って頭の堅い方が多いというイメージやったけど、楽しそうやからこれで研究者になりたいっていう方が増えるかもしれないですよね、サクちゃん見たら」と、研究者のイメージを覆してくれた櫻井先生に感心していた。
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