剣が舞い、魂が踊る――新垣隆の音楽と剣術で進化した『海賊』が新国立劇場に登場
2025.6.5 18:30
2025年6月7日(土)・8日(日)、NBAバレエ団が新国立劇場中劇場で上演するのは、バレエ×アクション×音楽が融合した新たな『海賊』。2018年に初演された久保綋一版『海賊』が、さらなる進化を遂げて帰ってくる。
本作は、ジョージ・バイロンの物語詩『The Corsair(コルセア)』を原作に、ドラマ性、冒険心、そして人間の葛藤を舞台上に立体的に描き出す。既存の『海賊』と一線を画すのは、新たに書き下ろされた音楽と、リアルな剣術アクションの導入、そして人物の心理に迫る緻密な演出である。音楽を手掛けるのは、日本を代表する作曲家・新垣隆。彼が本作のために書き下ろした新曲群は、従来のクラシックの枠を超え、バレエの動きと緊密に連動する劇伴として、観る者の感情に鋭く訴えかける。新垣の音楽は、ただの背景ではなく「もうひとつの主役」として機能し、バレエが持つ叙情性とドラマ性をさらに引き立てる。

また、剣が舞う戦いの美学も本作の大きな魅力だ。ファイトディレクター・新美智士が創り上げた剣術は、バレエの優雅さと融合し、映画のような臨場感を劇場にもたらす。ダンサーたちは基礎から剣術を学び、流れるような剣さばきとリアルな動きで観客を魅了する。バレエでありながら、まるで本格アクションを目の当たりにしているような体験が待っている。振付を担うのは、元NBAバレエ団ダンサーであり、現在は国内外で活躍する宝満直也。クラシックの伝統を大切にしながらも、現代的な感性を取り入れた演出で、キャラクターの心情や物語の背景を鮮やかに描き出す。特に主人公コンラッドの内面に焦点を当てた心理描写は、原作詩が持つ複雑なドラマ性を深く掘り下げている。

恋愛だけでは終わらない。自由を求める魂、仲間との絆、男たちの誇りが交錯する、壮大な叙事詩としての『海賊』がここにある。踊り、音楽、アクションが一体となって紡がれるこの作品は、バレエファンはもちろん、舞台芸術に初めて触れる観客にも強烈なインパクトを与えるだろう。新たな芸術表現の地平を切り拓くこの『海賊』。その進化の瞬間を、劇場で体感してほしい。

【公演日時】
2025年6月7日(土)開演14:00(開場13:30)/開演18:00(開場17:30)
2025年6月8日(日)開演16:00(開場15:30)
【会場】
新国立劇場中劇場(最寄り駅:京王新線(都営新宿線乗入)「初台駅」中央口直結)
住所:〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1 TEL: 03-5351-3011(代表)
【料金】(全て税込)
S席9,900円 、車いすS席5,000円、障がい者S席7,900円、学生席2,000円(25歳以下)
協賛:チャコット株式会社/所沢パークホテル
後援:一般社団法人日本バレエ連盟/渋谷区教育委員会
公式サイト【海賊】