声優・日笠陽子&戸松遥「監督の脳内どうなってるの(笑)」尊敬と恐れが同居する『劇場版モノノ怪』の不思議な魅力とは?

大奥を舞台に新たな物語が紡がれる『劇場版モノノ怪』三部作の第二章・火鼠(ひねずみ)が、いよいよ3月14日(金)より全国で公開。entaxでは、今作のキーパーソンである“2人の女中”を演じる日笠陽子&戸松遥にインタビュー。「一度見たら抜け出せない」という畏怖(いふ)にも似た作品の魅力や、“変化”を感じられるキャラクターの感情など、見どころをたっぷりと教えてくれた。
(※ストーリーの重要なネタバレは含みません)

『モノノ怪』は、2006年に放送されたTVアニメ『怪~ayakashi~』の一編『化猫』から派生したシリーズ作品。和紙のテクスチャを活用した絵巻物のような世界観や映像美、“退魔の剣”を携える主人公・薬売り(CV.神谷浩史)のミステリアスさ、キャラクターたちの感情が複雑に絡み合うストーリーなどが人気。

2024年には初の映画作品にして三部作の第一章『劇場版モノノ怪 唐傘』が公開。ロングラン上映を記録したほか、第28回ファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞(今敏賞)と長編アニメーション部門観客賞銅賞を受賞した。

3月14日(金)公開の『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』では、世を統べる天子(CV.入野自由)のお世継ぎを巡り、大奥内でうごめき出す家柄同士の謀略と衝突に焦点が当てられ──日笠は町人出身の女中・時田フキを、戸松は気位の高い、老中大友の娘・大友ボタンを演じている。

日笠演じるフキ
戸松演じるボタン

◆“尊敬”と“恐れ”が一気に…!ギャップから生まれる魅力

──15年以上も根強く愛されている『モノノ怪』。お二人は、どんなところが魅力的だと感じますか?

日笠 以前から作品の独特な色使いやビジュアルに“一度見たら抜け出せない雰囲気”──畏怖(いふ)のようなものを感じていたのですが、今回制作の中に入ってみて「その感覚は間違ってなかった!」という印象です。命題と主題──その周りにいろいろな描きたいものがあって、混ざり合っている。どれが“中心”なのか少しずつ見えにくくなって…なんだか隠されているような感じなんです。

日笠 とにかく「監督の脳内ってどうなっているのだろう??」みたいな(笑) 人間がこれを描けるんだっていう創作への尊敬もあり、恐れもある──とてつもないパワーと引力を持った作品だなと思います。

戸松 分かる!視界に入る色使いはすごく綺麗なんですけど、実際に作品の内容などに触れてからは人間の本性だったり、魂胆みたいな…ちょっとダークな部分が見えて、そことのギャップがすごく面白い作品だなと私も思いました。

戸松 それに、キャラクター達がそれぞれ本当に掘り下げきれないくらい色々な物語を持っているんですよ。そういった部分も含めて、何度見ても飽きさせない内容が皆さんを虜(とりこ)にしているんだなと。

美しい色合いで描かれながらも、ふと寒気を感じるようなシーンが随所に見られる

◆第二章は、対立の陰に隠れた“変化”に注目

──お二人が演じるフキとボタンは、それぞれどんなキャラクター?

戸松 ボタンは、この世界の中では結構珍しい“正論を貫く人”です。大奥の世界にいる女の人達は腹黒さやしたたかさみたいなものを持っていて、1人の男性を奪い合うようなバトルもあって…。ボタンも立場的にはその中の1人なんですけど、客観的に自分を見ていたり、大奥全体が良くなるためにどう立ち回ればいいのかを考えているんですよね。

戸松 そんな裏表のない真っすぐさが彼女の魅力だと思うんですが、逆にそれが結構“人間っぽいタイプ”のフキと対立するきっかけになって、バチバチしちゃうっていう…(笑)

──“バチバチ”なんですか?(笑)

日笠 誤解を恐れずに言うと、フキがボタンとやり合うシーン── “ブチギレるところ”がね(笑)すごく印象に残っています!

戸松 だからこそ逆に私は、フキとのバトルシーンでは感情的になり過ぎないことを意識していました。フキがボタンとは本当に逆の“人間味が強いタイプ”な分、ボタンは結構正論でビシッと言う──そんな二人の対立が面白かったです!

日笠 フキは天子様に見初められ、寵愛(ちょうあい)を一身に受けているのですが、大奥という女たちの戦いの中──“生まれてくる子どもが武器になる”という世界線の中でずっと揺れているんですよね。

日笠 実際に子を宿した時に、その子を自分の本当の子どもだと思うのか、それとも武器だと思うのか…。ボタンたちと言い争いをする中で徐々にその答えに気づいていく──。演じるときにも、“男というものを奪い合う女”から“母”になっていく部分を意識しました。彼女の変化をぜひ見てもらいたいと思います!

大奥の渦中には度々、天子様の“お世継ぎ問題”が…

──フキたちは第一章から登場していますが、今作の役作りで意識したことや変化したことはありますか?

日笠 一章の時、フキは“情報”が少なかったというのもあって、キャラクター作りをすり合わせるのが結構難しかったんです。でも、二章になったら感情がバーっと出てきたし、結構明かされることも多かったので、“今しか生きてないな”みたいな感じが分かって、割とスッと役に入れました。

日笠陽子の写真

日笠 逆に戸松は、一章の時はスッと決まったよね? 一章とは逆に、二章はボタンがストーリーを導いていくポジションにいたのもあって、そこの辻褄(つじつま)を合わせるのとか、ボタンの方がキャラクター作りを熱心に行っていたかも──。

戸松 確かに! ボタンは物語の途中で「御年寄(女中たちを執り仕切る役職)」に昇進するので、責任感というか「私がここを引っ張っていかねば」と意識が変わるところからは、“大友ボタン第二章”みたいな(笑) 特に物語の後半部分はかなり“怒涛”でしたね!

戸松遥の写真

──それは、ボタンにとって何か波乱な展開が待っていると…?

戸松 最初の頃はフキなどがかみ付いてきても「それが何か?」みたいな感じで余裕があるんですけど、段々色々なおじさんたちの魂胆というか…(笑)そういう陰謀──大奥の“汚い裏側”みたいなものが徐々に暴かれてからの、ボタンの“裏切られても落ち込んでいる場合じゃない!さらに1ステップも2ステップも心を強くあらねば”っていう、そのたくましくなるまでの過程がかなり怒涛でしたね。

──ちなみに、戸松さんは2月4日がお誕生日ですよね!おめでとうございます。

戸松 ありがとうございます!『モノノ怪』は私が今年、誕生日を迎えてから初めての“公開される映画”になるので、気持ち的には、『モノノ怪』で35歳が始まる!みたいな(笑) 収録をした時の思い出も沢山ある、想いがかなり詰まった作品ですので、とてもうれしく思いますし、すごくありがたいです。

>>インタビュー Part2はコチラから

日笠陽子と戸松遥の写真

【日笠 陽子(ひかさ ようこ)】
神奈川県出身。2024年9月に声優事務所『株式会社i.nari(いなり)』を設立し、自らも所属。
これまでに『けいおん!』(秋山澪)、『キングダム』(羌瘣)、『SHAMAN KING/SHAMAN KING FLOWERS』麻倉葉・麻倉花役、『呪術廻戦』(庵歌姫)、『戦姫絶唱シンフォギア』(マリア・カデンツァヴナ・イヴ)、『多数欠』(如月麻里亜)などに出演。

【戸松 遥(とまつ はるか)】
愛知県出身。ミュージックレイン所属。
これまでに『ソードアート・オンライン』(アスナ/結城明日奈)、『妖怪ウォッチ』(ケータ/天野景太)、『ハピネスチャージプリキュア!』(氷川いおな/キュアフォーチュン)、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(安城鳴子)、『ホリミヤ』(堀京子)、『響け!ユーフォニアム3』(黒江真由)などに出演。

『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』3月14日(金)公開
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画像:©ツインエンジン
取材&文:entax編集部