若葉竜也「映画館での感動を僕は信じているので」荒木監督と“共犯者”タッグ『ペナルティループ』舞台あいさつ

2024.3.27 16:45

映画『ペナルティループ』が3月22日(金)より新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほかで全国公開。『人数の町』(20)でユニークな世界観を高い完成度で作り上げ注目を集めた荒木伸二監督が、話題作への出演が相次ぐ実力派・若葉竜也とタッグを組んだ本作。このたび本作の公開初日を記念し、主演・若葉竜也と荒木伸二監督による初日舞台あいさつが実施された。

大きな拍手で迎えられ、満席の客席を見渡した若葉と荒木監督。若葉は荒木監督について「前作をみてウエルメイドな映画を作る人という印象があったけれど、(本作の脚本を読んで)二作目がこんなにぶっ壊れていていいのだろうか!?と思った。でも本当は映画をここまでぶっ壊したいんだろうなと。ただ監督としてはウエルメイドだと思って書いたらしいので『どこが!?』と思いました」と異才ぶりに驚愕したようす。

一方、若葉の大ファンでありラブコールを送った荒木監督は、初対面時の若葉について「真っ白で丸っこくて可愛らしい人。顔も白かったし、ウサギちゃんみたいな人が来たなと思った。普段はこんな感じなのかと…」とこちらも驚き。これに当の若葉は「ウサギちゃんみたいな30歳過ぎって普通います?いないでしょ!?」と照れながら否定。そんな若葉への印象も撮影を通して変化したそうで「僕らにもいい意味で圧をかけてくるし、自分自身にも圧をかけるので健康に気を付けてほしいと思った。自らを追い込んでやってくれるので、僕らも本気でやらねばと言う空気を作ってくれる人」と若葉のストイックさに舌を巻いていた。

クランクイン前の脚本作りの打ち合わせから参加した若葉は、「最初は全然違う軸でした。いろいろと話していくうちに、監督の中で“閃き”が降りてきたようで、それからは一気にストーリーができあがっていきました。人物造形、描き方、たくさんの視点や選択肢があることで映画は豊かになっていく。選ぶのは監督なので、僕はアイデアの1つとして提案していました」と当時を振り返った。荒木監督は「役者さんが脚本の開発に参加すると、どうしても自分の見え方を気にされることが多い。ですが全然若葉さんはそんなことはなく、いろんな主張や指摘をしてくださる。とても新鮮で、逆に恐ろしかったです。現場でも僕が助監督に言いにくいなあと思ったことを、若葉さんが先に「こうしましょう」と言ってくれるので若葉さんは“共犯者”です」と絶賛。

そして4月に開催される世界三大ファンタスティック映画祭であるブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭のインターナショナル・コンペティション部門での上映が決定。なお今回の同映画祭のメイン部門で上映される邦画は本作のみとなる。現地に参加する予定の荒木監督は「100作品くらいの中からコンペに選ばれるのは9本しかなくて、そのうちの1本に入ってしかも邦画では唯一なのでドキドキ」と偉業に誇らしげ。一方、若葉は現地参加できずに悔しいのかと思いきや「僕は飛行機があまり好きではないので監督が行ってくれるならばそれで…」とニヤリ。「海外で色々な賞を獲ったら、シネコンでも上映されるようになってお客さんも来ると思う。この映画、初動は入らないと思います。だって変ですよ、この映画(笑)。」と言いつつ、「漢方薬のようにジワジワと一般に広がる。僕もそういう映画の方が好き。今は数か月上映してサブスクに売られるような時代ですが、映画館での感動を僕は信じているので」と熱い思いを明かした。

<ストーリー>
「おはようございます。6月6日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は”希望”です」——岩森淳が朝6時に目覚めると、時計からいつもの声が聞こえてくる。岩森は身支度をして家を出て、最愛の恋人・砂原唯を殺めた溝口登を殺害し、疲労困憊で眠りにつく。翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、溝口もなぜか生きている。そしてまた今日も、岩森は復讐を繰り返していく。

写真提供:© 2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS

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