フリーレン「それでこそ私の弟子だ」 “くだらない魔法”を選んだフェルンにSNSは称賛の嵐「素晴らしい師弟関係」

2024.3.26 18:25

3月22日に放送されたアニメ『葬送のフリーレン』最終話「また会ったときに恥ずかしいからね」。一級魔法使い試験に見事合格したフェルンは、“生ける魔導書”と名高い大魔法使いゼーリエからなんでも1つだけ好きな魔法をもらえることに。その気になればすぐにでも絶大な力を得られるその“特権”は、多くの魔法使いたちにとって喉から手が出るほど欲しいもののはずだが、フェルンが選んだのは実に“くだらない魔法”だった。魔法を得た本人たちは実にウキウキとしており、視聴者からは「庶民的でフェルンらしい」「フリーレンの好きそうな魔法でよいよね」「“平和な時代の魔法使い”としてあるべき姿」など多くの称賛の声が上がったほか、「絶対良い匂いのお姉さんに張り合ったよね!?」といった考察(?)も飛び交っている。

(以下、アニメ最終話までのネタバレを含みます)

◆「立派になったね」

「今年の受験者はどうなっている…」。大陸魔法協会の創始者ゼーリエがつぶやいた。その面持ちには驚きと困惑が入り混じっている。彼女は一級魔法使い試験 第二次試験であまりにも多くの合格者を出したゼンゼの尻ぬぐいをするため、第三次試験では自ら試験官として“面接”を実施。だが、受験者たちと顔を合わせるなかでその考えを改めようとしていた。

ゼーリエの圧倒的な魔力を前にしてなお戦い方を考える野心家デンケン。会話せずとも一目でわかるほどの異常性を放つユーベル。ゼーリエとの面接にさえ“分身”で受験する度胸の持ち主ラント。武闘派でありながら冷静な判断力を持ち魔法を”道具”として認識するヴィアベル。そして、ゼーリエに対し「ちっちゃくて可愛い」と言い切れてしまうメトーデ…。彼ら5人はフェルンと同じく合格を言い渡された。「ゼンゼ…すまなかったな。確かに今年は豊作だ」。そう告げるゼーリエは、柔らかな笑みを浮かべていた。

一瞥(いちべつ)されただけで合格したユーベル。「まだ何も話していないけど?」といたずらな笑みを浮かべていた

一級魔法使い試験に合格した者は、自身が望む魔法をゼーリエから1つだけ授かることができる。魔法使いであれば願いがかなうに等しいその“特権”について、第二次試験でフリーレンたち“第2パーティー”と対峙したリヒターは以前こう話していた。「巨万の富を得ることも大病を癒すことも、絶大な力を手に入れることだってできる。おかげで今や一級魔法使いは人外を疑うほどの化け物揃い(ぞろい)だ」と…。“特権”が授与される日の夕時、フェルンはフリーレンとシュタルクを誘って大陸魔法協会 北部支部へと足を運んだ。すると…。

「申し訳ありません。ゼーリエ様からの通達でフリーレン様は“出禁”です」。受付の女性が淡々と告げた。“今後1000年は大陸魔法協会の施設に立ち入らないように”とのことらしい。あまりに突飛な対応にフェルンはぷんすかほほを膨らませる。「…仕方がないよ。ゼーリエの機嫌を損ねてしまったからね。まったく子どもみたいな人だよね」。フリーレンはしょぼしょぼとした目で何やらブツクサつぶやきながら、「外で待っているね」と協会をあとにするのだった。

……宵の鐘が鳴り渡る。「そろそろ特権の授与が終わる頃かな」。フェルンの帰りを待つフリーレンは、シュタルクと共にすっかり暗くなったオイサーストの街並みを眺めていた。「一級魔法使い。この世界に50人もいない魔法使いの頂点か…。フェルンも立派になったね」。ふと、つぶやいたフリーレン。シュタルクがチラと見やると、彼女の手には“聖杖の証”。その古ボケた首飾りを見つめる表情はとても柔らかかった。「この時代ではきっとフェルンの方が、有名な魔法使いになるんだろうね……。うれしいね」

共に旅を始めたばかりの頃 あれからどれくらいの時間が経っただろうか
(画像は第2話より引用)
フリーレンが早起きした際にはしっかり“褒める”など、フェルンはいつも“お母さん的”な立ち回りをしていた
(画像は第7話より引用)

◆「それでこそ私の弟子だ」

「これでオイサーストともお別れだね」。そう言ってフリーレン、フェルン、シュタルクの3人は街の門をくぐった。無事に一級魔法使いの資格を得た今、一行は再び「魂の眠る地(オレオール)」を目指して北へと向かう。「ところでフェルン、昨日はどんな魔法をもらったの?」。人類の歴史上のほぼ全ての魔法を網羅するゼーリエは、いかなる“望み”もかなえてしまう。尋ねられてフェルンは、その歩みを止めた…。

フリーレンが振り返るとそこには、むふーと鼻息まじりのフェルン。彼女は両手を広げ、何やら楽しそうにくるりと回って見せた。「わかりませんか?」。フリーレンはフェルンのまとう黒いコートに顔を近づける。「服がきれいになっている。それに何かフローラルな香りがする。これはまさか…」「〈服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法〉です。これで洗濯が楽になります!」。腰に手を当て胸を張り、フェルンはすっかり満足顔だ。「さすがは“生ける魔導書”ゼーリエだね。神話の時代に存在したとされる伝説級の魔法だよ」。この弟子にして、この師あり。シュタルクは2人のやりとりを静かに見守っている。

フェルンの頭をなでるフリーレン

「でかした、フェルン」。弟子の頭をよしよしとなでる。褒められて素直に喜ぶその表情はいつになく子どもらしかったが、同時に自分よりもはるかに高い背丈に“成長”を実感する。なでていた手を下ろし、フリーレンは真っ直ぐに伝えた。「それでこそ私の弟子だ」。フェルンは一瞬、驚いたような不思議に思ったような顔をして、それからそっと笑った。「…当然です、フリーレン様」

フリーレンの趣味は“くだらない魔法”を集めること 弟子のフェルンもその影響を受けたのだろうか
(画像は第2話より引用)

そんな一行に、声をかける者たちがいた。カンネとラヴィーネ。フリーレンが第二次試験でパーティーを組んだ幼なじみのコンビだ。「フリーレン、本当にありがとうね」「アタシたちは不合格だったけれども、三年後 また頑張る事にするよ」。2人の口調はとても穏やかだが、だがどこか寂しそうな笑みを浮かべている。それから3人は少しだけ言葉を交わし、別れた。

「楽しかったよ」「元気でね」
「じゃあまたね」「うん、またね」

カンネたちとの別れ

…それぞれの足音が徐々に遠のき、やがて聞こえなくなった。一連のやりとりを見ていたフェルンとシュタルクは、不思議そうに尋ねる。「ザイン様の時もそうでしたけど、ずいぶんあっさり別れますね?」「クラフトの時もだ」。

――…フリーレンはかつて、勇者ヒンメルに“同じ質問”をしたことがあった。あるとき彼は、2週間の旅路を共にした“依頼相手”とあっさり別れた。毎晩のように酒を酌み交わしたにもかかわらず。そんな彼をアイゼンが「らしくない」と言うと、ヒンメルは「そうだね」と笑った。そして、空を見上げる。「…でも旅を続けている以上、また出会う事だってあるだろう。涙の別れなんて僕達には似合わない」――

「だって…」と、あのときヒンメルが続けた言葉を、今度はフリーレンが口にする。「…また会った時に恥ずかしいからね」。

蒼天の向こう、目指すは「魂の眠る地(オレオール)」。かつて勇者一行に倒された魔王の居城がそびえる地・エンデへと向かう旅路が、またここから始まる――

勇者ヒンメルという存在が、フリーレンに大きな影響を与えている

◆ファン称賛 “フリーレンらしい最終回”

2023年9月から放送を開始し、ついに最終回を迎えたアニメ『葬送のフリーレン』。この第28話ではデンケンやヴィアベルを中心とした穏やかなエピソードも描かれるなど、全体を通して“笑い”と“優しさ”にあふれた一話だった。SNSでは「この作品らしい良い締め」「この作品ならではの良さがギュッと詰まった最終話だったね」「この作品らしい淡々として余韻が残る静かなエンディング」と、これぞフリーレンといった最終回を称賛する声が上がっていた。

なかでも、フェルンが〈服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法〉を選んだことを自慢気に話すシーンでは、「庶民的でフェルンらしい」「長旅を続けるフェルンにとって実用的」「それでいいのか?」「伝説級(笑)の魔法」など、さまざまな反響が。

これまでフリーレンが“くだらない魔法”を集めてきた旅路をともに追いかけてきた視聴者は、「フェルンの選んだ魔法は師匠譲り」「くだらない民間魔法に価値を見出すフリーレンの弟子って感じ」「平和な時代の魔法使いとしてあるべき姿が弟子に伝わってます。素晴らしい師弟関係ですね」と、師弟の絆を改めて実感したようだ。ちなみに、フリーレンが頭をなでた際に言った「それでこそ私の弟子だ」という台詞はアニメオリジナルのものだった。

また、フェルンがこの魔法を選んだ理由についてはこんな声も。

「フェルンがあの魔法選んだのって絶対良い匂いのお姉さんに張り合ったよね!?」
「根に持ってて服が綺麗にいい香りになる魔法選んでたらめちゃくちゃ可愛いな」

第二次試験で“拘束魔法”の効果を試す際、フリーレンをハグしたメトーデ。フェルンはその様子をほおを膨らませて見ていたが、真相は果たして…?

メトーデからフリーレンを“引き剥がす”フェルン(画像は第24話より引用)

©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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