市村正親が事務所に懇願!?「もう一度スウィーニー・トッドに挑戦しないと死んでも死にきれない」

2024.3.14 12:25

市村正親と大竹しのぶが共演し、宮本亜門が演出・振付を務めるミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の、8年ぶり5度目の上演が3月9日より開幕。会場となる東京建物 Brillia HALLにて、3人による囲み取材と公開ゲネプロが実施され、見どころや意気込みを語った。

ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
18 世紀末のロンドンを舞台に愛や哀しみ、情欲、そして憎しみから生まれる狂気という、人間が持つ様々な内面を描き出した物語。2021年に91歳で逝去した”ミュージカル界の巨匠”スティーヴン・ソンドハイム氏の代表作と名高く、1979 年のブロードウェイ初演以来、世界各地で上演され続けている。


■「もう一度スウィーニー・トッドに挑戦しないと死んでも死にきれない」(市村)

司会の松村未央アナウンサー(フジテレビ)から今回の舞台にかける意気込みや見どころを聞かれたスウィーニー・トッド役の市村正親は「17年前の初演から5演目にして、ようやくソンドハイムが目指すところまできたんじゃないかな。(75歳という)年齢に負けず、復讐(しゅう)の鬼になって暴れ回りたい。8年前のファイナル公演以降、コロナ禍を経て今年俳優人生51年目、もう一度スウィーニー・トッドに挑戦しないと死んでも死にきれない」と、今回の舞台にかける並々ならぬ思いを語った。

スウィーニー・トッド役:市村正親

■「ソンドハイムの楽曲は難解で魅力的。前より何百倍もうまくなりたい!」(大竹)

ミセス・ラヴェット役の大竹しのぶは「8年前にファイナルと言っておきながらだましてるみたい。まさか再びラヴェットが演じられるとは思わなかった」と報道陣を笑わせながら、「ソンドハイム(アメリカを代表するミュージカル音楽の作詞作曲家)の楽曲は難解で、初演のときは挑むのがやっと。でも、毎回『何、この音!』と思うような新しい発見があり、魅力が満載でたまらないんです。今回再々再々再演だから、前より良い舞台にできないと意味がないですし、前より何百倍でもうまくなりたい。こんなミセス・ラヴェットもあったんだ、という新鮮な気持ちでお芝居に挑みたいと思っています。」とコメントし、難解な楽曲へのあくなき挑戦を誓った。

ミセス・ラヴェット役:大竹しのぶ

■「僕の人生で最も愛している作品。5度目の上演にしてやっと完成した」(宮本)

宮本亜門は「このミュージカルは、僕が人生の中で最も好きで最も愛している作品。5度目の上演にしてやっと完成しました。やっぱり市村さんと大竹さんは特別。2人が完璧に練習してきたものを細かい部分まで練り上げる作業は大変だけどたまらなく楽しい」と言い、満足感をにじませた。

楽曲を手がけたソンドハイムを「世界で1番難しい楽曲をつくる作曲家だった」とたたえ、その難解さを「芝居にセリフが一音ずつ音になっていて、入り込めればこれほどおもしおろいことはないけど、入り込めなかったら地獄」と表現した。だが今回の舞台は「天国でソンドハイムさんも喜んでくれていると思う」完成度の高さだと断言。さらに、「現在も世界で戦争が続く世の中、反戦作品として最高の作品。復讐(しゅう)の恐ろしさ、人間の本質となるのは愛なんだというメッセージが伝われば」と社会的な作品意義も強調した。

乞食女役:マルシア

■市村がステーキチャーハンをふるまい卵焼きのコツを教える和やかな稽古場!?

5度目となる再演に至った経緯は市村の鶴の一声だったのかと記者から問われた市村は、「どうしてももう一度大竹しのぶさんとの共演でスウィーニー・トッド役をやりたい、って事務所に言ったら、何か知らないけど、みんなのスケジュールが空いていて……」ととぼけ、宮本から「僕たちがヒマだったみたいじゃない」と突っ込みを受けていた。

再演を重ねているとあって、こだわっているところを聞かれ、「毎日新鮮な気持ちで、ようやくスウィーニー・トッドとしての旅ができるようになった姿を見てほしい」と市村。「起伏の激しい役を2~3時間の中で生きてみたい、と思って役者になったから、スウィーニー・トッドはまさにそれを実現できる役」と、ここでも役に対する強い思い入れを語った。大竹は、2007年の『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の初演が自分にとっての初ミュージカルだったと振り返り、「最初は歌うことで精いっぱいでした。歌いながら芝居をし、芝居で歌えるように、1000回やってもまだ足りないと思えるんですけど……今日からうまくできそうな気がする!」と、観客の期待をあおった。

トバイアス役:加藤諒

いっぽう、舞台稽古中の印象的な出来事を聞かれると大竹は「市村さんのお弁当」と答え、市村が稽古場に手づくり弁当を持参していたので羨ましそうに眺めておかずを分けてもらい、「美味しい卵焼きをつくるコツを教えてもらった」と明かした。共演する加藤諒が頂き物の牛肉の塊を「料理ができないから」と持ち込んだ際には、市村がステーキチャーハンをふるまうこともあったと振り返り、和やかなムードで5度目のタッグを楽しんだ様子を語った。

■「市村さんを中心に必死になってやっているエネルギーを届けたい」(大竹)

最後に作品を楽しみにしている観客へのメッセージを求められた宮本は、「これほどすばらしい作品が世の中にあることを知ってほしい」と力強くコメント。いっぽう市村は「ろうそくは、消える前にブワッと炎が大きくなる。(僕の姿を通して)その様子を見せたい」とジョークを飛ばし、「なんでそんな弱気なことばっかり言うの」と、再び宮本から突っ込まれていた。大竹は「年を重ねるって、かっこよくて素敵なことだと見せてやるぞ!」と意気込み、「未来や可能性を信じてずっとやってきたから、それを体感してほしい。市村さんを中心に必死になってやっているエネルギーを届けたい」と呼びかけて囲み会見を締めくくった。

ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』は、2024年3月30日まで、池袋・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて上演中。

【スタッフ・キャスト】
作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム 脚本:ヒュー・ホイラー
演出・振付:宮本亜門
出演:
市村正親
大竹しのぶ
マルシア
山崎大輝、糸川耀士郎
唯月ふうか、熊谷彩春
安崎求、上原理生
こがけん
武田真治、加藤諒

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