役所広司 世界的な映画監督に寄りかかられ照れ笑い　撮影中に絆が生まれた…？

『第36回東京国際映画祭』のオープニングを飾った、映画『PERFECT DAYS』の舞台挨拶が10月23日に都内で行われ、俳優の役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和、さらに監督のヴィム・ヴェンダース、共同脚本でプロデューサーの高崎卓馬、製作の柳井康治が登壇。今作を作成したきっかけや、演じた役への思いを語った。

上映を楽しみに集まった観客に向かって、ヴェンダース監督は「この作品を見たあと、“ドイツ人監督が撮った作品だと思われますか”と伺いたい」と問いかけた。その意図に対してヴェンダース監督は「ずっと自分はドイツ人映画監督であると思っていたんですが、今回、日本の魂があると感じました」と明かし、「長いことこの作品を準備し、やっと皆さんにお披露目できる」と喜んだ。

役所は「監督は飛行機が4時間遅れて、ちょっと前に日本に着いて時差ボケっぽくて…（でも）元気です」と笑いながらもヴェンダース監督を気遣うと、ヴェンダース監督は役所の肩に頭を置き、寝たふりをするお茶目な一面が。

役所は自身が演じた公共トイレの清掃員・平山について「撮影中ヴェンダース監督はいつも“平山みたいに生きたい”とおっしゃっていて、そういう人物を目指せばいいのかと思って。都会の中で生きている男ですけど、森の中で呼吸しながら生きているように演じました」と役への思いを語った。

柄本はヴェンダース監督作品の出演を聞いた時「とにかくこんなご褒美はないぞ」と光栄に思ったことを明かした。さらに自身が演じた公共トイレの清掃員・タカシについて「適当なんです。ただ、わかりやすく憎めない人間性がある。その適当な具合がきっとこの人（タカシ）には合っているんだなっていう人間性が、僕はそれをどう見つけられるかなと、楽しく演じさせていただきました」

今作を作成したきっかけについてヴェンダース監督は「最初に、素晴らしい場所があるとお誘いいただき、それは公共トイレなんですけど。日本建築士の方々が素晴らしいものを作っているというところからインスピレーションを受けました」と明かした。

さらにヴェンダース監督は「当初、公共トイレや建築士たちに関する小さな映像を作ろうと考えていたが、（公共トイレを）初めて見た時本当に素晴らしいと感じて、ドキュメンタリーではなくもっと物語を語った方が良いのでは」と今作を作成したきっかけを語った。

豪華な俳優が勢ぞろいの中、歌手の石川は「出演のお話をもらった時に、ヴィム・ヴェンダース監督の映画と聞いて役者さんたちは“自分へのご褒美だ”と言っていましたが、私はそこまでのすごさがわからなくて…」と少し苦笑いで話し、「役所さんが出演、素晴らしい監督というだけで、歌い手の好奇心で“出ます”と言ってしまいました」とオファーを受けた時の気持ちを振り返った。

そして、今作について石川は「私たちの歌作りと似たものを感じて。木漏れ日の中から“やっぱり1人はさみしいよね”とか“こういう時に人がいてくれたらいいね”とか、そんなことを感じる、本当にあたたかい映画だなと」と笑顔で語り、「今の時代だからこそ見ていただきたいです」と呼びかけた。

最後に三浦が今作について「ヴィム・ヴェンダース監督の作品ということで緊張と不安のまま現場に行きました。できあがりが素晴らしいです」と明かし、出演シーンについて「私は最後の方にちょこっとだけ出ています。見逃さないようにしてください（笑）」と笑いを誘い舞台挨拶を締めくくった。

映画『PERFECT DAYS』
『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』などの傑作を世に送り出し続けたドイツ出身の名匠ヴィム・ヴェンダース。彼が尊敬する役所広司を主演に、公共トイレ清掃員の日々を描く。第76回カンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞した。

■出演：役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、田中泯、三浦友和ほか
■公開：12月22日（金）より TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
■配給：ビターズ・エンド
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＜第36回東京国際映画祭 開催概要＞
■開催期間：2023年10月23日（月）～11月1日（水）
■会場：日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
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＜TIFFCOM2023 開催概要＞
■開催期間：2023年10月25日（水）～27日（金）
■会場：東京都立産業貿易センター浜松町館
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写真提供：©2023 MASTER MIND Ltd.
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