『それパク』主題歌アーティスト・AARON単独取材! メジャーデビューまでの軌跡と変化を語る

2023.7.26 15:00

【エンタメの未来を彩る光をキャッチ! シリーズ「未来予知」】

メジャーデビュー曲『ユニーク』が、日本テレビ系ドラマ『それってパクリじゃないですか?』の主題歌に抜てきされて話題を呼んだAARONに、entaxが単独インタビュー。音楽活動を始めたきっかけから、メジャーデビューまでの道のり、さらには今後の目標を語ってもらった。


■本気で挑み続けた“空手”をケガで断念「歌でまっすぐな想いを伝えよう」

――AARONさんが音楽活動を始めたきっかけを教えてください。

5歳から空手を始めてオリンピックの金メダルを目指していたんですけど、20歳のときに前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)を2回損傷してしまって。空手を続けるなら、オーソドックス(右構え)からサウスポーに変えなきゃいけないと言われたんです。でも、15年間続けてきたスタイルを変えるのは難しくて、その時点で心が折れてしまいました。空手を辞めてからは、本当に何をしてよいか分からない日々が続いていて…。

――全力で続けてきたものが突然奪われたら、そうなってしまいますよね。

僕、人生終わったと思ったんですよ。しかも、それまではちょっと強かったのでチヤホヤされていたのに、空手ができなくなった途端、あからさまに人が離れていって。半年くらい、マネジャーとして寮で40人分のご飯を作ったり、サポートに回ったんですけど、「人って立場によってこんなに扱いが変わるんだ」と感じて、反骨心から「もうええわ」と。たまたま当時はラップが流行っていたので、“見返したい”とか“自分を認めてもらいたい”という想いを乗せて歌ってやろうと思って、ラップを始めました。

それで、小さなラップバトルの大会に出たときに、1回戦で中学2年生のドレッドヘアの子と当たったんですよ。僕はセンター分けのパーマだったんですけど、相手から「焼きそばみたいな頭だな」と言われて、すごくショックで「う、う、うるせえ!」としか返せなくて(笑)。あくまで“僕の場合は”ですけど、それまでまっすぐに空手をしてきたので、人をディスったり、悪いところを見つけてラップするのは苦手やなと気づいて、歌でまっすぐな想いを伝えようと思うようになりました。

――メジャーデビュー前まで路上ライブをメインに活動されていましたが、SNSでも動画を配信できる時代に、なぜ路上ライブだったのでしょうか。

5年ほど前から音楽活動を始めて、SNSの“歌ってみた”動画が330万再生くらいいったりもしたんですけど、コロナ禍になって人前で歌う機会がなくなってしまって。自分自身ステップアップしたかったので、フォロワーが1万人くらいになった頃に、新たな挑戦として路上ライブを始めました。ちょうどコロナが落ち着いてきて、まだ他の人が路上ライブをやっていないタイミングだったので、人も集まりやすくて、さらにファンの方が撮ってくれた動画がバズったりして…本当に運がよかったです。

――トントン拍子に観客が増えていった?

「誕生日の翌日から何かやろう」と決めていて、(2022年)5月14日から12月30日まで計36回路上ライブをやりました。最初はお客さんが10人程度だったのに、大阪でやったときに40人くらい来てくださって、「なんでこんなに増えたんだ!?」と思ってSNSを調べたら、Instagramのフォロワーが大阪に多いと気づいたんです。そこからフォロワー数の多い大阪、横浜、東京、福岡、名古屋を転々とするようにしたら、だんだん人が集まるようになって、最後の路上ライブには1000人くらい集まってくれました。

――わずか半年ですごい数ですね。実際、メジャーデビューが決まったときのお気持ちは?

メジャーデビューに関しては、絶対にできると信じていたので「これがスタートや」くらいの気持ちでした。ただ、ドラマのタイアップがつくというのは想定外だったので、すごくびっくりしました。今まで頑張ってきてよかったなって思いましたし、「いつかドラマの主題歌を歌いたい!」と言い続けていたので、形になって本当にうれしいです。

■日常生活の中で自然と楽曲制作「感覚と鼻歌で作っています」

――ふだん、どういった環境で楽曲制作をされていますか?

メロディを作るのがすごく好きなので、散歩中とか、自転車に乗ってるときとか、お風呂で歌ってるときとかに、「うぉっ、このメロディいいな!」と浮かんだものを録音して、ストックしています。そのメロディを「バイブス上がるわ!」と思える楽曲になるように、パズルみたいに組み合わせていく。僕は楽器がまだひとつもできないので、感覚と鼻歌で作っています。

――基本的には、日常の中で楽曲を作っていると。

「よし、この日は“音楽の日”にしよう」って、グッと集中してやるのは週に2、3日ですかね。毎日やり続けるのが無理なタイプなので、1日丸々楽曲制作をして、次の日は休んで、というのを繰り返している感じです。

――制作に行き詰まることもあるかと思いますが、AARONさんの息抜きは?

ソファにダラッと座って、ハーゲンダッツとポテチを食べながら、Netflixを観るのが至福のひとときです(笑)。あとは遊戯王カードと、トランプの大富豪と、地獄モードのあるUNOにハマっていて、バックDJとトラックメイカーをやってくれている子と、男3人で「アイスおごりな」とか言いながら遊ぶのが、僕の幸せです(笑)。

©entax

■メジャーデビューを機に、自分を客観視できるようになった

――アーティスト活動をする上で、一番の原動力を教えてください。

たとえば何か告知をすると、ファンの方が「楽しみです」とか「それがあるから頑張れます」とかメッセージをくれるので、その人たちに届けたい、感動を与えたいって、メジャーデビューしてから感じるようになりました。それまでは「売れたい」「メジャーデビューしたい」って自分のために頑張ってたんですけど、デビューしてからはたくさんの人に支えられていることを実感して、「僕だけのAARONじゃないな」と思うようになって。僕は片岡竜一っていうんですけど、アーティストとしてのAARONを客観視できるようになりました。

――自分がAARONさんをプロデュースしてるような。

本当にそういう感覚です。なので、矢沢永吉さんの「俺はいいけどYAZAWAがなんて言うかな?」っていう意味がわかったんですよ。僕はやりたいけど、AARON的にはどうかな、みたいな。

――片岡さんとAARONさん、2人いるような感覚なんですね。

そうなんです。だから、アーティスト名を片岡竜一じゃなくてAARONにしてよかったなと思います。

――ちなみに、AARONという名前の由来は?

世界一売れたソロシンガー、エルヴィス・アーロン・プレスリーさんのミドルネームから頂戴しました。空手では金メダルを取れなかったけど、音楽の世界で金メダル取るぞ! と。

――なるほど。これから3年後、5年後の目標を聞かせてください。

明確な目標というよりも、1個1個を積み重ねていって、その結果、武道館やドームにたどり着けたらいいなと思います。もちろんそれが目標でもありますけど、今、本当にいろんな経験をさせてもらっているので、出会えたもの1個1個を、1人1人を大事にしていこうかなと思っています。

――では、さらに先の目標は?

実は僕、役者もしたいんです。それから絵を描くのもめちゃくちゃ好きなので、星野源さんみたいにマルチなアーティストになりたいです。とても大きな夢ですけど、日々、それをマネジャーさんに刷り込んでいます。「俳優もしたいです」「絵も描きたいです」って。でも今は、「まずは歌をしっかり頑張りなさい」と言われています(笑)。

【AARON Profile】
1998年5月13日生まれ、福岡県出身。幼少期から空手にまい進する日々を送り、日本武道館で行われた全国大会にも出場。中学まで九州で育ち、空手推薦による高校入学のため大阪へ。大学まで空手を続けるが、負傷のため断念。新たな道を音楽に見据えて独学で音楽活動を開始し、友人との共同作業でトラック制作など曲作りを始める。2021年3月にリリースした『holiday song』がTikTokで人気を博し、日本のみならずタイを中心としたアジアでも多く楽曲が使用され、3万件以上の動画が展開。2022年5月より路上ライブをメインの活動とし、半年足らずで約1万5000人以上を動員。2023年4月期放送の日本テレビ系ドラマ『それってパクリじゃないですか?』の主題歌『ユニーク』でメジャーデビューを果たした。

写真:©entax

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