『Coda コーダ あいのうた』監督が“最初から耳の聞こえる俳優を雇う気はなかった”と断言する理由
2023.6.16 11:45日本テレビ系金曜ロードショーと、entaxがコラボレーション。金曜ロードショーのここでしか聞けない“とっておき情報”を紹介する。
6月16日は、2022年の米アカデミー賞で、“作品賞”“助演男優賞”“脚色賞”の3部門を受賞した『Coda コーダ あいのうた』が地上波初放送となった。
本作は、家族の中でただ1人の健聴者である少女が、さまざまな問題を力に変えて自らの夢を実現していく姿を描いたヒューマンドラマ。常に家族の“通訳”を行い、自分の夢である“歌”をあきらめようとする少女・ルビー役を熱演したエミリア・ジョーンズは、手話トレーニングと共に9か月間ボイストレーニングを行い、劇中では感動的な歌声を披露している。
本作では主人公の家族で、ろう者である父・母・兄の3人の役を、実際に耳の聞こえない俳優が演じている。母のジャッキー役でマーリー・マトリンが最初にキャスティングされたという。
1歳半の時に麻疹(はしか)で聴力のほとんどを失ったという彼女は、デビュー作『愛は静けさの中に』(1986)での演技が絶賛され、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞で主演女優賞を獲得している。
「最初から耳の聞こえる俳優を雇う気はなかった」というシアン・ヘダー監督は、「耳の聞こえない人の役があるのに、耳の聞こえない優秀な役者を起用しないというのは考えられなかった」とも語っている。
撮影中は、キャストの間に不思議なきずなが生まれ、家族のようになっていたのだとか。初めてキャストと食事に行ったとき、家族で唯一耳が聞こえるルビーを演じたエミリアは、ウェイターの言う内容を、父役のトロイ・コッツァーと兄役のダニエル・デュラントに自然と手話で通訳し始めたという。それを見たヘダー監督は「まるで映画の設定そのものじゃない」と思ったのだそう。
これは「家族へのラブレターのような映画」だというエミリア。「私たちが撮影を楽しんだように、観客も映画を楽しんでくれたらそれで十分」との言葉通り、笑いあり涙ありのヒューマンドラマをこの機会にぜひ楽しみたい。
【ストーリー】
豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で1人だけ耳が聴こえる。陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし…。
『Coda コーダ あいのうた』(2021米・仏・加)
監督・脚本:シアン・ヘダー
プロデューサー:フィリップ・ルスレ、パトリック・ヴァックスベルガー
撮影監督:パウラ・ウイドブロ
プロダクションデザイナー:ダイアン・リーダーマン
衣装:ブレンダ・アバンダンドロ
コンポーザー:マリウス・デ・ヴリーズ
音楽プロデューサー:ニコライ・バクスター
出演(内は日本語吹替)
ルビー・ロッシ:エミリア・ジョーンズ(野村麻衣子)
フランク・ロッシ:トロイ・コッツァー
ジャッキー・ロッシ:マーリー・マトリン
レオ・ロッシ:ダニエル・デュラント
マイルズ:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ(玉木雅士)
ベルナルド・ヴィラロボス先生:エウヘニオ・デルベス(松本保典)
写真提供:(C)日テレ
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