単独対談 SHISHAMOと漫画家・安斎かりんが語る “恋する気持ちに寄り添う方法”とは?
今年11月13日よりCDデビュー10周年イヤーに突入した3ピースロックバンドSHISHAMO。今回、彼女たちの楽曲『君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!』と安斎かりんの少女マンガ『顔だけじゃ好きになりません』のコラボムービーが制作された。そこでentax取材班がSHISHAMOと安斎かりんの単独対談を実施。クリエイティブ面でのお互いのこだわり、共通点や違いについて話してもらった。
■人間を描くのが楽しい
――マンガを描いていて、行き詰まる時はありますか?
安斎かりん 描いている中で、キャラクターの生き方をあまりねじまげたくないんです。だからできるだけ彼らが楽しく、わちゃわちゃとなってくれる状況を考えなくてはいけないんですけれど、それが出てこない時が結構きついですね。担当さんと「どうしよう」と悩んで。場所や状況を変えたり、次の日にしてみるとか。いろいろ話し合いながら考えています。
――SHISHAMOの皆さんは、制作していてスランプに陥る時はありますか?
宮崎朝子 曲作りでは、あまりないかもしれないです。
安斎かりん すごいと思うのは、1曲で完結するじゃないですか。私からしたら、読み切りマンガを1本作るのと似たような感じだと思っていて。毎回新しい設定とキャラクターを作ってやるのがすごいな、と思っているんです。
宮崎朝子 自分がかわいいと思える主人公というか、そういうのを考えながら書いていますね。
安斎かりん 自分の好きな女の子像が強めなんですか?
宮崎朝子 “自分はこうなりたけれど、なれない”という女の子を書く場合だったり、“本当、こういうところダメだな”というようなかわいさを書いたりとか。でもやっぱり人間を書くのが楽しい、というのもありますね。感情の動き方が自分とは違うと思うことが多いので。
自分が書いていても、レコーディングで歌を歌う時に、“あれ? これをこういっているけれど、本当は全く真逆のことを思っているんじゃないか?”みたいな。そういうことを考えながら歌うと、また違う歌になったりとかします。
安斎かりん 面白いですね。

――レコーディングの時などで、スランプに陥ることはありますか?
松岡彩 スランプというか、なかなかうまくいかない、ということはあります。でもそれに関しては、時間をかけることによって解決していくというか。私たちリズム隊(ベース、ドラム)は最初に入って、「ここはどうなのかな?」と、自分たちがやった音源をもう1回練習して聴いてみていろいろ考えて解決していくので、安斎先生と同じなのかな、と思いました。
吉川美冴貴 リズム隊は演奏の土台を支える大事な役割なので、2人でスタジオに入った時は、結構、話し合うというか。3人でスタジオに入っていても、演奏して、「ここはもうちょっと、こうやった方がいい」とか「歌がもっとよく聴こえる」という話は、やっぱり丁寧にしていますね。
――逆にマンガ家さんは担当の方はいらっしゃるけれど、基本1人で考える時も多いのでは?
安斎かりん いえ、作業に入ると1人ですけれど、それより前は本当に担当さんと二人三脚みたいな感じなので。相談することは大事だなと思いますね。1人で作る方もいるとは思うんですけれど、私は事前に話し合います。わりと人の意見が欲しいタイプなので。
宮崎朝子 そんな密に作っているんですね。
安斎かりん そうですね。ちなみに宮崎さんは主に曲作り、音作りの面でメンバーに相談する感じでしょうか? それとも曲の解釈も話し合ったりされますか?
宮崎朝子 私が詞と曲を書いて、全体的な演奏のイメージも送るので、そこで3人でぱっと合わせた時に、季節感がちょっと違って聴こえたりすることもあるんです。基本的に普段はそんなに話さない方だと思うんですけれど。すごくさわやかな春の曲を作ったけれど、ちょっと吉川さんが「夏っぽいな」と感じたりすることもあったりして。
吉川美冴貴 その曲は、結構テンション高めの、ガシガシした感じだったんですよ。
宮崎朝子 演奏のプレイ的にどうか、といったことよりも、そういうところの話し合いが多いかもしれないです。
安斎かりん なるほど! すごい、そういった話し合いができるのって、かっこいいです!
■暗い気持ちに引きずられるタイプと楽しむタイプ
――お互いの制作方法で、聞いておきたいことはありますか?
宮崎朝子 素朴な疑問なんですけれど、マンガを読む時間はありますか? マンガ家さんって、すごく忙しいイメージがあるので。
安斎かりん 今は少女マンガしか読んでいないです。映画や舞台を見るのも好きなんですけれど、時間かかるので。だから合間にインプットできるもの、そして一番仕事に近いものとなると、少女マンガですね。雑誌をいっぱい読んでいるんですけれど、それから単行本を読んで、ちょっと余裕ができたら、少年マンガとか青年マンガも読んで。もうちょっと余裕ができたら、ドラマや映画などを見て、みたいな感じです。
逆にお伺いしたいのが、SHISHAMOさんはどれくらいのスパンで仕事をされていますか? タイムスケジュールは、どんな感じでしょうか?
宮崎朝子 私たちは毎日やることが違うんです。同じことの繰り返しがほぼなくて、ライブとレコーディングだったり、こういう取材の場だったり、ラジオだったり。テレビで演奏したりとか、本当にいろいろな種類のことがあって、毎日新しい気持ちで仕事をしているという感じです。

――ちなみに、安斎先生は読者の方からもらう感想で、どんなことをよくいわれますか?
安斎かりん 「テンポがよくて、楽しく読める」みたいなことはすごくいっていただいていて。個人的にもあまりシリアスにしすぎないで、読んだ後に幸せな気持ちになれるよう、気を付けて描いているので。そこを楽しんでもらえるのは、すごくうれしいですね。
宮崎朝子 今、安斎先生がおっしゃったことって、読んでいて本当にその通りだな、と思いました。悩んでいるシーンが長くなったりあまりしないというか。でもちゃんと感情が揺れ動く、そういうネガティブなシーンもありつつ、立ち直ってくれるという救いがありますよね。
――安斎先生がそういうスタンスで描きたい、と思ったきっかけを教えていただけますか?
安斎かりん 読む分にはどんなものも楽しいんですけれど、自分で描くとなった時に、暗い気持ちが続くマンガを描いていると、すごく落ち込んじゃうんですよ。読むのと描くので大きく違うのって、そこだなと思って。自分でも何回かトライしたことがあるんですけれど、暗い話は全く描けなくて。楽しくなれるものが自分にも合っているし、これからも描いていきたいな、と最近すごく思いますね。
――宮崎さんがつらい歌を書く時はいかがですか?
宮崎朝子 私は楽しんで書いています(笑)。
安斎かりん 私も楽しんで描けるようになりたいです(笑)。
宮崎朝子 たぶん恋愛をしていて、落ち込んでる時の方が音楽を聴く人が多いんじゃないかな、と思っていて。聴きながら泣きたいし、どんどん落ち込みたいし。“そういう人に寄り添うように”という気持ちで書いているので。またちょっと、マンガとは違うのかもしれないです。

――お話は尽きないですが、最後に今回の経験を、これからどんな形で生かしたいと思われますか?
安斎かりん どちらも恋愛メインのものを作っていて、ものづくりという点で共通するところがたくさんあると思うんです。私は普段から歌詞の感じを勝手にSHISHAMOさんから勉強させていただいているんですけれど、これからも刺激を受けて、作品に生かしていきたいです。
宮崎朝子 安斎先生の前でいうのは恥ずかしいんですが、もともとSHISHAMOの音楽って、少女マンガみたいに楽しんでもらいたい、という思いで作っているところが多くて。SHISHAMOの曲はどうやって作られているか、より伝わるようなコラボになったのではないかな、と思っているので、皆にコラボムービーを見てもらうのが、とても楽しみです。
【SHISHAMO Profile】
宮崎朝子(Gt.Vo)、松岡彩(Ba)、吉川美冴貴(Dr)からなる3ピースロックバンド。 2013年、高校卒業と同時に本格的にバンド活動を開始。 同年11月、デビューアルバム『SHISHAMO』をリリース。
2017年には「第68回 NHK紅白歌合戦」に出演。 2019年初のベストアルバム『SHISHAMO BEST』をリリースし、 さいたまスーパーアリーナ・大阪城ホールでのアリーナワンマンライブを成功に収める。 2021年、ニューアルバム「SHISHAMO 7」をリリース。 2022年、バンド初の対バンツアー、「SHISHAMO NO OMANEKI TOUR!!! 〜開国2022〜」や、 2015年から恒例となっている「SHISHAMO NO YAON!!!」を東京・大阪にて開催し、 勢力的にライブ活動を行う。
今秋11月13日(日)には CDデビュー10周年イヤーを迎え 2023年1月4日(水)日本武道館 2023年3月4日(土)大阪城ホール にて10周年記念ライブを開催!!!
【安斎かりん Profile】
2015年『第3回 白泉社少女まんが新人大賞』において『全力サイクロン』で金賞受賞。2015年『花LaLa online』にて『キス初爆発』でデビュー。主に白泉社の漫画雑誌、『花とゆめ』『ザ花とゆめ』で作品を発表している。

